第568話 救世主への道27(レジーナ王国編、エマとリアム)

王子と、もう1人の男性の話を聞いているとマトを得ている。


この2人なら信用できるかもしれない。


でも、まだ、この2人を観察する必要がある。


俺が、そう思っていた時に、リアムとエマが発言した。


その内容は「では、私たちが直に行ってみましょう」と


「えっ、2人が?」


「でも、君たちじゃ危険じゃないかな」


「大丈夫ですよ、私たちは透明になることもできますし、転移の魔法だって使えます、そして猫ですから、城に紛れ込んでも、騒ぎが起きるだけです」


「まぁ、曲者って入れなくていいけど‥‥‥」


「ご主人さま、今、何を思ったんですか?」


「いや、曲者じゃなく、ネコ者っていうのかな、と思って」


「もう、ご主人さま」と怒り気味に注意された。


「では、言っていいですか?」


「うん、頼むよ、君たちも検索魔法が使えるから、位置はわかるね」


「はい、もちろんです」


「じゃ、頼むよ」とネコになったまま、転移して消えた。



リアムとエマが、部屋の隅っこに透明になったまま転移してきた。


透明になりながらカーテンの後ろに転移してきたので、誰にも気が付かれない。


王子の部屋だけあって、カーテンも豪華で重たい作りをしているため、揺らぎも起きずに転移してきたけど、これが安いカーテンだったら揺れがあったかもしれない。


豪華なカーテンに助けられて2人は隠密行動を行う。


話を聞くにはカーテンの後ろでよかったのに、2匹は透明になっていることをいいことに机に近づいていく。


人が動けば、いくら透明になっていても、豪華なカーペットに足跡が見えるが、体重が軽いし、猫の小さい足では跡も見えにくい。


そして2人は肉球があるため歩くときに音を立てることはない。


そして獲物を狙うときにネコは音も立てない。


それらの理由から、自分で行くと言った。


俺も、聞いたわけじゃないが、なんとなく、そう思って2匹に頼んだ。


机に近づいた2匹は、そばから話を聞いている。


2匹は並んで、じっと座って話を聞いている。


「王子は、倉庫を襲った人物と、カメを攻撃して倒したと思われる人物が同じ者だと言われるんですね」


「ああ、その通りだ、そんな馬鹿げた能力を持った人物が2人もいて、たまるか」


「まぁ、そうですよね」


「でも、王子、倉庫を襲った人物と、カメを阻止した人物が同じと考えるのは、どうも‥‥‥」


「どうしてだ」


「だって、距離がありすぎませんか?、ここは王都ですから、カメがいたのは、山の研究所ですよね、山の研究所にいくだけでも、歩いて結構、距離がありますよ。しかもカメは、歩いて、結構な距離を言っていたと書いてありますよ、確か川の近くまで行っていたと。あの川の部分は、もう、こちらの国の領土ではありませんよね」


「ああ、そうだな、そこまで歩いて行ってたら、数日、かかってしまうな」


「そうですよ」


「‥‥‥しかしな、それを成し遂げる魔法使いがいるとしたら、もしかしたら伝説級の魔法使いが‥‥‥」


「伝説級のですか、でも、どうして、そんな人物が、今まで発見されなかったんです?」


「どこか遠くの他の国から来たとか、今までは、ある国が拉致していて逃げ出したとか?」


「そうですね、理由をつければどうとでも、つきますもんね」


「そうだ、それは本人にしか知りえないこと」


「そうですね、でも早めに、その人物を見つけないと、向こうについちゃいますよ」


「‥‥‥そうだな、しかし、探しようがない」


念話『ご主人さま、どうしますか?』


念話『うん、いいと思う』と俺は了承した。


まずリアムが姿を現した。


男性が王子の横に突然、出現した猫に驚いて目を大きく見開く。


「お、お、王子‥‥‥横にねこが‥‥‥」と


「なに?」と言いながら王子も横を見ると王子も、そんなのがいるわけはないと思っていた所に猫がいたもんだから驚いている。


「ネコだ」


そこにリアムの悪い癖が出た。


そう普通の猫のように顔を洗う仕草をしたんだ。


そんなリアムを見て、エマが呆れ返り、姿を表す。


「で、殿下、もう1匹、ねこが」


「ああ、見ていた‥‥‥」でも、動けずにいた。別に猫が嫌いじゃない2人だったが、突然、猫が現れることに驚きで‥‥‥


エマが喋り始める。


「あの‥‥‥」と言ったもんだから余計にパニックになってしまった。


それは、そうか。俺が見ていて、これは、もうしょがない‥‥‥


俺が転移で部屋に姿を現した。


「うわっ」と王子


「王子、お初にお目にかかります」と貴族の礼をした。


「‥‥‥」王子と男性は、目を大きく開けて驚いている。口も大きく開いているし、もうちょっとしまった顔をした方がいいと思うぐらいな顔をしている。


「あの王子?」


「あ、ああ、君は何者だ?」とやっと起動した。


「もう、ご存じだと思いますが」


「もしかして倉庫を襲った人物か?」


「はい、そうです」


男性が「もしかして亀も君が?」


「はい、そうです」と答えた。


「戦争を止めるために動いております」


「戦争を?」


「はい、そうです、戦争を止めて平和な世の中にするために‥‥‥」


「では、この国は、どうするのだ?」


「そうですね、このままでは滅ぼさないといけなくなります」


「やはり‥‥‥」


「それで、滅ぼさないでいいようにするためには、大変、辛い提案があります」


「それは‥‥‥?」


「王子、あなたなら、もうわかっているでしょう?」


「‥‥‥ああ、なんとなくだがな」


「それに協力させてもらえませんか?」


「つまり、今の父上と兄をどうにかしろということか?」


「そうなりますね」


「王は、あんな亀を作った件で有罪です。ですから御退位頂くのは決まっております。しかも隣国の姫を側室に欲しいからと戦争を仕掛ける人ですから」


「それに対しては、何も言えない」


「しかし兄はどうする?」


「そうですね、あなたが即位していただけるようにお願いという訳でにもいきませんから、悪事の証拠を見つけます」


「兄の悪事の証拠?」


「はい、あの兄上は、どこかで何かを企んでいるでしょから」


「それは、私も知らないんだが」


「そうですね、これから動いてみます、それまでは、私のことは内密に」


「それは、わかっているが」


「では、また、あっ、連絡方法は、時々、見張っておりますので、ここにりんごを置いてください」と言って、机を指差した。


「りんごを置くことで、私と連絡が取りたいというサインになります」


「‥‥‥」


「では、王子」とリアムとエマを抱え上げ、俺は転移した。


残された2人は、しばらく話さず、俺の転移した場所を見ていた。



どれぐらい経ったかわからないけど再起動した2人は


「王子」


「ああ」


「やはり、あの、お方だろうな、これで、この国も救われるか、消滅させられるか、どちらかを選ぶことになった」


「そうですね、今からは、王子次第では、おの方の心が決まるということですね」


「ああ、その通りだ。あの方は神なのか?」


「ええ、そうかもしれません、人ではないような輝きがありました。あの人を信じて、動けばいいと思います。」


「そうだな、これは神の啓示だと思う。あの猫も見ていただろう。神は猫を僕にして我々に啓示を下さった」


「ええ、今が、勝負所です」


「ああ、俺もそう思う、今しかない」


「王子、やりましょう」


「ああ、今が動くときだ」


なんだか、2人して盛り上がっている。















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