第567話  救世主への道26(レジーナ王国編)

レジーナ王国に出現したどデカいカメを倒すことができたが、あまりにも影響が大きく、普段、使っていない特殊な力を行使したので、俺は参ってしまった。


俺が疲弊している時に頭の中に念話で「運命の子よ、あなたの消費した体を回復させてあげましょう」と言う生命の神クリスティアナの声がして、俺は元気になった。


まさに神のパワーだと思うけど、俺の体は正常になることができた。


「みんな、心配かけたけど、もう回復したよ」と俺がいうと「みんなは疑問の眼差しだった。


「さぁ、あとは帰る前に、もう一仕事だよ」


最後に残った一仕事とは、王をどうにかすることだか、やはり、この仕事が一番、気が重たい、しかし悪いやつなので遠慮はいらないと思う。


王を、どうにかしないと、資金がなくても、同じことが繰り返されるからだけど、正室や側室が多数、いるみたいなので、後継者には困ることはないけど、後継者争いが起きても、問題につながる。


作戦としては王には退位していただくが、後継者も考えて動く必要がある。


できるだけ平和を愛しているような人じゃないと、安心して離れることができない。



俺たちは、エイダン帝国に行くことにした。


エイダン帝国には、宿代を前払いしている高級宿があるから、その部屋に転移することにした。


俺たちは部屋から出て行く前には掃除はいらないと書いた札をドアに下げている。


まぁ、入られても何もないんだけど‥‥‥


俺たちは部屋に転移してきて、すぐに部屋を出て階段を降りていく。


フロントでは、「あれっ、お客さまたち、いらっしゃったんですか」と言われたが、「食事に行く暇もないほど‥‥‥わかるでしょう?」と言っておいた。


ここは、想像に任せるけど‥‥‥


俺たちは、宿を後にして、歩いて城の近くにいきウロウロする。


あまりにウロウロしていると、疑われるので、食事所に入る。


もちろん城が見える場所に陣取った。


食事を注文しながら、待つことにした。


俺の周りには、ジャネット、ロゼッタ、パトリシア、アリシアが座っている。


丸テーブルなので、俺が窓側に近い。


窓から俺は城の様子を見ている。


まだ時間が1日くらいしか経っていないので、大慌てになっているけど、いくら調べてもわかることはない。


透明になって倉庫に入って行ったわけだから、誰かに見られることはない。


この慌ただしい城に、どうやって潜入したらいいのか?


それを見る必要があるが、検索魔法で様子を確認すると王は、倉庫の物資が誰も知らない間になくなっているから側近の人を殴り飛ばしている。


報告にきた人が次々に王に殴られている。


王は荒い息をしながら肩を上下させている。


能力がない奴がトップに立つと、下は大変な目に事になる。


それでもついて行くやつはいるから、国が良くならない。


いっそ謀反でも、クーデターでも起こしてくれた方が良い。


まぁ、あの王の気性じゃ無理かな?


