第539話 未来への扉2

俺は未来へいくことができるようになったが、いくことができるのは、数時間先だけ。


だから、本当の意味で行けるとは言い難い。


しかも、その場所に行けるけど、そこにいる自分に融合するといった方がいいかもしれないが、それが変な感じだ。


いや待てよ、融合しないでできないものかな?


融合しないと、その時間には2人の俺がいることになる。


それは危険なことじゃないか?


何が起きるのか、わかったものじゃない、もしかしたら何も起きないかもしれないが。


しかし、これじゃ、未来にはいくことができない。


もっと先にいくことができないと‥‥‥


もう夜中になっていると思うので、もう今日は寝よう。


休息も大切だ。


俺は、現場はこのままにして本棚の部分だけ記憶することにした。まだ、残っている本を確認した。


そしてマントを羽織ったまま自分の部屋に転移した。


部屋ではマントをとって、寝巻きに着替えてベットに入ったら、すぐに眠ってしまった。



翌朝、目を覚まして検索魔法で確認すると、みんなは目を覚ましているみたい。


俺も、寝巻きから洋服に着替えて出ようとしたけど、マントが気になった。


マントが気になったというよりも、マントが自分で動いた気がしたんだ。


マントが動くなんて、どうかしている。


そんなわけないよな。と言ってマントを取ろうとしら、「あっ、ご主人さま」と声がした。


キョロキョロして声の主を探したが、いない‥‥‥もしかしてマントが喋った?


まさか、疲れているのか?


なんてことを考えていたらマントが「昨日、ご主人さまに魔力を注入してもらって、あの、ありがとうございます」と言い出した。


「えええええええええぇぇぇ〜〜」俺は驚いた。


マントが喋っている‥‥‥


マントからお礼を言われたよ‥‥


「ボンッ」と音を立てながらマントが小さいネコになった。


「‥‥‥」


「あの、ご主人さま、私です、マントです」


俺は頭を抱えてしまった。


ちょっと整理しよう、マントがネコになるなんて、あるのか?と考えていたら


「ご主人さま、ありますよ」と言ってきた。


「‥‥‥」何も言わずにネコの方を見る。


「そ、そんなにじっと見られると恥ずかしいじゃないですか?」とネコがクネクネしながら言い出した。


「えっと、君は本当にマントなの?」


「はい、そうです。私は長い間、あそこでご主人さまが来るのを待っていました」


「えっ、俺を待っていた?」


「はい、そうです、ご主人さま」


「えっと、誰が待たせていた?」


「嫌だな、ご主人さまじゃないですか」


「えっ、俺が君をここに待たせていた?」


「そうですよ、でも、待ちくたびれて魔力がなくなって動けなくなりましたが、昨日、私に魔力を注入してくれてから動けるようになりました」


「えっと、君はネコなの、マントなの?」


「私の本当の姿はマントです」


「でも、今はネコだよね」


「はい、この方が動きやすいですから」


「あれっ、昨日の鑑定魔法では、そんなことわからなかったよ」


「はい、あの時は、魔力不足でしたから‥‥‥」


「そ、そうなんだ」


まぁ、敵じゃないからいいけど、俺が、このマントを作ったのかな?


「えっと、君に頼めば未来に行けるの?」


「はい、頼むっていうのは違いますけど、可能ですよ」


「そうなんだ、よかった、未来にいくことができるんだね」


「というか、ご主人さまの能力に私が協力するだけなんですが」


「えっ、俺の能力に協力するだけ?」


「はい、そうですよ」


「じゃ、未来にいく能力は、俺にあるということ?」


「そうですよ、ご主人さまは難しく考えすぎなんです」


「だって、しょうがないよ、初めてのことだし」


「まぁ、そいう点を考えて、私が作られたんですが」


やはり、そうなのか?


