第490話 1000年前の世界8(暗殺者)

気絶しているヒルダの結界魔法を解除する。


椅子にヒルダを寝かせながら、目を覚ますのを待つ。なかなか目が覚めないので家の中に連れて行った。


黒服の頭(村長)が、「お主、さすがじゃな」


「まあね、伊達に‥ゆ、魔法使いやっているわけじゃないよ」と勇者と言いそうになったけど、なんとか押し止まった。


「どうして村長がヒルダの護衛を?」と聞いてみた。


「それには深い事情がありまして、姫様はガルシア帝国の王様の9番目のお子様なのじゃが、お家騒動があって大変な苦労されている」


「お家騒動?」


「そうですじゃ、現国王の悩んでいることじゃが、跡目争いが起きてしまって、兄弟の中でも一番目の王子様は毒で暗殺され、2番目の姫様はベランダから落ちて死んでしまった。

そして3番目の王子様は、馬で趣味の狩猟中に落馬して首を追って死んでしまい死亡、4番目の姫様も突然お姿が見えなくなり見つけた時には川に浮いていたそうじゃ。

5番目の王子様は病気で死んだそうじゃ。

10人いる姉妹兄弟の中でも、ヒルダ姫は生まれてすぐに、この村に預けられていたんじゃが、わし達が、いつも姫をお守りしていたんじゃが、城からの連絡でヒルダ姫が、継承権を持つと連絡があったのじゃ。本来なら、お世継ぎ争うには関係ないヒルダ姫様も狙われる始末なのじゃ」


「城からの警備は?」


「できん、誰を信用していいのか、わからんからな」


「そうか」


「城から警備のため、やってきたものが、ヒルダ姫を暗殺する可能性もあり誰を信用していいのか、わからんのじゃ」


「そんなおり、ゴブリンどもが出て畑や人を襲ったりさらったりしていたので、我々が動くことができなくて、姫様、1人を街に派遣した次第じゃ」


「この村は、農民ばかり?」


「そうじゃ戦えるのは、わし達3人しかいない。本来ならわしが

街に行き依頼を出すはずじゃった」


「それで‥‥‥」


「ところが姫様が、書き置きしていなくなった」


「その紙には?」


「お金を持っていくことと、心配しないでと書いてあった。こんな老耄おいぼれでも、剣を振るった経験はある」


「ヒルダは知っているの?」


「いや、話してはおらん、姫も薄々気がついているじゃろうが、今は話しておらんが、もう、そうは言っておられん事態になったので話さなければならん」


「こんな老耄の頼みじゃが、強いお主に頼みたい、姫の護衛を頼まれてはくれんか?」


「ちょっと待って、俺たちにも用事があるんだ。3人で話をするから、明日、返事するよ」


「ああ、わかった」とトボトボしながら立ち去った。


いつの間にか横にジャネットがいた。


「ご主人さま、大変なことになりましたね」


「聞いていたの?」


「はい、なんだかヒルダのことが気になりましたので」


「アリシアは寝ている?」と話したときに緊急警報を感じた。


「ジャネット」


「はい、ご主人さま、こちらに人が多数、接近中ですね」


「うん、俺は村全体に結界魔法を張るから中にいてくれる?」


「了解です」


「じゃ、俺は結界魔法の外に出るから、あとよろしく」と言って結界魔法の外に転移した。


結界に近づく奴は人数は12人。 何者だ? 全員が慣れているような感じで音も立てずに近づく。


まぁ、攻撃されてからでも遅くない。


結界の中では、ジャネットが様子を見ている。まだ村人は気がついていない。


ジャネットも俺が負けるとは思っていないけど何があっても対処できるようにしている。


俺は攻撃されれば敵だと認識して戦う。


でも、今は、まだ攻撃されたわけじゃない。


もうそろそろ姿が見える頃だ。


木の影から黒服の男がチラッと様子を見た時、、俺が見ていることに驚いていた。


こいつら魔法は使えないみたいだな。


魔法使いであれば索敵魔法とかで目で見ないでもわかるだろう。


あっ、でも索敵魔法って普通の魔法使いは使えなかったな、未来の時代でも。


格好からすると普通の奴らじゃない。


「おい、そこのやつ、出てこいよ」と言ってみた。


言われた出るやつもいないと思ったけど、黒服は出てきた。


「お前ら冒険者か?」と聞いてみた。


まだ、この時代の冒険者に会っていないが、たぶん、違うな。


こいつらの歩き方や動くを見ると暗殺者だな。


狙いはヒルダかな?


