第470話 街

「実はね、魔族は街で目的があっているみたいなんだ」と説明した。


「へー、それで、どんな目的?」とアリシア


「どうもね、特別な魔石があるみたいなんだよ」


「特別な魔石?」とジャネット

エイミーが「どんな魔石ですか?」と聞いてきた。


「そこまではわからないけどから一度、城に戻って聞いてみるよ」と


「うん、わかった」とアリシアの言葉だけを聞いて瞬間転移してきた。


王様の前に突然、現れるとまずいから、貸し出してもらっている部屋に現れて、部屋からドアを開けて王たちが忙しそうにしている執務室にきた。


「王様、ちょっと聞きたいことが」


「おお、もう、戻ったのか?」


「いいえ、まだ途中ですが」


「それで、聞きたい事とは?」


「それが街に魔石があるんですか?」


「魔石? あっ、水の魔石がある」


「その魔石は、どこにあるんですか?」


「この街に水を供給するためにわからないところ設置している」


「どうも、魔族は、それを奪うために街にいるみたいですけど、奪われるのは、まずいですよね」と俺が言う。


「もちろん、あの魔石がないと街には水は出てこないから飲み水も畑にやる水も無くなってしまう」と王様


「それで、そこには、どうやっていけばいいんですか?」


「おい、イアン、説明してくれ」


「えっ、父上、知っているでしょう?」


「いや、ちょっとど忘れしてな」王様


「‥‥‥」俺は王様を見て‥‥考えている。


「王様、ちょっと聞きたんですが、俺の勇者の本はどこから手に入れたんですか?」


「そ、それは、娘が持っていたからだ」


「えっ、そうでしたっけ?」キャサリン


「‥‥‥もう、そろそろ本性を表したらどうだ?」と凄んでみた。


「勇者殿、何を言っているのか?」と王様


「なんだか、あなたには初めから違和感がありましたけど、本物の王様は、どこだ?」


「何を言っているのか、わからんが」と王様はあくまでもとぼける。


キャサリンも、イアンも王から離れていく。


2人には結界魔法を使って身の安全を確保した。


「王様を殺して、なり代わったのか? 牢屋に入って俺たちがくるのを待っていたのか? 本当の黒幕はお前だな」


「へっ、バレたか、結構、うまく成り代わっていたのにな」


王になりかわった奴は、一気に皮を爆発させて本性を表した。


「やっぱりか、俺を騙せるとでも‥‥‥」


「お前も初めは信じていただろう?」


「そうだな、うっかりしていたよ、ウルフ」


「へっ、そこまでわかっていたか?」


「お前、どうやって復活したんだ?」


「あのお方が俺を復活させてくれたんだ」


「あまりにも早すぎやしないか?」


「これからの作戦に、それだけ俺が必要だということだな」


「これからの作戦?」


「おっと、もう話さないぜ、俺をお呼びだ‥‥‥あばよ」と言って瞬間転移して消えた。


「待てっ」といって追いかけようとしたけどやめた。


ここでの仕事が済んでしない。


まだ、魔族がいる。


そこに念話で「ご主人さま、魔族がいなくなりました」


それを聞いた俺は、念話で『全員、帰ってきて』と連絡したら、すぐに全員が現れた。


「ど、どうしたんですか、これは‥‥‥」とアリシアは散り散りになった人だったものを見ている。


ちらっとみるとキャサリンもイアンも震えてる。


キャサリンは王子に抱きつきながら、へたり込んでいる。


「お父様が‥‥‥」と泣き崩れる。


「気をしっかりお持ち‥‥」とイアン


他の者も部屋に入って来て驚いている。


「イアン、ちょっと‥‥‥」というとイアンは気がついたみたいで、「皆んな、部屋に入らないように、しばらく待ってほしい」と他の者に伝えている。


「クリス様、これは‥‥‥」とあとの言葉が出てこない。


「皆んな、聞いて、王様はウルフだった」


「えっ、そんな‥‥‥」とアリシア