「じゃ、君は俺の補助をしてくれるということ?」


「そうです、今のあなたでは、あまりにも前世のアルベルト様の意識を受けすぎています。おっかなびっくりでは、だめです。それをお助けするのが、私です」


ズバリ言ってくるな。


「今のあなたは、あまりにも小心者です。それを私が指示していきます。このままじゃ、世界を救えません」


クマが先生なのか? 俺も酷いことを考えるな。


「じゃ、君がいれば世界を救える?」


「そうではありませんよ、あなたが救うんです。救うのが私じゃありません」


「そう」


「私はあなたに助言するだけです。お腹空きましたから、食事に行きましょう」


マントのくせに食べるのかよ。


「ほら、行きますよ」と言って小さい手を俺に差し出した。


流石に、その手を取ることはできないけど、顔つきも可愛い感じだし、女性たちがなんて、いうのか気になる。


俺とネコが、一緒に食堂に現れる。想像しただけでも、なんだか冷やかされそうだ。


ネコが階段を降りるが、遅いので俺がしょうがなく抱っこしてやった。


そこを間が悪いことにアリシアに見られてしまった。


「ク、クリス‥‥そんな趣味があったの?」


「いや、これは違うよ」


「もしかしてクリスの抱き枕?」


「いや、それも違う」


「もしかしてファンの子からもらったの?」


「いや、それも違うから」


「じゃ、どうして、そんなネコのぬいぐるみなんか持っているのよ?」


「いや、これはぬいぐるみなんかじゃないよ」


「えっ、そうなの、ぬいぐるみにしか見えないけど」


「これは、俺のマントなんだ」


「えっ、それがマント?、どこをどうしたらマントに見えるのよ」


「えっ、そ、それは変化するんだよ」


今まで喋っていたネコが、動きもしないし喋りもしない。


「え〜、ネコのぬいぐるみを持っていることがバレて苦し紛れの言い訳?」


「いや、違うよ、さっきも、こいつが腹へったっていうから‥‥‥」


「へ〜、ぬいぐるみが腹減ったっていうんだ」


「いや、こいつが‥‥‥」と言っていたら突然、ネコが笑い出した。


「あ〜〜、面白かったぁ」とネコ


アリシアの顔が蒼白なる。


「お前ね‥‥‥」


「まぁ、面白いからいいじゃない、ねぇ、あねさん」


「く、ネコが喋った〜」アリシアが後ろへ下がる。


「ネコだって喋りますよ、お仲間にもネコがいるでしょ」とネコ


「えっ、いないよ、神獣たちは人型ばかりだから獣だってことを忘れているよ」


「ネ、ネコが本当に喋るんだ」


「ね、嘘じゃないだろ」


「ネ、ネコのぬいぐるみが、ぬいぐるみが‥‥‥」まだ現実逃避している。


「アリシア、ちょっとしっかりして」


「じゃ、全部のぬいぐるみはしゃべるの?」とアリシアは嬉しそう


「喋んないよ。だから、こいつは、う〜んと魔道具だよ」


「魔道具?」


「そう、魔道具」


「ちょっとクリス、抱いていい?」


「あっ、はい、どうぞ」


「キャ〜、何これ、もふもふで可愛い」


「あっ、あまり抱き締めると埃が出るよ」


「えっ、そう? 」


ネコのぬいぐるみから埃が落ちる。


「うわっ、本当だ、今度、洗ってあげるね。それでクリス、名前は?」


「えっ、名前?」


「そう、名前」


「名前は、お前、あるの?」


「失礼な素晴らしい、名前がありますよ。リアムです」


「えっ、リアム?」


「はい、リアムです、ご主人さまがつけてくれた名前です」


「リアムっていったら守護者という意味だったと思うんだけど」とアリシア


「はい、その通りです、さすがは、あねさんですね」


アリシアが抱っこしているネコがリアムという名前らしいけど立派すぎる。


「じゃ、リアムは後で洗うとして、クリス食事、行きましょう」


「うん、そうだね」


俺たち2人が食堂に入っていくと、全員がアリシアが抱いているネコに驚いた。


「アリシア、もう20歳になろうかとしているんだから、食堂まで抱いてくるなんて‥‥‥ネコのぬいぐるみはないわね」とイザベラ


ソフィア「うん、そうだね、せめて部屋の中だけにしてほしいわね」


「えっ、違うわよ」とアリシアが顔を赤くしていっている。


アデルとアレクとエイミーとアイリスが近寄ってきて、「可愛いね〜」ととか言いながら撫でている。


そこに「こら、ちびっ子ども、私に触るな」といったので、今までぬいぐるみと思っていた4人は、唖然と驚いている。


「キャ〜、なに、これ?」

「今、話したわよ」

「モフモフ」

「可愛い」


と騒ぎになってしまった。


なんだか、このネコ、根性が悪い。ぬいぐるみのを振りをするなんて‥‥‥

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