第564話 救世主への道23(レジーナ王国編)
巨大すぎるカメの出現で、死んだと思っていたウルフが生きている可能性がでてきた。
しかしウルフは、あのとき、神ナサニエルに殺されたはずだ。
もしかしてかていだけど、ナサニエルが切った剣は魂を剣に留めおくことができるのか?
だから魂が霧散しなかった、ということか?
こんな巨大なカメを人間が作れるはずはない。
しかしウルフだったら、なんらかの方法で可能かもしれない。
いままのあったことを総合して考えてみると、あの麻薬事件でのこと、実験室で、なにかの薬を作ろうとしていたこと、あのドス黒い奈落のようなオーラ……
俺は、これらのことが、この巨大すぎるかカメを作ったような気がする。
ウルフが、作っていたのは、この巨大なカメだったのか?
しかし、こんなでかすぎるカメなんて、どうやって倒す事ができるんだろう。
今もレジーナ王国の騎士たちが、剣で戦おうとしているかえど、歯がたたない。
後方には大砲があるが、それでもダメだろう。
騎士の一人が逃げ遅れて、カメに食われようとしている。
俺は、俊足と転移を発動させ、そいつの首根っこの部分を捕まえて戻ってきた。
「はあはぁ」息が荒い騎士を見てみると、前、全線であった司令官だった。
「また、会いましたね」と俺が言うと司令官は、やっと、こちらを向いた。
俺の顔を見つめて…「貴殿が助けてくれた?」と小さい声で
「ええ」
司令官は立ち上がって俺の手をとり「貴殿が、ここにいてくれて、本当に助かった、まさに命の恩人とは貴殿のことだ、ありがとう」
と言って危ないところを助けたから、涙を流しながら喜んでいた。
「助かってよかったですね」
「うん、うん、ありがとう」 と言って、まだ泣いている
「それより、あのカメどうしますか?」
「陛下から指令が出ているから、どうにかしたいが、我々では、もうどうしようもない」
「でも、あのカメ、王都に向かっていますよね」
「そうなんだ、王都も、今、逃げ出す人ですごいことになっている」
「もしかしたら貴殿なら、どうにかなるのか?」と目をむけられたけど
「う~ん、わかりません」
「できないとは言わないのだな」
「ですね、なんとか良い方法を見つけないと王国が滅んでしまいますね」
「そ、そうなんだが……」
「しかし、あの固い甲羅があって、首や足や手を狙っても、対処している可能性もあるしな」
「えっ、カメに誰かが関係しているのか?」
「いいえ、こちらの話です」
俺はみんなの方を向いて顔をみても、だれも何も言わない。
意見を聞いても無理か?
こんな巨大なカメ、どう対処するか?
考えていないで、実行に移してみよう。
「まずは、俺から攻撃してみるよ」
「うん、了解」とアリシア
「俺の攻撃がうまくいったら、全員が俺と同じ所を攻撃すること」
「了解」
「はい、わかりました」
「わかった」
俺の攻撃が奴にダメージを与えるか、やってみないとわからない。
俺は攻撃する前に鑑定魔法を発動する。
あまりの巨大なカメなので、ちょっと時間がかかってしますが、しかたない
それをしらない司令官が「おい、どうした?」と言ってきたので
エイミーから「しっ」と口に指をたてて言われていた。
最年少のエイミーに怒られる司令官、というのも斬新。
俺は笑いたくなるのを我慢しながら集中する。
俺が目をあけると、エイミーが、「ご主人様が集中している時は特別な時ですから、黙っているんです」と言われて、司令官は頭をかいてエイミーに謝っていた。
鑑定魔法で何を見ているかというと、弱い部分だ。
カメの胃袋を見てしまったが、やはり思っていた通りだ。
魔物の姿や、人の形だったものがある。
たぶん、カメの餌として奴隷や捕まえた魔物を食べさせていたんだろう。
俺は、カメの甲羅の弱い分はないかと探してみた。
しかしカメの甲羅には、そういうところはなさそうだ。
首しかないのか?
しかし、一度、攻撃して手足を甲羅の中に引っ込められたら、どうしようもない持久戦になってしまう。
まずは考えていても埒が開かないので、思い切って攻撃してみることにした。
俺は飛行魔法で浮かびながら、上からカメをあらためてみてみる。
いつみても変化する訳ではないから、デカくて山が動いているみたい。
カメの甲羅には、土が大量にあり、そこに小さいけど木や草が生い茂っている。
いつから、育てれば、こんなに成長するのか?
