第510話 1000年後の世界28
俺はエリオットの能力で、見透かされているような気がした。
そうだ、俺の能力は計り知れないところがある。それは自分でもわかっている。
だから怖さがある。
たぶん、俺が精神的なダメージを受けてしまうと暴走するだろうということ。
それほど、危ういところを持っている。
だから抑えているところもある、それと、もう一つは、前世の記憶があることだ、前世のアルベルトの時に、魔法を使うことになり戦争に突入して味方に後ろから矢を打たれたこと。
そして最後は知り合いの農民に刀で刺されたこと。
あまりに強い魔力を持つと、人は妬みが多くなり見方が敵に変わることもある、ということだ。
つまり金や名誉のための裏切りだ。
俺は、そんな汚いことを見たくもないし、考えたくもない。
でも、世の中には、そういう奴らがいる。
それが、どうしても我慢ならない。
もし、俺の前でアリシアやメンバーが殺されることが起きれば正常に保つ自信がない。
そんなことになれば人を信用できなくなり世界を滅ぼすだろう。
これは、俺の弱さだ。
だから今まで、本当に意味で自分の能力の全解放はしていない、それを異世界の初めてあった人に指摘されるとは。
いやエリオットが喋ったんじゃないような気がした。
他の誰かが、エリオットの口を使って喋ったみたいだった。
あの時に口調は、『あなたは』という単語を使った。
クリスでもなく、クリス様でもなく、あなたと言った。
そんなことを言う奴のことを知らない。
っ、思い出した、以前、ウルフと戦っている時に神レイチェルと一緒にいた生命の神クリスティアナだ。
どうして生命の神クリスティーナが、このせかいにまで干渉しようとしているのかわからないけど。
たぶん、言い方が同じだと思うから、神クリスティアナが、この時代に干渉しようとしている。
この時代にと言うよりも、俺に干渉しようとしているといったほうがいいと思う。
しかし俺がいるのは1000年前の過去の世界なので、現世に戻らなければ同じことだと思う。
神クリスティアナは俺の能力が万能だと言っていた、しかもそれを使うことを妨害しているのが俺の心の問題だと言うことなのか。
俺は何を恐れているのか?
決まっているじゃないか、戦争に巻き込まれる事であり、俺の強い力を利用されることであり、強い力のせいで国や王座を奪われるんじゃないかという疑念、魔法力のせいで怒らせたら攻撃されるんじゃないかと思うことや、人から恐れられるのを嫌っている。
俺の性格が1番邪魔しているんじゃないかと思えるくらいだ。
今更、恐れるなって言ったって無理だよね。
今まではなんとか協調関係を引き出してくれたけど、いざ平和になってしまったらどうなのかと言うことまではわからない。
もし、世界が俺を必要としなくなった時、どうすればいいのか?
何をすればいいのか、その答えは、簡単だ。
目の前から姿を消せばいいじゃないか。
そう考えると少しだけ気分が楽になった。
あとは、どこに姿を消して隠れるかだ。
*
今は王族に、説明することにしたけど、ウルフのことを話さなければいけない。
ウルフのことを話す前にジャネットに協力してもらわなければ。
念話で『ジャネット、君に協力してもらわなければいけないんだけど姿を変化させる事は問題ない?」
『はい、別次元ですし、ここだけのものですから、大丈夫です』
ジャネットは神獣だから、本当は人型ではないから、本当の姿はフェニックスだ。
それも大きな鳥型だから、ここで普段の大きさになられると困るけど。
確か、ジャネットは俺が呼び出した神獣じゃない、呼び出そうとした時点で、現世に出現していた。
「ジュリアス伯爵とロバート男爵と手を組んでいた存在がいるんですが、その奴は、特殊な者です」
「特殊な者?」と王様
「はい、実は人ではありません」
「えっ、人ではない?」
「ええ、人の姿をしていますが、人ではなく神が作った守り神たちです」
「守り神?」
「はい、そうです、その守り神の1人が悪事を働いていますので、俺は、その者を追いかけています」
「守り神と言っても、どう言うものなのか、皆目見当もつかないけど」とハロルド
『ご主人さま、ちょっと待ってください』とジャネットから念話が入った。
『たった今、この時代にいる私から連絡が入りました』
『えっ、この時代にいるジャネットが』
『はい、そうです。この時代にも若い頃の私がいるんですけど、その私が近くにきています』
『じゃ、呼ぶことはできる?』
『はい、簡単です』
『あっ、ちょっと、その前に洋服、着ているよね』
『えっ、あっ、着ていますよ、そのように言っておきますから』
やっぱり洋服着ていなかったんじゃないか?
『この部屋に入るサイズでお願い』
『はい、了解しました』
ジャネットは、この世界の不死鳥に念話で連絡している。
『ご主人さま、ぜひ、ご主人さまに会いたいから、すぐに姿を維持したまま来るそうです』
と言っていたら部屋に姿を現した。
「わっ」
「キャ〜」
「わっ、大きな鳥だ」
「わ、食われる」
と言う声の中、可愛いと言う声もアリシアとヒルダから聞こえた。
俺がフェニックスも元に歩いて行き首元を撫でる。
ジャネットも反対側に近寄る。
「皆さん、紹介しましょう、このフェニックスが、神獣であり守り神です」
「もし、皆さんの国が悪いことをしたりすると焼き殺してしまいます」
「そ、それは本当なのかね」
「はい、本当です」
「でも悪いことをしない限りは、監視しているだけです」
「神獣が一番、嫌うのは戦争です。だから秩序を守っているのが、神獣ですが、今はサイズを部屋に合わせてもらっているので小さくなっているますが、本当の大きさは20メーターくらいになります」
「ギャ〜」とフェニックスが鳴いて見せたので、数分すると、扉を叩く音がした。
「王様、大丈夫ですか?、今、何者かの声がしましたが」と兵士
「うむ、大丈夫じゃ、ちょっとふざけて声を出しただけだ」
「そうですか? わかりました」と言って兵士は去って言ったみたい。
念話で『大きな声を出さないように』と注意したら『ごめんなさい』と言うジャネットの声が聞こえた。
もちろんジャネットが念話したんじゃない。
俺は異空間からサンドイッチを取り出して、「食べる?」と聞いたら、何も言わずに食べた。
『これ、美味しいですね』と言ってきた。
『うん、あとで詳しく話すから今はこの場に合わせてくれる?』
『はい、了解です』
本当に言い方までジャネットそっくりなんだな。
まぁ、ジャネットの若い頃といった方が良いのかもね。
時間の流れが違うから何歳か、わからないけど。
「随分、フェニックスと仲がいいんですね?」とエイプリル
「そうですね、神獣たちとは仲がいいですね」
「神獣たちは、フェニックスの姿だったり、人の形になることもできますから、人混みに紛れていることもあります」
「まぁ」ダイアナ
「この神獣たちは、8人いるんですが、そのうちの1人が謀反して悪さをしています」
「まぁ、怖いわ」とエイプリル
「その名前はウルフと言います」
「ウルフ‥‥‥」
「そうです、ウルフです、その神獣は、オオカミの変化した者です」
たぶん、あなたたちのガルシア帝国もウルフが、いつかわかりませんが介入してくるでしょう」
「えっ、そうなの?」
「はい、間違いなく」
「しかもウルフは、この時代に来ていますから」
「えっ」
「あなたたち王族が先ほど私が作った空間に入っているときにウルフは襲ってきましたから」
「な、な、なんと」
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