俺の結界魔法は、昔は見えたけど、精度が上がって今は人の目には見えない、だからヒルダがぶつかった。


この結界を破ることなんてできない。


「お前こそ、そこで何をしている?」


「いやぁ、今日は宴会だったので飲みすぎてな、俺は散歩中だ」と苛立つことを言う。本当は飲んでいない。


「じゃ、そこを退いてろ、他にでも行って散歩するんだな」


「いや、散歩するのは、ここでいいよ、食後の散歩にはちょうどいいものが来たから‥‥‥12人かぁ」


「っ‥‥‥お前、この暗闇でも見えるのか?」とズバリ当てられて緊張が走る。


「いやぁ、見え見えだけど‥‥‥」


「やれっ」と大きな声を飛ばす。


まずは左から2人剣を持って走ってくる。


さらに右からも3人、剣を構えて近づく。


さらに後方にバラバラで5人、今、攻撃をしてくるのは10人だな。あとはボスと側近だろう。


剣を抜いて走ってくると言うことは、遠慮はいらないと言うことだろう。


殺されても文句は言うなよ。と考えながらアイススピアを瞬間的に10個作り出した。


それをみた黒服10人は、一瞬、動きが止まった。


俺は動きを止めたのを見逃さない。


当然、アイススピアを発射して避けても追撃するようにコントロールしている。


数人は真っ直ぐなアイススピアを避けることができないで体に刺さった。


アイススピアを避けられた奴らは、木を利用したり上に飛んだりしたが無駄だった。


全員が、地面に倒れる。


「きさま、なんだ?」


「あと2人」


話す奴じゃないやつが、前に出てくる。


できたら、この2人は捉えて、誰が支持したのか吐かせたいよな。


でも、その時は毒でも使うだろうな。


索敵魔法で毒をサーチすると歯に毒を仕込んでいる。


どうするか?


!、あっ、そうだ


俺はものすごく素早く動いて2人を一瞬の手刀で倒した。あっけなかった。


結界魔法の中から出てきたジャネットは「やりましたね」


「うん、うまく行った」と言って結界魔法は解除した。


「こいつらの口の中に毒があるみたいだから、今のうちに取り出そう」


「そうですね」と口に手をやろうとしたジャネット


「あっ、汚いから魔法で出すよ」と言って魔法で毒を仕込んだ歯を取り出して遠くに捨てた。


「さっきの村長さん、読んできてくれる?」というとジャネットが「はい、わかりました」と言って走って言ってくれた。


俺は錬金術で土からロープを作り縛り上げた。


比べたら悪いけど、ウルフの方が数段上。


今時、剣しか使えないで暗殺しようなんて呆れる。


ジャネットが一度、寝たみたいな村長を起こして連れてきた。


「こ、これは‥‥‥」まさに呆気あっけに取られた村長


「こいつら、尋問したいけど、いいかな?、みたことある?」


「みたことはない奴らばかりじゃ」


「じゃ、どこの奴かわからないから、尋問してもいいよね」


と尋問することを言ったが、こんなことをするのは初めてだ。


できるか、できないか?、それもわかっていないので実験することにした。こんなこと、滅多にない。


でも人体実験みたいで緊張する。


ボスらしき人物は、家の中で縛っている。


もう1人の男を目を覚まさせて聞いてみる。


話せば、魔法は使わない。


「っ‥‥‥ここは?」


「お前らが襲った村だ」


「そうか、俺はつかまったのか?」


「そうだ、今から聞きたいことがあるけど、喋るなら逃してやろう。どうする?」


「絶対にしゃべるもんか」


「今、他で頭を捉えているけど頭は、しゃべったぞ」


「嘘だ」


「嘘じゃない、奴は自白剤を飲んでいろいろ自白してもらった」


「嘘いうんじゃない」


「嘘じゃないさ、俺は強力な自白剤を持っているからな」


「話すもんか」


う〜ん、強情だな、仕方ない魔法で実験してみるか?


俺が使うのは以前も使ったことがある精神魔法、口で聞き出すというよりも脳の中を見ることだから、記憶の方を見てみる。


こいつが、ここに来るまでの記憶。


俺は精神魔法で記憶をさかのぼっている。


ここまでは馬で来たみたいだ。

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