そんな勇気がある奴が、この国にいれば、ここまで悪くならないだろう。


城の外から、人の動きを見たり、城の中の状況を確認しているけど、これは行動しないと無理だな。


様子を伺っているようなことでは行動に移せない。


しかし今は、まだ明るいけど……


俺は、店から検索魔法を行使して王族を探ってみることにした。


王子や姫が、どれくらいいるかだが、年齢が幼い人は無視した。


せめて15歳以上くらいの年齢に達していないと人をまとめることは不可能だ。


国をまとめる前に城の人から人望がないと……


多くの子供があるみたいだが、その中でも一番、年長だと思える奴を見つけた。


その人物は50歳くらいの子供とは言えない奴だ。


王様が確か78歳だったと思うから子供も、それくらいにはなっているのか。


50歳の長男だと思われる奴は、今、剣の稽古中だ。


相手は将軍と言って話をしている。


「王子も、なかなか、お強い」と将軍


「将軍、おまえ、手を抜いているだろう」


「いえ、まさか、王子に対しては全力ですよ」


「ほんとうか?」


「ははっ、まぁ、ばれましたか?」


「そんなことでは強くなれんだろう」


「王子は十分、お強いですよ」


「いや、この帝国を、もっと強くしていかねねばならん、話は違うが、将軍」


「はい、なんでしょう」


「あの事件は、どう思う」


「あの事件をいうと、倉庫の物資が一晩で消えたことですな」


「そうだ、それ以外になにがある?」


「倉庫から物資が一晩で無くなるということは、普通では考えられません」


「では、普通でないものが動いているということか?」


「そうなりますな」


「うむ、それの見当は?」


将軍は両手を上げて「わかりません」


「しかし、そいつに物資を奪われたままでは、どうにも腹のもちがよくない」


「そうですな」


「しかし、倉庫の物資を運び出すだけで、かなりの人数と時間がかかるぞ」


「はい、私も、そこが疑問です」


「見張りはどうなっていた?」


「はい、たまたまですが、交代の時間と重なり、兵がいなかったのが1時間くらいかと」


「なに、一時間で、あれだけの物資を持ち出したのか?」


「そうなります」


「どれほどの大人数が動いたというのだ?」


「数百人は動かないと持ちだせませんな」


「そんな人数が動いたら、気が付くはずだぞ」


「その通りです」


「もしかしら城の誰かの犯行か?」


「まずは、それ以外は考えられません」


「外から、そんな大勢の人間が入ってくれば門番が気が付かないはずはない」


「はい、おしゃるとおりです」


「それだけの人間を動かせるとなると、奴しかいない……」


「それは、どなたですか?」


「俺の弟だ」


「弟君と言うと、第二王子のことですか?」


「きさま、しらじらしいぞ、きさまの知っておろう」


「まぁ、そうですが、将官の口からは、話せないもので」


第二王子? 誰だ、それ……


俺が思うには、今出た第二王子が気になるが、こんな第一王子がいたんでは無理だな。


ということは、王と第一王子が厄介な相手だ。


俺は第一王子から意識を引きはがして、第二王子らしき人物をさがす。


だいたいは城の最上階が王族の住む場所になっているから、そのフロアを探す事にした。


城の上階には多くの部屋がある、


50歳くらいか、もう少し下の奴を探していく。


色々、探してみたが、今は城の中にはいないみたいだ。


ある部屋が、何回、確認しても帰ってくる様子がなかったから。


ある程度、城のことは分かったから一度、宿の方に戻る事にした。


その途中にも俺たちは目を付けらないように、グループに分けて行動する。


3人から4人のグループなら冒険者という目で見られるし、俺たちは、実際に、冒険者らしい恰好をしている。


冒険者のグループのことをパーティーと呼ぶけど、変な良い方だよな。


実際に冒険者は、2人ということはあまりなく、3人以上で動く場合が多く、大勢の人を連れたパーティーもある。


俺たちは、初めのうちは冒険者ギルドに行って依頼を見つけていたが、シャーロットと出会ったあとは、あまり行かなくなっている。


ギルドよりも加盟国からは直接、俺に依頼があるから。


宿に帰ってからも王城を監視している。


今では検索魔法が全員ができるようになっているので交代で監視しているから楽で良い。


部屋を数部屋確保しているから、交代で寝たり、昼食を食べたり、夜は食堂にいったりしていたが、気になる部屋の人物が帰ってきたと報告があがった。