「ウルフはクリスが倒したのに、もう復活しているの?」とイザベラ

ジャネットが「ウルフですね、私にはわかります‥‥‥」

ロゼッタが「そうじゃな、ウルフに間違いない」

パトリシア「もう、ウルフの奴が復活でできるなんて‥‥‥」

エイミー「私も信じられませんが、この気配はウルフですね」

アレクが「うん、そうだね‥‥‥」

アデルが「間違いない」

アイリスが「うん」


落ち着いたキャサリンが聞いてきた。


「あの、ウルフって勇者物語に出てくる破壊王のことですよね」


「うん‥‥‥」


「でもウルフがお父様になりかわっていたということは、お父様は‥‥‥」とキャサリンの声が震える。


「殺された‥‥‥」とイアン。


「そうだね」と俺。


城中にキャサリンの泣き声が響く。


「おとうさま〜」といって床に伏せる。


イアンがキャサリンの背中に手をおく。


しばらくはキャサリンの泣き声が城の中を響いて城中が黙祷した。



多くの犠牲者を出したイーノック王国。国王までが殺されていることが判明した。


それも国王になりかわっていたのが、復活したウルフだった。


ウルフの奴は、以前よりも憑依が上手くなっているみたいで、見破ることに時間がかかってしまった。


初めから王様の話し方には違和感を持っていたんだけど。


なんだか、王様と話す時に、話しづらさがあった。


しかしウルフの奴が、早々と復活していたことには驚かされる。どうも自力で復活したわけじゃなさそうだ。


キャサリンが王の死を悲しんでから、やっと落ち着くことができた。


「イアン、もう国にはあなたしかいなくなった」


「そうですね、いつまでも悲しんでばかりいられません」


「イアンが指導してことを進めていかないと‥‥‥」


「はい‥‥‥」


国が大変な時だからこそ、いつまでも悲しんではいられない。


「戴冠式も必要だと思うけど、まずはお城を正常に戻していくことだね。そのためには有力貴族を味方につけることもしないと」


「あっ、そうですね‥‥‥」イアンはまだ、引きずっているような感じ。


「イアンッ」と大きな声で言った。


「あっ、すいません」


「今は、悲しんでいる時間はないよ」と俺は厳しく告げる。


「そ、そうなんですが‥‥‥」


これは立ち直る前で時間がかかる。


文官が部屋に入って来て、落ち込んでいるキャサリンとイアンを見て「あの‥‥‥」と声をかけたけど返事はない。


「どうしたの?」


「あっ、勇者様、お城の人数確認が終わりましたので、報告をと」


「あっ、見てもいい?」


「あっ、どうぞ」と書類を受け取った。


それをテーブルの上に広げて皆んなで覗き込む。


城には378人いたそうだけど、殺されずに残った人は35人しかいない、俺たちが貴族から迎えにいった人たちは15人しかいない。


それだけ大変な状況だけど急ぐ必要がある、街にある魔石だ、魔石が水の魔石で街の水源をになっていることは魔族も知っていた。


しかし魔族は、まだ魔石がどこになるのか、わかっていなかった。


魔石を取られる前に確保する必要がある。


次の人が入ってきた。「あの警備はどうしましょう」といって来たので、地図を見ながら俺がわかる範囲で指示を出して置いた。


そして数人で街に出掛けて俺が金を出して水と食料の調達を頼んだ。


ここの水も食料も食べない方がいいだろう、何かの毒が入っていることもある。


だから勿体無いけど、全部、廃棄する指示を出した。


そして神獣たちに複数ある水源を見てもらったけど、怪しい水源があったので、兵を呼んで立ち入り禁止、使用禁止としてもらった。


50人分の食料と水を馬車で買いにいく。それもすぐに食べられるものを買うようにいった。


俺が色々、指示を出していることはよくないけど2人には早く立ち直ってもらわないと。

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