第527話 魔族、魔物襲来6

俺たちは国の名前を知らない場所で、陛下と呼ばれる人と会って、戦いに参加することになったが、どうもおかしい。


しかし人命がかかっているかもしれないので、俺たちは先ほど上空から確認した最前線の近くにいくことにした。


今は多くの兵士、騎士、冒険者が戦っている。


俺たちが上空から降りていき「あとは、俺たちが引き受けるので、前線から下がって」というと、必ずいるのが、「そういうわけには行くか」と言う人


「今から一気に殲滅するから、危険ですよ」と俺


「お前、魔法使いか?」


「そうです」


「しかしよ、俺は戦い慣れているから、お前さんの邪魔になることはないと思うぜ」


「そうですか? では魔法を放つときだけ、あなたの方向には打たないようにしましょう」と言ったけど、この人、大丈夫なのかな?


少し離れたところで戦い始めたけど、一向に敵を倒すことができていない。


押されてばかりで役になっていない。


今は俺だけが大規模魔法を発動するから、メンバーは下がっている。


全方に人がいないことを確認して、火の魔法のインフェルノを初めて発動する。


俺のインフェルノの特徴は、遠くまで炎が届き、炎の威力も強いことが特徴だが、広範囲に放てば全て燃え尽きるまで消えないことだ。


一度、火がついたものは、自分で消化することもできないし水をかけても炎は消えない。


インフェルノとは地獄の地獄の炎の意味があるから。地獄の炎が簡単に消える事はないし人を焼き尽くしていく炎だ。


だから単純な赤とは違い、色が黒い色をしている。


魔法を試す意味でもいいチャンスだと思うし、他国だから、焼け野原となっても、あとは知らない‥‥‥。


とにかく人の命を第一に考えて魔物と魔族を倒すこと。


俺は魔法のインフェルノを発動して放つ。


一気に炎が威力を増して、すごい音と共に、魔族と魔物の方角へ飛んでいく。


さっきの男性は俺の魔法を見て、あんぐりと口を開けて呆然している。


魔族と魔物がいた辺りは、焼け野原となり、もう、そこには姿を成すものは残っていない。


「俺、都合悪くなったから、下がるな」と男性は言って、後方に下がった。


「じゃ、みんな、倒していくよ」今日で3回目の攻撃となる戦いを始める。


俺はブラックボックスを見つけるために上空から見つけ出して聖属性魔法を行使して消滅させる。


ほぼ1時間で、全滅させることができた。


メンバーの負担は計り知れないものがあると思う。


しかし体の消耗は少ないと思われた。


どこかで休憩を入れた方がいいだろう。


俺は戦闘を終えたメンバーを連れて戻るのではなく、異空間に入って休憩と食事をしてもらった。


「みんな、ご苦労様」


「クリスこそ、大丈夫?」


「うん、まだね、俺の後で食事させてもらうから」と言って異空間の入り口を閉じた。


俺は初めにあった男性に会いにいく必要がある。


前線であった男性は見当たらない‥‥‥?


俺が指揮官だと思った男性に会いに元の場所にいくと、そこには何もない‥‥‥


あれっ?


近くにいた人に聞いてみると危険になったんで前世から離れたんじゃないかと言われた。


そういえば、あった時に、そんなことを言っていたな。


まぁ、探すのも面倒しいし、いいか。


俺は戦いを挟んだため、以前、感じていた違和感を忘れていた。



次に魔物、魔族襲来の場所にいくために、検索魔法で探してみるが、どこも同じようなものだと気がついた。


魔物や魔族が多くいるところもあるけど少ないところもある。


どういう理由かわからないけど、何をターゲットにして少ないところと多いところを決めているのかわからない。


大きな都市ほど、敵が多いのかというと、そうではないみたいだから。


俺たちは次に魔物、魔族が多く出没している場所に急ぐことにした。


1時間くらい高速で飛んで、魔物や魔族が多い場所の上空に着いたけど、俺は指揮官に会いに行かないで、しばらく上空から見ることにした。


指揮官に会うのはジャネットとソフィアとアリシアに任せた。


もちろん俺がきていることを説明に入れたほうがいいと思って俺のカードを渡している。


俺は上空で魔物と魔族の動きを見ていると、1カ所だけ動いていない奴がいることに気がついた。


動いていない場所には魔物はいない、魔族だけがいる。


魔族だけが動いていない場所を監視しているとわかったことがある。


それは地面を掘っている。


まだ地面を掘り始めたところだったので、、埋まっているものがあるのか、今から埋めようとしているのか?


魔族が5人で地面を道具を使って掘っている。


なんだ? 何があるんだ?


俺は鑑定魔法を用いて地面に埋まっている何かを確認してみた。


今、奴らが掘っているところから下へ4メートル以上、掘った場所に何かが埋まっている。


魔物や魔族の襲来は、これを隠すためか?


