第626話 教会(オーリス王国)

魔族たちの虚偽だとわかり、魔族が融合して怪物に変化して、その時に親父が転移されて来たということは、もしかして、実家がばれている可能性があるのか?


今までは、俺は実家と連絡をとることや訪れることはしていないのは、第一に狙われるのが俺の家族だからだ。


一応、メンバーの家族には、結界魔法が発動するペンダントを作っている。


もちろん王族にも同じことをしている。


しかし転移させてくるとは考えていなかった。


転移してきた父親とは、なんだか恥ずかしくて、言葉を交わす暇もなく、忙しいと言ってオーリス王国にやってきてしまった。


ほんとうに親父に会うのは、4年ぶりになるのに………


俺が王から聞いた王都の自分の屋敷を見に来た。


上空に滞空しながら見えないように透明になる魔法を使って自分の屋敷をみると、門の前に協会らしき白い服を着た奴と、国の騎士と兵士が守っているのが見える。


今は、もめ事もなく両者が横並びに立っているだけ。


門から中に入ってはいないけど、見物人の数の方が多い。


俺は上空から転移して屋敷の中に入ってきた。


1階の食堂にいくと、そこには数人の働いてくれている人がいた。


もう急に現れるのが慣れている人ばかり………


「こ、これはご主人様」とセバスチャン、他の皆も立ち上がって頭を下げた。


「みんな大丈夫?」


「はい、私たちは、被害はありませんです。しかしポーションを作る工場は休んでいます」


「うん、危険だからね、なにがあるかわかるもんじゃないし」


「じゃ、今から王と話してくるから」


「はい、わかりました」


と言って、また俺は転移していった。


今のところ、協会側は何もしていない。


こんな忙しいところに、協会がなんだって言うんだ?


勇者が異端だって言うのか?


それとも俺が異端?


俺は協会については、ほとんど何も知らない。


街にいくと時々、白い装束の人をみるくらいだ。


すべては王に確認すれば済むこと。


俺は借りている王城の城に転移してきた。


もう目の前には、ジャネット、ロゼッタ、パトリシアを筆頭にメンバー全員が揃っていた。


「どこに行っていたの?」とアリシア


「うん、屋敷を確認してきてセバスチャンに会ってきた」


「それで、どうだった?」とイザベラ


「門の前に教会の服を着た奴がいたけど、立っているだけで被害もない」


「そう、よかった」とソフィア


「でも、どうして教会が、うちに来たんだろう?」とアリシア


王が「それで話があるんだが、いいかね?」と尋ねてきた。


「あっ、すいません」と頭を下げるアリシア、イザベラ、ソフィア。


「それで、王様、教会とやらの真意は分かりましたか?」


「うむ、調べたところによると、教会側は、どうも勇者の力が欲しいみたいいだ」


俺の力?


