第479話 イーノック王国をかけた戦い

「クリス様、大丈夫なんですか?」とキャサリン


「まぁ、大丈夫でしょう。ところであれ、誰?」


「あの人は、私たちの叔父にあたる人でバリー・フォン・イーノック公爵と言います」


王の弟なんだ、あまり似ていないな。


公爵って言うことは、俺と同等だな。


「あっ、でも俺が国を預かっているって言って、ごめんね」と俺が謝る。


イアンが「いいえ、クリス様、いろいろ助けていただいているのに、あの場は、ああいうしかなかったと思います。私たちも叔父から言われると、言いようがないところでしたから」


「厄介な叔父だね」


「はい、以前から何かにつけて文句ばかり言ってきて」


「叔父さんは、詳しいことは知っているの?」


「いえ、少ししか知らないと思いますが‥‥‥」とイアン。


「俺のことは知らないみたいだね」


「はい、たぶん‥‥‥」とイアン


キャサリンが「まさか、イーノック王国にゆかりがある勇者様がきているなんて、思いませんよ」


「はい、私も、キャサリンの言う通りだと思います」とイアン。


「じゃ、俺が今は国王だから、任せてくれる」とウィンクしてみせた。


「もう、クリス様ったら」とキャサリン。


「じゃ、下々のものよ、よきにはからえ」と言って瞬間転移して自分の部屋に戻ってきた。戻って冷えたコーヒー飲みながら索敵魔法を使う。


もちろん対象はバリー公爵だ。


バリー公爵は、今は城から出て馬車に乗り込むところ。


馬車に乗り込んで馬車が発車する。


しばらくは道路を馬車が音を立てながら走っていく。


バリー公爵は「なんなんだ、奴は」と言っている。


「みてろよ、俺の兵がどれだけ強いか、みせてやる。もうこの国の騎士隊長はいないから、うちの兵が最強だからな」と比較対象が小さい。


全然、俺のことがわかっていないし情報もないからね、しょうがないのかもね。


バリー公爵は馬車の中でブツブツ言っているみたいだ、ほとんどは俺のことを言ってるみたいだけど、文句ばかり。


そして俺が国のトップになる日が近いとか、息子がいるみたいだけど王太子だとか、にやけ顔で思っている。


おっと馬車が止まった。


大きな屋敷の前に止まり執事や侍女の迎えられて階段を登っていく。


その時に、1人の侍女に近づきお尻を触って、何か、つぶやいている。


まぁ、ろくでもないことだから、聞いてもしょうがないよ。


階段を上がりながら侍女に触るなんて、そのあとに出てきた奥さんらしい人にに言いつけるぞ‥‥‥もしかして公認なのかな?