何か、急成長するような要因があるのだろうか?
そしてカメの目を見たが赤い色をしている。
確か村で見たカメは普通の目の色をしていたと思う。
巨大化したのが原因か、どうか、わからないが目の赤さが異常状態を示しているなら、引き返すこともないだろう。
俺は、まず、効果がないことがわかっているだけ、甲羅に向けてファイヤーボールを放ってみる。
しかし、甲羅にあたってファイヤーボールは霧散してしまって焦げ跡も、つかない。
少しは破壊できることを期待したが、ダメだった。
では、首を狙ってみよう。
首にはファイヤーボールではなく、ウィンドカッターを放ってみよう。
首に狙いをつけ最大級のウィンドカッターを叩きつけたが効果の程はなかった。
ウィンドカッターが当たったところは、何も傷もついていない、最大級のウィンドカッターでもダメなのか?
ゆっくり確実に進んでいく巨大カメに対してなすすべがないのか?
念話「全員、集合』と呼んだ。
全員が飛行魔法と転移で俺の近くにくる。
「みんなで1箇所に絞って一点集中でやってみよう」
「俺がウィンドカッターで切り付けたアトも残っていないけど、そこに集中させるよ」
「はい」
「わかった」
「うん」
「やってやろうじゃいの」
「やろう」という声がして全員が横並びになって、攻撃を集中する
「ちょっと待った」と俺は声をあげた。
「カメに防御魔法がかかっている」
「えっ、ということは、誰かが人工的にしているということ?」
「いや、それはわからない、カメ自体のものかもしれないし」
「じゃ、不可能?」
「いや、まずは防御結界を破壊することをしてみよう」
カメ全体に、強力な防御魔法がかかっている、これは結界魔法の類だ。
これを破壊しない限りは、攻撃は無駄になっています。
しかしカメが結界魔法なんて、張れるのか?
俺は結界魔法の出どころを鑑定魔法で確認してみることにした。
確認してみると確かにカメの中から結界魔法は発動されている。ということはカメが自体が張っているということになる。
カメが結界を張れるのかというと、目の前に張っているカメがいるから間違いないみたい。
カメが自分の意志で貼っているのか、または生きていくから張れるようになったのかわからないが、カメは結界を張ることができるのが事実だ。
それを壊さない限り、カメを倒すことができない。
俺たち、総出の攻撃をやってみる。
「みんな炎系の魔法で揃えてやってみようか?」
「そうだね、それがいいかも」とソフィア
「では、みんないくよ」と言って俺が一番のファイヤーボールを放って、みんなは追従した。
ボアああああああああああぁぁぁぁ〜とすごい音がしたけど、ファイヤーボールは爆発しないから、焼き尽くせるか、どうかだけど、
少しは炎で黒くなったけど、すぐに色が元に戻った。
う〜ん、これじゃダメだな。
「神獣たち、ロゼッタが以前、放ったビームを出せるの?」
「ビームは特殊な方に入るからの、4人には無理かと」
「じゃ、ジャネット、パトリシア出せるということだね」
「はい、私たち3人はビームを指から出すことができます」とジャネット
「じゃ、俺と同時攻撃をしてみよう」と言って、すぐにビームを放つ準備をする。
俺がビームを放つことは初めてだが、それでもできると思って普通に指を一本立てて、打ってみる。
指から高出力のビームが出てカメに近づいていく。
それに合わせてジャネットとロゼッタとパトリシアの3人とも俺と歩調を合わせる。
しかし、俺と3人のビームでも傷一つ、つけることができない。
これじゃ、お手上げだ。
「みんな、何かいい方法ない?」
「う〜ん、そうですね」
「何にもないのじゃ、もう、こうなったらドラゴンに戻って戦うしかないのじゃ」とロゼッタ
「じゃ、私も、クマに戻って戦います」とパトリシア
「そうね、じゃ、私もフェニックスに戻って戦うわ」とジャネット
「ちょっと待って、みんな、あの巨大化したカメくらいに慣れるの?」
「そうですね、私は可能かのう、まぁ、奴よりは少し小さいが」とロゼッタ
「私は、かなり小さいですね、まぁ小さいと言っても20メーターくらいにはなりますよ」とパトリシア
「私は、そうですね、翼を広げれば40メーターくらいですかね」とジャネット
「あの全員が巨大化したら、ここは、どうなると思う」
「まぁ、平地になりますね」
「そうじゃな、凸凹がなくなって平坦になるじゃな」
「うん、そうだね」
「‥‥‥」
怪獣大戦になってしまう。
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