第145話 貴族令嬢?


「お客様困ります! こちらは個別スペースの場所になっていまして……関係者の方以外は立ち入り禁止です」


 プルーチン令嬢の後からラウンジの支配人さんが慌て入って来た。


「あらっ? 何を言ってるのかしら? 私も関係者ですよ」


「えっ? ですがご予約頂きました時に、こちらの四名様以外はスペースに入れないでくれと言われております……」


 支配人さんが困惑顔でプルーチン令嬢をみる。


「なっ……平民風情が、伯爵令嬢の私に向かってなんて口を!? 貴族の私が通せと言ったら、言うことを聞きなさいよ!」


 プルーチン令嬢は扇を閉じると、支配人の手をピシャリと叩いた。


「なっ……?!」


 なんて横暴なの?! いくら貴族だからって言っていい事と悪い事があるわ。

 ぐぬう……言い返したいけど……目立っちゃダメって言ってたし……でも。


 私が怒りを露わにし、プルプルと震えていると。アイザック様は落ち着かせる様に、私の頭をぽんぽんと二回優しく触れると、プルーチン令嬢の前に立った。


「いやぁ……昨日はどうも」


 アイザック様が話しかけると、プルーチン令嬢はパァァァっと効果音が出そうなくらい、瞳を輝かせる。


「ほっほらみなさい! 平民が伯爵令嬢に相手にしてもらえるなんて光栄な事なのよ?」


「えっ……ですが」


 支配人はアイザック様の方を確認するように見る。


「私にティーを用意して、そうねデトックスティーが良いかしら」


 プルーチン令嬢はいけしゃあしゃあと、席に座ろうとする。


「誰が一緒にお茶を飲むと?」


 キターッ! アイザック様の、笑っているのに恐ろしい氷の笑み。そしてその後、ピシャリと断った。


「今日は僕達#仲の良い友人__・__#だけの集まりなんです。友人でない方はご遠慮下さい」


「なっ!? 失礼なっ! 私の誘いを断ると?」

「はい。全く関係ないので邪魔ですね」


 アイザック様に邪魔だと言われプルーチン令嬢の顔がドンドン赤くなる。



「なっなっなっ……! 少しお金があると思って商人風情が偉そうに! 平民が貴族に逆らって良いとでも思って?」


 アイザック様に冷たくあしらわれ! とうとう顔を真っ赤にして怒るプルーチン令嬢。その姿はとても淑女と言われる貴族令嬢には到底見えない。


 更に追い打ちをかけるように、アイザック様は捲し立てる。


「貴族令嬢と名乗るお方が知らない訳ないと思いますが、公共施設等みんなが使う施設は、貴族も平民も平等である。と現国王様が法を作られましたよね? 貴方はこの公共の場において、僕達に対して失礼な事ばかりを罵った。許される行為ではありません」


「なっなっ……!!」


「僕らは貴方を、法の元により裁く事が出来るんですよ? ここには証人がこんなに集まってくれていますからね。貴方の暴言は逃れようがないですよ?」


「そっそんなっ……」


 プルーチン令嬢は周りを見渡し、青ざめていく。


「まだこれ以上この場に居座るというなら……」


「あっ私ったら用事を思い出したわっ!」


 そういうと、プルーチン令嬢は逃げる様にその場を離れた。


 次の瞬間ラウンジにいた他のお客様達から拍手喝采の大歓声が巻き起こる。


 意味が分からず困惑していると、支配人が理由を教えてくれた。


「ありがとうございます。いつもプルーチン令嬢の我儘には困っていたんです。今回の件でスッキリいたしました」


 支配人はニコリと笑うと「ごゆっくり」と去っていった。


 

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