バリー公爵が自室に入る前に、執事に「おい、ボブを呼んでくれ」と言っている。


執事が走ってボブを呼びにいく。


バリー公爵は部屋で酒を飲み始めた。


ソファに座って、葉巻に火をつけながら、足を組んで座っている。


そこにノックがあって、「入れ」と公爵。


執事がドアを開けてボブだけが中に入っていく。


執事が下がって、ボブだけが中に入って、言われもしないのにソファに座る。


「おい、ボブ、明日、城で試合をすることになったぞ」


「へー、明日ですかい、まぁ、私が勝つに決まっていますけどね、それで相手は‥‥‥」とボブも酒を自分で入れて飲み始める。


「今、城は、王が不在らしい、その王が不在の隙間を狙って侵入した奴がいるんだが、そいつだ」


「王が不在ですかい?」とボブ


「ああ、兄である王が事件が起きて死んだらしい」


「ほほう、それはよかったですね」とボブ


「今度は、うちが王になる番だからな、お前も、明日は頑張ってくれよ」


「明日、私が勝てばあなたは王になるわけだ。私にも甘い汁を吸わせてくださいよ」


「ああ、わかっている。お前には、宰相の地位を約束しよう」とバリー公爵。

勝手なことを言っているけど、こんな奴が宰相になったら、この国は終わりだ。


ボブが葉巻に手を出した、葉巻に火をつけながら酒を飲んでいる。


2人して煙を発生させるから、煙幕が充満したような部屋になっている。


これ以上、見ても意味はないなと思って一応、屋敷全体を検索してみた。


別に屋敷には怪しいところはないみたい。


俺はバリー公爵の検索を終了した。


そこにアリシアが部屋に入ってきて「クリス、交代だよ」と言ってきた。


「あっ、じゃ、魔法通信ができるリンゴを置いておくね」と言って寝ることにしたけど俺の部屋からアリシアが出て行かない‥‥‥


「アリシア、俺、寝るんだけど」


「あっ、ごめん。じゃ、私の部屋に待機しているから」と部屋だから出て行った。


これで部屋でゆっくり寝ることができる。


と思ってベットに寝そべる。ハァ〜、気持ちいい。


今日は決闘の日だから、もう時間がない、決闘の時間は13時、公爵がきたのはが7時だから、検索魔法で公爵を見張っていたのが9時前。


みんなは寝ているから決闘のことは言ってない。


で時計を見ると、もう、11時。寝る時間がない。そこで俺は以前、使ったことがある眠りを短時間でとる魔法を自分でかけて寝ることにした、その時間は30分。


30分で、熟睡をできるように魔法をかける。


以前、この魔法をかけて戦争を回避した時には1ヶ月くらいかかってしまった。はぐれ兵士が多くて、村を襲ったり女性を乱暴したり金品を強奪しないように見張った。


帰ってきたらアリシアから、クリス、臭いって言われてショックで3日寝込んだ。まぁ寝込んだのは、寝不足だけど。


あの時は、今ほど能力がなくて、ツラかったな。


なんてことを考えていたら寝てしまっていた。


目を覚ましたら全員が俺をみていた。


「あっ、やっと起きた」とアレク。


「ご主人さま、遅ようだよ」とエイミー


「ああ、おはよう」


「クリス、ちょっといい?」とイザベラ


「うん、私も聞きたい」とアリシア


「えっ、なに?」


「クリス、今日、決闘するって本当?」


「うん、誰から聞いたのか、わかるけど、そうだよ」


たぶん、イアンかキャサリンからだろう。


「それで、バリー公爵って王の弟なの?」


「うん、そうみたい」


「それで相手は、その公爵?」とイザベラ


「違うよ、私兵だって言っていた」


「私兵?」とアリシア


「そう、強い私兵の人がいるんだって」


「クリスのことだから、調査を済ませてあるんでしょう」とイザベラ


「うん、しているよ、普通の人」


「クリスが負けたら国を譲ることになっているって言っていたわよ」


「うん、そうだよ、いきなりバリー公爵から言われたんだ。国をかけて戦うって」


「まぁクリスが勝つよね」とイザベラ


「そうだね、でも汚い手を使うかも」


「でも、ご主人さまが勝つよね」とアイリス。


「そうだね、クリスの一方的な勝ちだね」とソフィア


こんな戦いで賭けは成立しない。まあ、賭けをする気もないけど。


あっやっぱり、賭けを持ちかけてみようかな。


乗ってくれば、楽しいことになりそうだ。


もうすぐ時間になるから、俺たちは王子と姫の2人がいる部屋まで全員でゾロゾロと歩いてきた。


部屋の前には、やっと警備の人が立っている。


俺たちが部屋の前に行くと、警備の人が中に入ってお伺いを立ててくれた。


警備の人が「どうぞ」と言うので俺たちは部屋の中に入っていき、王子と姫に対面した。


「あっ、クリス様と皆さん、大変なことになり申し訳ありません」


「これからはイーノック王国はイアンとキャサリンが、中心とならなければならないから敵は一掃しておいた方がいいからね」


「そうだよ、こんなことで時間をとりたくないからね、クリスに任せていけば大丈夫だよ」とイザベラ


「そうそう、第一に本人が切り出したって言うじゃない」とアリシア


「本当だね、クリスにお任せあれ」とソフィア


「そうそう、ご主人さまにお任せあれ」とアレク

「ご主人さまにお任せあれ」とアデル

「ご主人さまにお任せあれ」とエイミー

「ご主人さまにお任せあれ」とアイリス


面白そうに言っているみたい‥‥‥キャハハ〜と笑いながら‥‥‥


4人の悪ふざけが場の空気を和ませる。


イアンとキャサリンの顔の強張りが消えて笑っている。

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