「王様、ちょっと聞きたいんですが、教会って、どこかの国にあるんですか?」


「知らないの無理はない、教会の正式名称は神聖ジェラルディン国だ」


「神聖ジェラルディン国ですか?」


「ああ、そうだ。その中で神聖ジェラルディン8世が今のトップだ」


「その神聖ジェラルディン8世が俺を欲しがっているということですか?」


「そうみたいなのだ」


「俺は物じゃありませんよ」


「そうなんだが、本当の目的は聞いても言わないので困っている」


「本当の目的があるんですね、敵対行為をするわけじゃなく」


「ああ、そうだと思う」


「でも、やり方が、問題ですね」


「ああ、わしも、そう思っておったが‥‥‥」


「一度、会う必要がありますね」


「厄介だが、そうしてくれると面目も保てる」


「分かりました、敵対するなら、徹底的にやりますが、今回は話だけなので‥‥‥」


「うむ、助かる」


「それで連絡するには、屋敷にいる奴らに言えばいいですか?」


「ああ、いいと思う」


「じゃ、向かいますか?」


「そうだね、久しぶりの自分の家なのに」とアリシア


「では、王様、またお会いしましょう」と告げて、転移した。



王城から転移してきたが、屋敷の中に転移してきた。


そして安全のため、屋敷の中から俺だけが玄関から出ていく。


他のメンバーは屋敷の玄関にいて、バックアップしてもらう。


俺が玄関から扉を開けて出てきたら、民衆からざわめきが起きた。


そのざわめきに気がついて、教会の奴らの視線が俺に集まった。


門を守っている兵士、騎士たちに向かって、うなづく。


守っていた門を俺が通りやすいように開けてくれた。


そして教会服だと思える数人の男たちの前にたった。


「俺になんのようですか?」


「一応、確認しておきたいが勇者クリスに間違いないか?」


「ええ、間違いありません、それでなんのようですか? こんなところまできて」と答える。


全員が一瞬の間を置いたあと、俺に向かって跪いた。


俺があっけに取られて、何が起きたのか、わからない。


「ぜひ、神聖ジェラルディン国までお越しいただきたい」と代表らしき人物が語り出した。


「えっ」


「どうしても、我が国にお連れしなければならないんです」


「理由を聞いても?」


「いいえ、それは、我が国に来てもらってからということになっております」


「そうですか?、う〜ん、どうしようかな?」


「是非にと‥‥‥おねがします」


「そちらの、えっと神聖ジェラルディン国に、行って誰が待っているんですか?」


「それは、ここでは言えませんが、かなり上の方ということしか」


「そうですか、はっきり言えませんか?」


「はい、申し訳ありません」と頭を下げる。


今のところ緊急的なことはないけど、何も用事がないわけじゃない。


時間がある時には、今の問題を精査する時間だって、必要なんだ。


玄関で話を聞いていたアリシアが後ろから近づいてきて「クリス、ちょっと行ってあげたら?」と


でもな〜


俺が行くと返事しないと、このまま居座られても困る。


「分かりました、いきましょう、でも、俺は忙しいですから、俺の方法で行きまうすよ」


「あ、ありがとうございます。では、早速、旅の用意を‥‥‥」


「あっ、いや、入りません」


「えっ、それでは?」


なんだか話が通じていないみたいなので‥‥‥


「あの、俺のこと、知っているんですよね」


「は、はい、勇者物語で知っておりますが‥‥‥」


「じゃ、本の中に瞬間転移って出てきません?」


「えっ、あれは‥‥‥物語の中の話でしょう?」


俺は頭を抱え込んでしまった。


後ろからアリシアが、「本当ですよ」と言って、後方の玄関に転移してみせた。


それを見た教会の人たちは、口々に「おおっ」とか「すごい」とか、「本当だったのか?」と言っている。


なんだか、それを聞いて新鮮味を覚える。


俺は少しだけ気分が良くなって、屋敷の玄関にいるメンバーを手招きする。


「えっと、今から神聖ジェラルディン国にいくことになったから、みんなで行くよ」


それを聞いたメンバーは、みんな了解したけど、この件は早く片付けないと‥‥‥



俺は教会の神官たちを、転移させた。


神官たちに、どこにあるのか、よく聞いて転移したけど、案外近くて、よかった。


今までいた山荘の方が遠かったことがわかった。


いつも、上空から通り過ぎていたところだった。


数秒前はオーリス王国にいたのに、転移で一瞬で、自分達の国に戻ってこれたことに驚いていた。


しかし、まさか、物語の中だけの魔法にされているとは思っていなかった。


あの時、コリンを見たら、落ち込んでいたな〜。



ここが神聖ジェラルディン国か? しかし、、どこそこに宗教色があるというか、ちょっと変わっている。


いつもは上空から見ているだけだったけど、改めて街を見ると、建物が違うくらいで人は同じだ。


でも、なんだか雰囲気がおかしい?


しかも街に活気がない???


あれっ、この感じ、前に見たような‥‥‥

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