第563話 救世主への道22(レジーナ王国編)

午前中を過ぎようとした頃、報告が上がってきた。


尖兵隊の兵士が、一度は出ていったけど戻っているということだ。


何が原因かわからないけど、予想はつく。


「やりましたね、勇者様」と女王。


「そうですね、でも、まだまだですよ、もう少し様子を見る必要があります」


「用心深いですね」


「そうですね、そうなりました。実は宿敵がいて、そいつから2回も殺されているんですよ」と爆弾発言すると当然、2人は、驚きの表情をする。


「殺されたと言うのは、本当なんですか?」


「はい」


「しかし、今、目の前にいるじゃないですか?」


「いや〜、どうしてでしょうね」


「もう、クリス‥‥‥」と言って脇を肘打ちされた。


「えっ、嘘なんですか?」


「‥‥‥どうでしょう?」


「と言うことは本当なんですね」


「まぁ、ご想像に」


「辛い目にあっておいでなんですね」


「そのことで、今の俺が、俺たちがありますから」


「そうですか、お強いんですね」


「いえいえ、弱いですよ」


「でも、あの魔法の力なんて」


「あれは俺自身の魔法じゃなく、借り物ですから、俺自身は弱いです」


「でも‥‥‥」


「まぁ、これでも勇者をやっていますから、勇者と言っても一介の人間ですから」


「そんな‥‥‥あなたは立派に勇者をしていますよ」


「いや、演じている演じているだけですよ、さぁ、この話はもうやめましょう」



俺たちは昼ごはんをとらせてもらって、寝ることにした。もちろん、寝る場所は借りている部屋じゃない。


借りている部屋から空間に入って寝ることにした。


この空間は、他人の音も響かない。


大きな部屋があり、その中に、それぞれの個室になっている部分があるから、他人の音がしてこない。


今は城は昼間なので、変化する情報に大慌てになっているから。


落ち着いて寝ていられない。


寝て、起きる頃には少しは解消していればいいと思うが。


俺は気になることがあり、早めに目を覚まして、空間を出てきた。


俺たちが空間に入ってから3時間しか経っていない。


俺はなんだか、胸騒ぎがして女王の部屋に急いでいる、廊下を少し歩いたあと透明になって部屋に転移した。


そして透明になったまま女王たちの話を聞くことにした。


なんだか嫌な予感がする、なんの予感だろうか?


「それは、あなたたちが、やればいいことでしょう」と怒った感じで言っている。


「しかし女王様、我々では、どうしようもないんですが」


なんだ、何が、どうしようもない?


「すぐに騎士隊と兵士と、そして冒険者にも話を持ちかけなさい」


「まさか、あんな化け物が出るなんて‥‥‥」と1人ごとをいった。


うん、化け物?


俺は、すぐに先的魔法を行使して確認してみる。


そうすると山の方からすごくでかいものがゆっくり歩いてくる。


なんだ、これは?


「あんな化け物を作ったなんて、途方もないことです」


「そうね、あんなものはいないはずだから、人工的に作ったとしか思えない」


「やはり、化学実験をしていたという、前からの噂は本当だったんですね」


「そう見たいね、さぁ、どうしましょうか?、あのお方が目覚めてくれれば‥‥‥」


「あのお方?」


「そう、あのお方、昨日は寝ずに仕事をしてくれたから、今は眠っているわ、でも、部屋に言ってもいないのよね、どこにいるのか、とっても不思議な、お方よ」


俺は、それを聞いて出づらくなってしまった。


とにかく見にいくことにした。


先ほど索敵魔法で確認した場所へ透明のまま、転移してみる。


昔だったら一度でも、その場所に行かないと転移できなかったけど、最近は、そう言うことはない。


特に索敵魔法の力が上がっているので、索敵魔法で確認したものは、行ったことと同じだ。


検索魔法で確認してみた時には、大きすぎて黒すぎてよくわからなかった。


人工的に作ったものというのは、なんだ? 


