第556話 救世主への道16
俺がセラフィーナの話の後に、それは突然、頭に異変が起きた。
「なんだ?」 全員が俺の異変に気づき、俺を見ているが手が出せない。
というのは俺が魔法を発動させたわけでもなく金色に輝き出したからだ。
「クリスっ」とアリシアの声が響く
みんなは、どうしたら良いのかわからない‥‥‥
ジャネットでさえ、どうしたら良いのかわからないので動けない。
俺も突然のことに、何が起きているのか、わからない‥‥‥。
そこに念話で神クリスティアナから‥‥‥
『クリス、落ち着きなさい」
「えっ、しかし‥‥‥」
「運命の子よ、救世主としての覚醒が起こりました。あなたは、もう救世主として目覚め、行動することになります。
あなたの一挙手一投足が、世界を動かす歯車となります」
と念話が切れた。
「みんな心配しないで、今、神クリスティアナから念話が入ったから」
「あ〜、そう?」
「でも、突然だったね」
「一番、驚いたのはクリスだね」とイザベラ
リアムがテーブルに飛び乗り立ち上がって「みなさん、クリス様は救世主として行動することを運命づけられました」
エマもテーブルに飛び乗り立って「ご主人さま様は、これから困難な道のりをみなさんと共にあるんで行かれます。
それが、この星フレアを救う道になります。
みなさんが一致団結してご主人さまと行動を共にすれば、世界を救うことができます」
どうして、2人が、そのことを知っているのか、やはり、そういうことなのか?
*
俺は金色に輝いた時に、頭の中に多くの情報が入ってきた。
その情報の中には、勇者としての情報もあれば救世主としての情報も入ってきた。
今まで俺が求めていたものが俺の頭の中に全てある。
俺が今まで必死に本を読んだり夜更けまで探したりした情報が、こんなことで手に入るなんて‥‥‥
あんなに探しても、どこにもなかったものが‥‥‥
*
情報は入ってきても、勇者と救世主の勉強をした感じで、今までとなんら変わりない。
しかし勇者の能力、救世主としての能力がわかっただけでもありがたい。
今までは、何ができて、何ができないのか、わからなかった。
誰に教わることもなく、自分でやっていくしかなかったから‥‥‥こんな時、良い先生がいればよかった。
俺はたぶん、今までフレア星で生まれた歴代の勇者の記憶も併せ持ってしまったが、出現した勇者は、ろくな奴がいない。
初代の勇者は、金儲けに走って王国に取り入り、その関係で仲良くなった姫といちゃついていた時に、暗部から殺されている。
二代めの勇者は、パーティーメンバーとドラゴン退治に行き、ブレスで燃やされているんだが、そのドラゴンがロゼッタだ。
以前、ロゼッタが寝ているところに勇者がやってきたと言う話をしたことがあるんだが、ロゼッタは寝ぼけて火を吐いたらしい。
その火に燃やされて死亡したということだ。
勇者の3代めは、女性ばかりのパーティーを作って、女遊びばかりして、行為の最中に女性に殺されたということだ。
自分で治癒魔法も使えなかったみたいだが、殺した女性が治癒士だったと。
そして4代目、5代目、6代目と勇者が出て、俺が7代目の勇者‥‥‥
勇者と言っても、魔物退治をしたり、金儲け、女あそびなどばかりだ。
参考になんてなりゃしない‥‥‥、馬鹿ばかりだ。
しかし今まで本物の勇者らしいことをした奴はいない。
勇者というのは、他の冒険者が倒すことができないのを、倒すのが勇者だと思われている。
勇者っていうのは、そんなに小さいレベルなのか?
本当に、俺もそれだったら、どんなにいいか?
でも、泣き言は言っていられない。
でも勇者だって、苦しい時は、苦しいし、痛い時は痛いと言いたい。
勇者だって人間だ、俺も人間だよ。
*
世界の滅亡が迫っているけど、ウルフがいなくなったと思われるので、平和になるようにしていく必要がある。
そのために介入して、止めるか、聞かなければ、どうにかしなければならない。
たとえ殺すことになっても、しかし、こんなことは初めてするので、どうやるか考える必要がある。
*
俺たちはウルフが初めて介入した3071年9月7日じゃなく、もっと前にいく必要があるのが戦争と言っても、集まるものが多くあり、数日ではできない。
だから情報収集もする必要があるので、1か月前に行く事にした。
だから3071年8月に入ったころに戦争を仕掛ける国に全員で転移してきた。
もちろんエマとリアムも一緒にきている。
その国の名前は、エイダン帝国というらしい。
まずは情報を集める必要があるので、俺たちはいつも通り王都の上空から透明になって街並みをみている。
やはり戦争が起きようとしているということで慌ただしい。
俺たちが上空から誰もいない路地を見つけて下りて透明魔法を解除した。
そして路地から人通りが大きい街道にでてきた。
周りを見渡すと、俺たちの町と大差ない。
どうしてかわからないけど、発展というのがない。
変だな……
どこの世界に行っても、俺たちが住んでいる世界と大差ない、経済発展がすることがないのか、それほど研究者、学者がいないのか?
