第482話 次元の穴
俺がアルベルトとして生きた時代の穴を見たあと、もしかしたらウルフと魔族の2人が逃げ込んだのは現生と未来と過去に行ける方法なのかもしれない。
俺が過去に行ける方法として考えたのは瞬間転移と言う方法だったんだけど、次元の穴を通っていくなんて考えもしなかった。
でも、次元に空いた穴をどうにかしないと良くないよな気もする。
でも、ここが、どうして探している時代だとわかるんだろう?
今、俺が漂っているところは、俺が能力で作り出す空間に似てはいるんだけど、その広さが違う、どこまで続いているような感じだ。
そういえば、こんな広い空間も作り出すことができるかもしれないが、作っても意味はないと諦めた。
諦めた理由は、違うものだからだ。
空間は異空間だけど、次元には関係していない。
ここには俺の感覚では数分のような感じだけど、どれくらいの時間が経っているか、わからない。
もしかしたら数日経っているのか?
または数秒なのか?」
俺は通じるかわからないけど、ジャネットに念話で連絡を取ってみることにした。
念話『ジャネット、聞こえるかい?』
『”$%&$%’&%##%$&&$&ーー はい聞こえますけど、感度がすごく悪いです』とジャネット
『そっちは、どう?』
『はい、こちらは何も問題ありません、イアン王子とキャサリン姫は無事です。ご主人さまも無事なようで安心しました』
「うん、俺は大丈夫だけど、ちょっと厄介なことになってね』
『厄介なことですか?』
『詳しいことは帰ってからするから心配しないように言って置いてくれる?」
『あっ、はい、わかりました、ちょっと待ってください』とジャネットが言うと
『クリス、早く帰ってきてよ』とか『ご主人さま、おかえりをお待ちしています』と言う声が聞こえた。
俺は『了解』と言って念話を切った。
なんだか今まで感じていた不安が払拭されたように感じる。
心に温かいものを感じた。
「よし、さあ、やりますか?」と自分に言い聞かせて先に進むことにした。
でもこの穴に入ってから次元超越剣がより一層赤く光だしている。
使い方がいまいち、わからないけど次元を通りやすくしてくれているのか、迷わないようにしてくれている気がするけど、多分、それは剣の能力の一端だろう。
改めて周りを見渡してみても暗い空間にどこまでも広がる横、上、下、先、後ろだな‥‥‥。
来た方角がわからなくなる感じがするけど、俺がこの空間に入って入り口のところにマーカーをつけて置いて正解だった。
これは俺が初めて入った空間の学習からだ。
あの時も白い空間が、どこまでも広がっていき、わからなくなったから。
俺が入り口につけてたマーカーは反応しているから大丈夫だ。
俺はマーカーとは反対の方向に進んでいる。
目標となるものがないから、大変だけど、一応、俺が過去で言っていた1000年前を目指している。
1000年前でもちょうど1000年前なのか、1001年なのかわからないけど、行くしかない。
場所はイーノック王国だと思われる。
俺が未来の俺に言葉と赤い剣を託した場所だ。
たぶん、建国にも俺が関わっていると思われるからだ。
時々、次元に空いた穴を見ながら進んでいくから時間がかかっている。
まぁ、ほとんどが見ても時代背景はわからない場所ばかり。
俺が穴に入って俺の前世の時代の穴が見つかり、その幅を考えながら前へきているけど、そろそろ1000年前になると思う。
前へ進んでいくと、今、開けたばかりのような明るい歪みが目の前に現れた。
「ここかな?」と思いながら立ち止まる。
その穴を除いてみると、何もない草が生えている場所が見える。
俺は次元から出る前に、自分でも次元の穴が作れるか試してみることにした。
ウルフの奴を見てた時に、何かの呪文を唱えていたような気がした。
確か口元から判断すると簡単だったような「ディメンションゲート、オープン」と言っていた。
俺も奴が言っていたようにディメンションゲート、オープンと言いながら、手のひらを開くようにしてみるとできた‥‥‥
よし、これで帰ることができる。でも、まさかこんな方法があるなんて考えもしなかった。
ウルフの奴も知ってたのか? 誰かの入れ知恵か?
