第520話 ウルフと神

俺たちは1000年後から現世に戻ってきたが、気になることがありすぎる。


ウルフは、いつ復活してしまうのか? 復活するとも限らないけど。


どうして1000年後だったのか? あの時代にジュリアス伯爵が麻薬で人を操れる薬を完成させるからか?


今まで麻薬の事件があったけど、すべては麻薬で人を操れる薬を完成させる事が目的なのか。


俺に前世のアルベルトとしてのできことを見せたのは、どうしてなのか?


ウルフを完全に消滅させることができるのか?


問題を挙げればキリがない。


しかし驚いたのはウルフを助けに神が現れたかと思ったけど、その神がウルフをぶった切るとは思わなかった。


しかし決定的な証拠は無いけど今まで俺が関わった事件すべてにウルフが関与している可能性が強く出てきた。


オーリス王国の王子暗殺、王を斬り殺そうとしたり、シャーロットも狙われたり、そしてオーリス王国の僻地で起きた領地の麻薬事件。


ダイラス連邦でのアリシアと子供たち誘拐事件、サイラス皇帝の子供誘拐事件、ブラッドフォード大公国の主犯格だと思われていた王が案外操られていた可能性もある。


そしてセラフィーナの誘拐事件の関与も疑われてしまう。


今まで起きた事件が背後にウルフが入るとしたら全てがつながってくるんだ。


しかし確証は無い。


あくまでも想像の範囲でと言うことだ。



俺は、1000年後に行ってイーノック王国から、自分の国、オーリス王国に帰ってきた。


なんだか今回はすごくハードだったような気がする。


たまにはゆっくりしたいなと思ってオーリス王国の屋敷よりも山荘の温泉がある屋敷に滞在している。


山の空気を堪能して、温泉に入ることが目的だ。


俺たちはオーリス王国の屋敷から、ブラッドフォード大公国の山荘がある山までメンバー全員で転移してきた。


転移して、すぐに温泉に入ったので、今は部屋でゆっくり冷たいものを飲んでいる。


今いる部屋には誰もいない。


アリシアが索敵魔法を使えるようになったので、他の使えないみんなと一緒に練習してるところだ。


もちろん神獣たちは使えるのけど、時間を持て余してしまうから一緒についていっている。


だから山荘の屋敷にいるのは俺だけになっている。


俺は冷たいものを飲みながら考えにふけっている。


どうすればウルフを消滅させることができるのか?


復活ができないくらいに消滅させること。


さらに創造神ナサニエルのこと。


ウルフを索敵してみたが、今は復活していない‥‥‥


しかし時間を遡るか、未来に行っていればわからない。



ダンジョンで指輪の能力でステータスを確認することができたが、今のオレは指輪も壊れてしまったのでステータスを確認することができない。


しかし、その時にはなかった能力の1つとして鑑定能力が身に付いている。


他人には鑑定能力で鑑定したことがあるんだけど、自分に使うのは初めてなのでできるかどうかはわからない。


なので実際に試してみることにした。


鑑定すると思えば発動して、あとは何を鑑定するのか決めること。


鑑定能力を発動して俺のステイタスを見てみると、レベルは無限大

となっている。


そして、他の魔法などの特殊能力はというと、どれも無限大と書いてあるだけ。


魔法の何がじゃなく、魔法 無限大 と書いてあるので、魔法全般が俺次第で無限大まで使えるということかな?


そして称号も確認しなくちゃ、見てみると、一度、消えた勇者の称号が復活している。


さらに救世主の称号も、そのままだ。


なんだか無限大と言われても抽象的すぎてわからないよね。


ステータスは特別驚いたようなこともなく、俺が予想した通りの結果となってしまった。


勇者の称号が復活していたのは嬉しかったけど。


特段、変わったことはなかったので、俺は少しがっかりした。


時間があったので、イーノック王国の地下で手に入れた本を紐解くことにした。


でも、新しい情報は書いてなかった。



ウルフと創造神ナサニエルの2人は、戦闘経験から聖属性魔法が効果があることはわかっている。


聖属性魔法は、攻撃しなくても光を当てるだけでも効果だ。


聖属性魔法といえば、「バニッシュ」の魔法が一番だと思うけバニッシュとは上級消滅魔法で、相手を消滅させる魔法だと文献で書いてあった。


まだ違う魔法で言えば地面から巨大な十字架を出して、十字架から光の柱が生まれて光の柱にあたるものは全て多大な被害を被る。なんていうのも書いてあったけど、今までそんな魔法を使ったことがあるのかな。


どうして十字架にそれたけど効果があるのかわからないけど十字架自体が聖属性魔法になって物体化しているからだろう。


しかし、それらは勇者が使う魔法じゃないと思う。


どこかの聖者が使う魔法じゃないかな?


魔法の呪文が書いてあるような本を今まで見たこともないから、本を見て能力がある人が唱えったって発動するわけない。


魔法書自体に誰かが魔法を込めていないと、ただの本だから。


名人と言われる人だって、作るのがうまいからじゃなくて、作るときにその人が持っている魔法力を込めて作るから最高の作品ができる。


おかしな名人が作れば、ウルフの持っていた魔剣になってしまう。


魔剣だって、魔力が込められている剣が魔剣という。


しかし、それは良い魔力が込めれれている場合だ。


魔力だって、人で能力の高さも違えば、良い魔力を持っている人もいれば、禍々しい魔力を持っているウルフのような奴が持ったり作ったりすれば、ドヨドヨしい剣が出来上がる。


そんな剣を持つことも嫌だし。


ドヨドヨしい魔力や、禍々しい魔力を持っていれば、剣に纏わせることで、剣の質が変わってくる。


俺が持っている聖剣は、勇者の剣でもあるけど、多分、俺仕様に変えられた剣だ。


初めから俺が、この剣を持つことがわかって造られた剣だと思う。


この剣はダンジョンで手に入れたが、初めて見た時には、ボロボロで錆びていて、とても使えそうな剣だとは思えなかったから。


たぶん、この聖剣を作ったのは、あの人だと思う。俺に昔から声が聞こえてくることがあったけど、前世のアルベルトのシーンを見せたのも、あの人だと理解している。


あの人とは、生命の神クリスティアナだ。


たぶん、俺の味方だと思える神で、創造神ナサニエルに敵対する神だ。


俺が考えに耽っていたら、念話が入った。


その念話は、ライオネル公国からで、つまりセラフィーナの父親からだった。


『はい、こちらクリスです、どうされました?』


「帰ってきて、早々になんだが、魔族が暴れ回って、我が国の兵士や騎士では歯がたたん、出動して欲しい」


『はい、わかりました、すぐに』と言いながら、普段着を着ていたので、話が終わらないうちにライオネル公国の王の横に転移して現れた。


「おおっ、びっくりした」と王様。


「急遽、俺だけ来ましたけど話を聞かせてください」と言いながら索敵魔法を展開する。


魔族の奴を検索すると王都のはずれの門に出現しているみたいだ。


王様が話そう‥‥としたけど「王様、緊急事態なので失礼します」と言って現場に転移した。


現場に現れてからメンバーに連絡の念話を入れる。


俺が目にした光景を、そのまま伝える。


相手は『ジャネット、ライオネル公国の俺がいる現場に魔族出現だ、至急応援にきて」


ジャネットからは、即、念話で返事が返ってきた。


ご主人さま、了解しました』と、そして練習中だった魔法をやめて、すぐに全員で転移してきた。


俺は戦闘中だったけど、念話で連絡している時に、魔族を10人くらい倒している。


ジャネットはメンバーに話をするので、少し遅れて登場した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る