第64話 夕飯と戦慄

 柚葉の時間が終わり、残すは黒絵のみとなる。

 だが、その前に夕飯となった。


 今日の夕飯もとても美味しそうだ。

 そして・・・大人達の前にはアルコールが並んでいる。


「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」


 全員で食事を進めるのだが・・・母さん達の飲むペースが早い!

 ・・・大丈夫かコレ。


「だから聞いてよ双葉さん!本当に最低なのよアイツ!!」

「まぁまぁ、琴音先輩。昼間に聞きましたから。でも、本当に最低ですね。」

「そうよね〜・・・桐生・・・じゃない、琴音センパイも大変だったんですね〜」

「そうなのよ清見さん!」

「そうしてみると・・・私の夫は朴念仁ではありますが、私を愛してくれているので、恵まれていますね。」

「・・・羨ましいわね。葵さんは。翼さんの所はどうなの?」

「そうですね・・・夫は単身赴任が多いですから・・・どうなのでしょう・・・」

「・・・他人事みたいに言うわね?」

「う〜ん・・・まぁ、夫は好きですよ?ですが・・・溺れるような恋をして、というわけではありませんので・・・あれは、本当に亮司さんだけです。」

「わかる!!私もそうだもん!!」

「私も分かるわ清見さん!!私なんてお見合いだったし!!」


 ・・・コメントしづれぇ・・・

 母さんはケタケタ笑ってるし・・・

 それぞれシオン達も微妙な顔をしている。


 おそらく、こんな母親の姿を見たのは初めてなんだろうな。


「それで、総司くん?」


 やべ、こっちにお鉢が回ってきた。


「・・・なんでしょう?」

「結局、誰が好きなの?うちの詩音?それとも柚葉さん?翔子さん?それとも黒絵さん?」

「ちょ、ちょっとお母さん!?」

「詩音は良いわよ?綺麗だし、度胸もあるわ。スタイルも良いし。それに、私に似て頭の回転も早いもの。お買い得よ?」

「ちょ〜っと待って下さい琴音センパイ!それを言ったら、柚葉だってそうですよ!可愛らしい顔立ち!優しい性格!それになんと言っても巨乳!!おそらく、今のペースなら、私を超えるわ!Gカップのこの私をね!!」

「お母さん!もう!!」

 

 Gカップ・・・ごくりっ。


「清見!胸など飾りです!それよりも、総司くん?女はそんな所だけではありません。良いですか?翔子はしっかりと尽くしてくれますよ?それに・・・私は直々に英才教育を施しています。初体験はまだですが、きっと総司くんを悦ばせてくれるでしょう。そして・・・もれなく、私がついてきます。熟練の技が味わえますよ?」

「ちょっとお母さん!もっと言って!!」


 あれ?

 翔子だけちょっと違うぞ?

 止めてるように見せかけて止めてない。

 それと、翔子が言ってた”お母さんがついてくる”が、公然になってるんだけど?


「翼!あなたはちょっとは自重しなさい!!それと総司くん?黒絵だって尽くすのは同じです。それと、大人の余裕も見せてくれるでしょう。某生徒会長な先輩と同じで・・・く〜!!亮司先輩のあの頃の反応を思い返すと腹が立つ!!でも、それくらい魅力的ではあるのです。だから黒絵にしときなさい。」

「母上!?ちょ、ちょっと飲み過ぎでは!?」


 ・・・やべぇ。

 4人とも目が座ってきている。

 こりゃ、さっさと離脱した方が良さそうだな。


「総司〜?頑張りなさいよ〜?あはは!傍観者は楽で良いわね!!」

「「「「双葉さん(センパイ)((先輩))〜!!!」」」」

「あっはっは!」


 ・・・飯終わったら逃げよう。

 そして、風呂に入って、子供部屋に逃げ込もう。

 うん。




「・・・お先にどうぞ?」

「「「「いいえ、お構いなく。」」」」


 現在、風呂に行くのに、にらみ合い中だ。

 俺を先に入れて、なだれ込もうとしている黒絵達と、そうはさせないと思っている俺。


 しばし続いたが・・・お互いに水着を着用する事で合意する事になった。


 そして、水着に着替えて一緒に入る。


「・・・しかし、本当に驚きの連続だったなぁ・・・」

「本当にね。お母さんがあんな感じの人だったなんて・・・」

「詩音の言う通りだな。ワタシも母上の新しい面を見させて貰ったよ。驚いた。」

「私もだよ・・・びっくりしちゃった・・・」

「私もそうですね・・・でも、これからは、色々相談出来そうで良かったです。」

「「「確かに」」」


 ・・・そして、俺にしわ寄せが来るのですよねわかります。

 

 そんなふうにのんきに話している時にそれは起こった。


 ガラッ


 ドアのスライドする音、そして・・・


「お邪魔しまーす!」


 琴音さんが、


「私も〜」


 清音さんが、


「入るわね。」


 翼さんが、


「・・・仕方がありません。何かあったら止めねばなりません。ええ、そうですとも。だから仕方が無いのです。他意はありません。ええ、ありませんとも。」


 そして、葵さんが入ってきた。

 ・・・バスタオル一枚で。


 は?

 ナニコレ?

 なんで!?


「総司〜?どれくらいぶりかしらね?あなたと一緒に入るのは!お母さんちょっと嬉しいわ!瑞希も誘ったんだけど、流石に嫌だって言われちゃった!てへっ♡」


 母さん!?

 あんたもか!?


 どうなってんだよ!?

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