俺は、この時代だと思われる穴に入っていくと、その穴は遥か高い上空にあるので、必然的に穴から出れば落ちるだけ。
俺は穴から落ちていきながら飛行魔法で速度を緩めながら落ちていく。
落ちていきながら、周辺を見てみると何もない。
落ちていく速度をゆっくりにして地上に降り立った。
ここから、どうしようか?
星の地形で判断しても、ここが先将来、イーノック王国になるところだ。
そういえばガルシア帝国があるんだったと思いあたった。
星の地形から判断すると東の方に飛んでいくとあるはず。
俺は、何もないところから飛び立って飛行していく、たぶん、海を渡ってオーリス王国がある所までいく事になる
結構な距離があるから、最高速度で透明になって高速で飛んでいく。
俺が飛んだ後には飛行雲が繋がってきているから面白さを感じる。
俺は高速で飛びながら飛行雲が引いているのは、不味いと考え速度を落とした。
遊んでいる場合じゃない。気を引き締める必要がある。
未来にイーノック王国になると思われるところを後にしながら、オーリス王国が建国される場所まで来たけど、オーリス王国が誕生するのは、今からもっと後だ。
さらに東に飛んでいくと遥か遠くに街が見えた。たぶん、これがガルシア帝国だろう。
しかしガルシア帝国が1000年も続くなんて、すごいな。
でも、今はガルシア帝国もできたばかりのはず。
だから初代の王が王位についていると思う。
それが1000年の間に軍事国家になっていくわけだ。
と言うことは前世のアルベルトの時に、攻め込んできた奴は、何代目なんだろう? まぁ、そんなことは関係ないや。
!、たった今、思いついたけど今のガルシア帝国の皇帝を殺したら、どうなるんだろう?
誰か、他の王族が即位することになるだけか?
王族は世継ぎの問題から複数いる可能性もある。正室が1人でも、側室が無数にいることも考えられるから、子供が何人いることになるやら。
でも、今は何かをしたわけじゃない。今から700年後に問題を起こすんだ。
今から700年前に、ガルシア帝国は、横にできていたスタンリー王国を攻撃して滅ぼして、さらに隣にできていたルーファス王国を滅ぼす事になる。
俺が前世のアルベルトが住んでいた国がルーファス王国だ。
ゆくゆくはスタンリー王国、ルーファス王国を攻撃して滅ぼすしていき数万人の犠牲者を出そうとも、今は、ガルシア帝国の皇帝は悪いことはないと思う。
殺さなくても、どうにかして変えることができればアルベルトは生きているかもしれないけど、しかし、その場合は、俺の存在がなくなる可能性もあり得る。
今は手出しができない、この1000年前で何かをしたら後世が変わる可能性があるんだ。
もし本当に特異点がいて、そいつが歴史と違うことをしたり、生きていなければならないのに死んだりすると時代が変わってしまう。
特異点は1人とは限らない、後世の時代に影響を与える人が特異点だ。
多くの人は特異点にはなり得ない。この時代で畑をたがしている人が1000年後に子孫を残せても畑を耕しているだけの場合が多い。
稀には農民から騎士になることもできるけど、多くはないから特異点とは違う。
時代を動かす人か、時代に影響を出す人が特異点になり得る。
例えばウルフのような存在だ。
ウルフはもう特異点を殺しているかもしれないし、ウルフ自身が特異点になると思う。
もう1人の存在は知っている。
俺自身も特異点だろう。俺が生きることができるか、または死ぬことで時代が変わってしまう。そこで分岐点が生じるから。
だから未来は常に変化している。
俺が生きている未来もあれば、どこかで死んでいる未来もある。
でも、俺は神になっているから死ねるのかな?
ツラい人生だったら生きている意味はない。
ツラい人生を歩むか、楽しい人生を歩むのかは、その時の俺の頑張り次第だ。
俺が考えて行動すればいいだけの話、それが難しい。
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