第504話 1000年前の世界22

俺たちはジュリアス伯爵とロバート男爵が主犯だと決めて動くことにしている。


そして忘れてはいけない存在にウルフと魔族がいる。


どこで介入してくるのか、わからない存在だ。


まずはアリシアが自分とジャネットから監視することにしたいと言ってきたので、お言葉に甘えて、任せることにした。


俺とヒルダは邪魔にならないように、自室に戻って過ごすことにした。


ヒルダは、空間に入ると、眠くなると言って寝てしまうことが多い。


ヒルダは、空間の中でもすることがないから、それで大丈夫だ。


俺はイーノック王国で見つかった本を確認してみることにした。


自分の部屋のテーブルで本を広げて1ページ目から読んでみる。


表紙を広げて、そこは何も泣いていない白いページになっている。


自分だったら何を仕込むか考えてみる。


「!っ」俺は気がついて最後の部分を開いてみる。


そう、俺が本に何かを仕込むとすれば、ここだ。


本の最後の部分を開いてみても、白いページのままだ。


そこで俺は、このページに俺の魔力を注いでみた。


そうすると俺の魔力に反応したページは、文字が表れてきた。やはり、仕込んでいたのは、最初だけじゃなかった。


出てきた文字を読んでみると、この世界にきてアリシアが異常な成長が見られると書いてある。その理由として、俺のイメージすることを初めて伝えたせいで実際にやらせることで促させたと書いてあった。


そして書いてあったことは、それだけじゃない。


アリシアのことが書いてある項目の次に、これから起ころうとすることが自分の汚い字で書いてある。


”俺は知ってしまった。ウルフが何をしようとしているのかを。これを読むであろう俺自身に言いたい。できるだけ早くウルフを止めろ。そうしないと、この星どころか、宇宙全体が滅亡の一途を辿ることになるだろう

いつ起きるのか、ウルフが何をするのかは、自分で確認しろ」と書いてあるだけ。


えっ、それだけ?


俺らしいと言えば俺らしいけど、俺だってヒントを与えるかもわからないけど自分が書いたものを他人に見せるなら考えさせようとするから。


たぶん、俺が本を書くときに、時間の流れで変化することもあると思うから、正確なことは書かないでおくと思う。


決まった歴史なんかない、どう動くかで歴史は決まる。


例えば、俺たちが1000年後にきている場合と、1000年後にきたけど、今じゃなく、もっとあとだったり、先だったりすることもあるわけだ。


そうするとヒルダの暗殺が成功していることもあれば。今回みたいに失敗していることもあると言う場合もある。


今回はヒルダを俺たちが助けたけど、違う人がたまたま、村にいて助けた可能性もある。


決まったことなんてないと思うけど人に言わせれば、何をするのかも決まっていると考える人もいるだろう。


何が、どこで変わるかだなんて、わかりはしない。



おっと話ばかりしていると本を読むことが進まないや。


俺は考えることよりも、今は本を読むことに集中しなければ、と思っていたらジャネットから念話が入った。


「ご主人さま、今、いいですか?」


「うん、いいよ、動きがあったの?」


「はい、そうなんです」


「じゃ、そっちに行くよ」と言って部屋から出てきた。


2人が座っている近くに座った。


「誰の動きがあったの?」と聞いてみた。


「ジュリアス伯爵です」とジャネット


そして、俺が索敵魔法を展開してみるとジュリアス伯爵は、屋敷から出て馬車に乗っている。


そのついでにロバート男爵も確認してみると、こちらも馬車に乗っている。


2人の向かう先は同じ方向を目指して場所を走っているみたい。


この方角には、何があるのか二台の場所から離れて上空から見てみると城があることがわかった。


当然だけど俺たちが入るのも城だから、こちらを目指して二台の馬車が走っているわけだ。


俺は監視をアリシアとジャネットに任せて、王に会うために、空間から出て、王の部屋に転移した。


王は、まだ執務室で仕事をしているけど、だいぶ書類が減っているみたいだ。


「王よ、ジュリアス伯爵とロバート男爵が、こちらに向かっているみたいです」


「とうとう動き出したか」


「それは、まだ確定していませんけど方角的にはこちらに向かっています。

実は1つだけ新しい情報があります。

ジュリアス伯爵は麻薬成分を含んだ精神に関係する薬を完成させました」


「なんだって」


「その薬を今日持ってきて多分ですけどダイアナに投与するんじゃないかと思います」


「それは大変だ、ダイアナに知らせなければ‥‥‥」


「王様、確かな証拠として欲しいのでダイアナの体内から出すことを確約しますので直前まで待ってほしいんです」


「それはあまりにも無謀じゃないかね」


「しかし、それをしなければジュリアス伯爵を捕縛することはできません」


「どうしますか王様」


あとは王に裁断を委ねることにした。


「う〜む、どうするか?」


「もちろんどういう手でジュリアス伯爵がダイアナに薬を飲ませるのか分かりませんから防げない危険性もあります」


「し、しかしだな可愛い子供たちに危険なことは‥‥‥」


「ヒルダを暗殺しようとした奴らですよ、そこをお忘れなく」


「そうだった」


「何よりも確かな証拠がない限りは伯爵ですから捉える事は不可能です」


「そ、そうだな」


「ジュリアス伯爵は成功すれば、有りもしない王様の悪行を吹聴し始めると思います。

その時には、伯爵の後に控えていた貴族が表面に現れてくるでしょう。

王様も貴族からの突き上げで責任を取らざるを得ません」


「‥‥‥」


「もちろん俺たちは奥様の娘さんのダイアナを死なせるわけにはいきません。もし薬を飲まれても俺には聖属性魔法で回復させることができます」


「そ、そんな魔法が使えるのかね」


「ええ、できます」


「貴殿ともっと早くにあっていれば王太子も死ななくてよかったのか?」


「ええ、そうなります」


「では、怪我はどうなるのじゃ」


「それも一命があれば可能かと」


その瞬間に間に合って生きていれば助けられる。


「そ、そうなのか、わしは、どうしてもっと早くに貴殿に会うことができなかったのか、悔やまれる‥‥‥」


「それは仕方ないですよ。俺たちが、こっちにきたのは数日前ですよ」


「そうか、しかし貴殿みたいな魔法使いがいれば噂があってもいいと思うが、今まで聞いたこともないぞ」


「それは‥‥‥」


言えないよ、未来からきたなんて、言えば歴史に影響が出ることも考えられる。


「遠くから来ましたから‥‥‥」と答えた。


「遠くからか、遠くのどこからだ?」


王様、しつこい。


「さぁ、もう準備しないとジュリアス伯爵たちが城に到着しますよ」


「あっ、そうだったな」


「急ぎましょう、で、どうしますか?」


「うん、貴殿に任せる」


「いいんですね、俺に全て任せてもらえるんですね」


「ああ、貴殿しか、この事件を解決できる人はいない」


「じゃ、確かに承りました、あとで言っていないとか、なしですからね」


「ああ、わかっておる」


と言ってくれたので、俺が借りている部屋に転移で戻って、そこから空間に入った。


空間に入ると、ヒルダとコリンまでいた。


「じゃ、みんな事件を解決しに行くよ」


「うん」

「はい、ご主人さま」

「了解」

「うん、頑張ろう」という声を聞いて出動する。




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