気になる部屋の人物は第二王子だと思われる人物だ。


俺も検索魔法を展開して部屋を監視する。


今、部屋の住人だと思われる人が自分の部屋に置かれた机に座り、書類の整理を始めている。


この部屋には他に、もう一人男性がいる。


その男性も、離れた机で書類の整理をしている。


離れた机に座る男性が立ち上がって「ルーカス様、こちらの書類を」と言って主のところに書類を持ってきた。


「俺たちが王都を離れている間に、問題が起きたみたいだな」


「そのようです」


「あがってきた書類を見てみると全部の倉庫に賊が侵入して、中のものを強奪したということだな」


「しかし、一夜にして集められた物資が、無くなる事なんてあるでしょうか?」


「普通だったら考えらえれない……」


「ということは、普通ではないことが起きたと…」


「そういうことになるな」


「その普通ではないことと言うのは、、何でしょうか?」


「それは俺にもわからん」


「そういえば魔法使う者が、異空間を持って物をいれることができると聞いたことがありますが」


「バカ言え、魔法使いがいれることができる異空間なんて、たかが知れているぞ」


「そうですよね、本当に自分が持つ、荷物くらいしか入らないでしたよね」


「ああ、そう聞いている……しかし、常識を上回るものが介入しているとしたら、どうだ?」


「えっ、そんな魔法使いなんているんですか?」


「いや、あくまでも創造の産物だが、兵士の交代の時間を考えれば、それしか思いつかない」


「それも、そうですね、たった1時間の間に全部の倉庫を空っぽにするなんて、普通だったら、かなりの時間と人数がいるますよね」


「ああ、そういうことだ」


「それをやれるだけの人物が、この国に来て、ことを成していると考えると…」


「殿下、それは、恐ろしいことですよ」


「ああ、そうだ、その者が敵に回れば、どうなるか、いや、もう敵に回っているから倉庫が襲われている、ということか?」


「殿下は、昔から王様と兄である第一王子のダニエル様とは対照的でしたからね」


「おい、めったなことを言うな」


「あっ、そうでした、どこに密偵がいるか、わかりませんから」と言って男性は口に手をやった。


「しかし、あれだけの大量な物資を入れるものが、いるということか」と王子は机に肘をついて両手を顎に当てて考えている。


「おまえは、どう思う、その人の存在を?」


「私にはわかりませんが、信用おける人物なのか、そうではなく、ただの賊なのか、見極める必要があるかと」


「そうだな、しかし、その人物に会えるだろうか?」


「どうでしょう? 今でもそれだけの力を持った人物であれば、この部屋を監視しているかもしれませんよ」


「おまえ、恐ろしいことを考えるな」


「だって王子だって、そうでしょう、その人物にあってみたいでしょう」


「それは、そうだが」


「その人物こそ、この国の救世主かもしれないんですよ」


「そうだな、この国を救える人物なら、俺はあってみたい、そしてもし仮に協力してもらえるなら……」


「このままでは、戦争をする国なんて、他国から認定されたら、多数の国が攻め込んでくるかもしれませんよ」


「ああ、わかっている、だから俺が他の国に行って調整していたじゃないか」


「しかし王子、どこの国も、あまり良い顔をしていなかったじゃないですか」


「ああ、それも、わかっている、姫を自分の側室に迎えるために戦争を仕掛けたり、巨大なカメを人工的に作る技術がある国に未来はない」


「あっ、そのカメですけど、消滅したらしいですよ、その報告をさっき、みました」


「なんだと……」


「えっと我が国の最終兵器である巨大カメをレジーナ王国に向けて出動させたが、国境付近で消滅を確認したと」


「なんだって、それを早く言え」


「もうしわけありません」


「あのカメは完成していたのか?」


「出動したということは、、たぶん、そうだと思います」


「俺が、いないあいだに……俺は、あんなものを作るのは反対だったんだ」


「ですね、でも、どうしてかわかりませんが、カメは消滅したと……報告が」


「それを誰がやったんだ?」


「さぁ、そこまでは報告に載っていません」


「……それが、倉庫を襲った人物と同じだったら……」と王子がつぶやいた。


「王子、怖いこと言わないで下さいよ。そんな人物が本当にいたら、この国を亡ぼすことも簡単じゃないですか?」


「ああ、そういうことになる」

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