何を作ったんだ。


俺は索敵魔法で見たものを確認するためにきたが、大きすぎて離れないと全体像が見えない。


大きな山が動いているような感じがする。


歩くたびにズシン、ズシンと音が鳴り響く。


なんだ、これっ?


そのものから離れて、やっと全体像が見えた。


カメ?


俺は昔、川に住んでいるカメを見たことがあるが、こんなに大きくなかった。


でもカメを触ることはできなかった。アリシアは持って、俺にカメを近づけて楽しんでいたけど、


俺は急遽、念話でジャネットに連絡をとった。


「んっ、はい、こちらジャネットです」と寝ぼけた声が聞こえている。


「ジャネット、申し訳ないけど、今、俺がいる場所に空間の入り口を開くから、用意ができたらきてくれる?」


!っ、ジャネットの目が覚めたみたいだ。


俺は離れた場所に空間の出口を開き、出てくるまで監視を続ける。


大きいカメから離れたところでも、確認できるから、見つからない場所にした。


ジャネットたちが出てくるまで待っているが、大きすぎる、こんなのを実験で作れるものなのか?


どんなことをしたら、これだけ大きくなるんだ。


ジャネットたちが空間から出てきたけど、驚いている。


そこにアリシアが近寄ってきて「クリス、しっかり寝ているの?」と言ってきた。


「いや、嫌な予感がしてね」


「もう」と言ってズシンと大きな音がしたので、アリシアが、音の方向を見る


「何、あれ」アリシアはカメの方を見ていなかったみたい。


「大きなカメ」と俺がいうと「そんなことわかっているわよ、どうしてあんなに大きいの?」


「何かの実験にされたみたいだよ」


「えっ、実験であんな大きくなるものなの?」


「いや、知らないけど」


ジャネットがきて「あれはカメでも私たちみたいな神獣でもないですね」


「うん、なんだか人工的に作られたらしいんだ、昔から噂があったんだって」


「それで、どうしましょう」


「うん、逃げるわけには行かないから、カメは王都の方に向かっているね」


「この方向だと、行きそうだね」とイザベラ


ソフィアが「どうしようか?」


みんなが、どうしたらいいのか、わからないから俺に聞いてくる。


俺だってカメは苦手だ。


亀って固い甲羅があるし、甲羅から出ている首、足、手? を攻撃するしかない。


でも、こんな大きなカメを人間が作れるのか? おかしいじゃないか。


こんなカメが食べるものっていったら大変な量だぞ。


もしかしてカメって肉食?


これだけ大きいカメだったら、魔物とかを丸飲みか、または人間?


怖いことを考えてしまった。


しかし、本当に大きいから魔物なんか数体、食べさせないとお腹が満たされないと思うけど。


「誰か、このカメが、何をたべるか、知っている?」と恐る恐る聞いてみた


ジャネットが答えてくれた「はい、あのカメがカミツキガメという種類ですから、何でもだと思いますが肉食ですね」


「じゃぁさ、もしかして餌っていったら……」


「ご想像の通りかと」ジャネット


やっぱりか、エイダン帝国は、こんなものまで用意していたのか?


なんだか最終兵器って感じがするな。でも、これを放ってレジーナ王国を亡ぼすつもりだったのか?


こんなでかい奴、どうやって倒すんだよ。


あっでも、まてよ俺たちはウルフの代わりに、ここにきて戦争を止めようとしているんだったよな。


その時に、こんな奴、出たのか?


「えっと、ジャネット、君たちが以前、ウルフとともにここに来ていると思うけど、その時に、あんな大きなカメでたの?」


「いいえ、あんなのでた記憶はありません」


やはりか……


「ご主人さま、どうしたんですか?」


「いや、俺は勘違いしていたんじゃないかと」


「なにをですか?」


「どういうわけか、ウルフは生きている……」


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