おかしい、誰かが発展するのを止めているみたいな感じがする。
街をウロウロしていると一軒の屋台があって、いい匂いがしてきている。
俺は全員をみて、欲しそうな顔をしていたし、神獣の4人に至っては、よだれがでそうな顔だった。
実際にアレクとアデルは、よだれを拭いていた。
エイミーとアイリスは、欲しそうな顔をしていたけど。
よっぽどお腹がへっているのか、アレクとアデルは俺が屋台に行って店主に注文する時に横にきていた。
他の皆は、少し離れたところにいる。
「あのすいません、焼き串を28本焼いてもらますか?」
「いらっしゃい、28本もいるのか?」
「はい、あそこで待っている人も分も」
「そうかい、ちょっと待ってな」と言って店主は焼き始めた。
店主が俺に話かけてきて「家族の集まりかい?」ときいてきたので「はい、そうです」と答えると「僕のところの家族は美人の方、ばかりだね」
「ええ、実は男、俺、一人なのでいつも注目をあびてこまっているんですよ」
「ははっ、そうだろうな、まるでハーレムだ」
「ところで、俺たち、ここの親戚の家に初めて来たんですが、ここはなんていう国ですか?」
「ここはね、エイダンっていく国で、エイダン王が納める国だよ」
「へ~、エイダン?」
「あー、そうさ、でも、もうすぐ戦争ははじまるよ」
「えっ、戦争ですか?」俺がちらっと焼き串の方を見ると、おいちゃん、焦げているよ、と心の中で思ったけど、情報を集めることが優先されるので我慢した。
「ほら、ここからでも見えるだろう、あれがエイダン18世が住む、城さ」とおいちゃんは焼き串が焦げるのも構わず指さした。
18世にもなる長く続く国なんだ。
もう城は上空から確認しているので、お城は知っている。
焼き串が、どんどん焦げて煙がでる。
おいちゃんは、やっと焦げた焼き串を、袋に入れてくれた。
結構、焦げています、その焼き串…
「おいちゃん、どうして戦争するの?」
「それは、俺にもわからないけど、噂じゃ、資源の関係らしいよ」
資源か?
おいちゃんが尚も「それとな」と声を低くして「うわさじゃ、戦争を仕掛ける国のお姫様をエイダン18世王がに気行って、側室にするためと言う噂もあるんだが」
「えっ、姫を側室に?」とおいちゃんが小声で話したので、俺も小声になってしまった。
「ああ、そうさ、まったく何人の側室をもらえばいいんだが」
「えっ、そんなにいっぱいいるの?」
「ああ、正室が5人で、側室が11人だ」
「えっ、そんなに……」
「ああ、詳しい事情を知っている人の情報さ」
「王様は、何歳なの?」
「ははっ、聞いて驚けよ、78歳さ」
「ええっ、78歳、それで相手の姫は何歳なの?」
「15歳さ」
「えっ、そんなに違うの? それじゃあ、孫と祖父じゃないですか?」
「そうなんだよ、俺のところも子供が同じ年だから、その子供が78歳のおじいちゃんの相手すると考えると、ほんとうに憤りを感じるよ」
「でも、戦争ということは相手は、反対したんだよね」
「ああ、もちろんさ、あんなじじいにかわいい子供はやれんってな」
「そうだよね」
そこにジャネットがやってきた。
「店主、聞いていましたが、そんなことが、どうして起きたんですか?」
「ああ、美人さんには本当のことを話さないとな」今までのことは嘘だったんかい。
「なんでもどこかの舞踏会で姫を見初めて、手を出そうとしたらしい」
「えっ、一国の姫を?」
「ああ、舞踏会で誘拐されて危ないところを見つけられたらしいんだが、それから何かにつけて手を出そうとして、最終的には断られて、戦争ってなってしまってな」
「そんな、悪いのは、エイダン王なのに」
「でもな、色恋ざたには限りがないからな」
「ほんとうに、うちの王様のいい年なんだから、やめてほしいよな。ほら、焼けたぞ
」といって手渡してくれた。
俺たちは、熱々のうちに食べるために、メンバーのもとに行った。
俺が初めに焦げた焼き串を取った。
「クリス、それって焦げているよ」
「うん、わかっている」
みんなが俺の食べている焼き串をみて、ジャネットが持つ袋から焦げていない焼き串を選んで食べている。
おれが焦げた焼き串をたべながら、苦さとおいしくなさが相まって、さっき聞いたことを考えていた。
おいちゃん、焼き串、おいしくないよ……
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