埋まっているものを鑑定魔法で確認してみると、ウルフの奴が持っていたレリックと同じものだ。


形は違うけど鑑定魔法では、レリックと表示される。


世界中で魔物や魔族が襲来しているのはレリックの存在を隠すためなのか?


いまだにウルフが持っていたレリックの使用方法はわかっていないが、奴らよりも先に手に入れる必要がある。


俺は意識を集中して鑑定魔法で確認したレリックの位置を把握して、手元に瞬間転移させた。


俺は土が着いているレリックをマジマジみてみる。


へー、これがレリックか?


色は灰色で形は平らになって、薄い石みたいだ。


うん、もしかして世界中のレリックを見つけることができるかもしれない。


俺の魔法は世界中をカバーできるから、今の要領ですれば可能かな?


俺は目の前にある魔族が今も掘っているのを無視して、早速考えたことを実行しようと思ってやってみた。


世界中のレリックに検索魔法と鑑定魔法を同時にかけて見つけ出す。


そうすると13個のレリックが見つかった。


他にも地中に埋まっているわけではないレリックが存在している。


これは、地中に埋まっていないのは掘り出された奴かな?


掘り出されたレリックが3つある。


俺は、全てをロックオンして自分の手元に転移させた。


「ジャラ」と手から溢れそうになるが、なんとか落とさずに済む。


今は俺がいるのは、上空に浮いているから、落とすと気づかれてしまう。


俺は、取られないように一つ一つに結界魔法でカバーして、空間に入れた。


これで世界中、どこを探してもレリックは出てこない。


あとで空間で確認してみよう。


念話で「ご主人さま‥‥‥やはりご主人様じゃないと無理みたいです』とジャネットから。


『わかった、すぐ行く』


俺は時間が惜しいので、ジャネットの横に転移してきた。


俺が急に現れるから、メンバー以外は、驚いている。


「うわっ、なんだ?」

「わ〜、人が出てきた」


「え〜と誰が指揮官?」と俺がいうと、ジャネットが手で示してくれた。


「あなたが、ここの指揮官?」


驚きから戻った指揮官は「そ、そうだ」


「では、指揮官様、俺たちが魔物と魔族を倒してきますので、料金をいただけますか?」


「そ、そんなの払えん」


「そうですか?」


「では、俺たちしか倒せない魔物や魔族なんですけどね」


「なに、お前たち、本当に勇者なのか?」


「だから、さっきから彼女が言っているでしょう?」


「ああ、言ってはいたが、到底、信じられん」


「別に信じてもらう必要はありませんよ、ところであなたは、この国の何者ですか?」


「わしは、貴族で将軍だ」


「それを証明するものはありますか?」


体をゴソゴソしてカードを出す、そこには貴族で伯爵と書いてある。


「では、伯爵、私はオーリス王国、ダイラス連邦、リッチェスト国、サイラス帝国、ブラッドフォード大公国、ライオネル公国、オズワルド王国を束ねる盟主で貴族位を持っている公爵だ、本当なら国賓レベルだぞ。

その俺が、魔物や魔族を倒してやると言っているんだ。

俺よりも地位が低い伯爵が何を屁理屈を言っている。

さっさと依頼料を払う用意をしろ。

この馬鹿者め」というと伯爵は、顔を青くして「申し訳ありません、公爵」と地面に手をついた。


この伯爵は、上の貴族には弱いみたいだ。


「なんていうのは芝居ですが、全て本物ですよ」と声をかけると、余計に地面に伏せたまま震え出した。


「申し訳ありません公爵様、すぐにご用意をいたします」


「あっ、そのお金は、この国の孤児院に送ってもらえますか?」


「えっ?」


「どこの国でも孤児院は資金不足なんですよ、未来を背負っている可能性もある子供たちに食べるものもないんじゃ未来がなくなるじゃないですか」


「‥‥‥」


「孤児院の子供達は今は貧しいかも分かりませんが鍛えれば原石になる可能性もあるんですよ」


「‥‥‥」


「それも磨けば輝く原石に‥‥‥」


「分りました。私が責任を持って孤児院に依頼料を寄付します」


「今から俺たちが魔物と魔族を倒してきますから、今いる人たちは下がってもらってください」


「あの依頼の料金は、どれくらいですか?」


それはあなたが決めてください。もちろん少なければ私は、あなたが、そう言う人だと思うだけです」


「ははーっ、わかりました、公爵様の期待を裏切ることがないように国と話してみます」


「うん、頼むね」


「本当なら、この国に俺たちがこなくてもいいと思ったんだけど、あなたに会えてよかったよ」


「はっ、ありがとうございます」と言って伯爵は、額を地面にさらに押しつけた。


「あの最後に一つだけ‥‥‥」


「うん、なんです?」


「あの、あの公爵様、あなたが勇者クリス様ですか?」


「そう、俺の名前はクリス‥‥‥勇者の称号を持っている」

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