第416話 城の研究施設2とウルフとの戦い
アリシアが俺の後方から放ったアイススピアは、残念ながらウルフにはかすり傷つけることもなく、後方に飛び散って霧散したが、大きな霧となって防衛になった。
アリシアは初めからウルフを傷つけることよりも、視界を奪うことを優先したみたい。
「チッ」とウルフは舌打ちする声がする。
アリシアが俺の後ろで隠れている。
ウルフが剣をどこからともなく出してきたから、俺も久しぶりに勇者の剣を異空間収納から取り出して構えた。
俺が剣を握ると剣は青く光を発して、手に馴染んでいく。
剣が青く光ることが俺を勇者として認めてくれているようだ。
俺とウルフが互いに剣を構えて、 一髪触発の緊張が高まる。
いつ、どちらが動くか? 動く気配を伺う。
奴の剣の実力が、どれほどのものか?
奴は剣を構えながら、何かをしている‥‥‥、ん、なにをしている?
そう考えていたら、すぐに剣を右に構えて切り込んできた。
俺は、切り込んできた剣を、勇者の剣で受け止めて跳ね返す。
そして今度は俺が、上段から刀を振り下ろすが、ウルフも馬鹿ではないので、俺の上段を受け止める。
しかし、後ろにいるアリシアの後方から索敵魔法の警報がなる。
アリシアの背後からウルフの魔法が着弾しようとしている。
俺は、それを察知したいたが、手を出さなかった。
理由は、アリシアが基礎魔法で防いだからだ。
結構、大きな音がしてもアイリスの体は吹き飛ばされることもなく、立っていて、アリシアの後ろには爆発の噴煙が立っているだけ。
それにはウルフの方が驚いている。
「どうした、ウルフ、メンバーを襲ったつもりだっただろうが、そうはいかないぜ」
アリシアは、俺に向かってVサインをしている。
「くそっ」とウルフ
ここは結構、物が多く置いてあり、広い部屋が狭く感じるくらいだ。
ウルフの後ろには、セラフィーナとシャーロットたちが近づいている。
横には神獣たちがいる。
どうする? ウルフ
ウルフは急に、後ろの二人の方に突進し出した。
二人が弱いと見たのか、わからないけど、もうスピードで走り出す。
剣を構えながら走る出す。 俺はまたもや動かない。
二人の練習を見ているし、魔力も剣の技も向上しているから。
俺は信じてみることにしたけど、心配でもある。
セラフィーナとシャーロットにウルフが急襲をかける。
セラフィーナも、シャーロットも、剣を構えている。
ウルフが、どう動くか?
ウルフは、まだ、真っ直ぐに進んでいる。
しかし、あるところまでくると、急に方向転換して右の壁に曲がっていくのを見たが、曲がる瞬間にウルフは二人に雷魔法を発動してきた。
これがあったから瞬間転移はしなかったみたいだ。
二人に雷魔法が直撃した。
「キャ〜」
「うわ〜」と言う悲鳴がしているけど、俺は黙って見ているだけ。
それは、どうしたかって言うと、二人は驚いているだけだから。
そんなことを目の端で捉えながら、俺もウルフを追う。
「うわっ、びっくりしましたね」とシャーロット
「うん、あんな強い人から本格的な攻撃なんて、初めてだから」とセラフィーナ
「でも、よかったですね、クリス様の言う通り基礎魔法練習をしていて」とシャーロット
「本当ね」とセラフィーナ
今は全員が緊急事態だと理解しているから基礎魔法を展開している。
これも全員の練習の成果だ。
ウルフの魔法攻撃を防ぐことができると言うことは、世界最強になると言うこと。
今まで、していた練習が実を結ぶ。
そしてあとは、俺が魔力を付与したペンダントを付けているからだけど。
ウルフが動いた方角へ全員が移動している。
広い研究施設だけど、そんなに逃げるところはないはずだけど、本格的に逃げるなら瞬間転移で行けばいいと思うし、目的があるのか?
薬品が入った高い棚を曲がって逃げていくけど、どうして足で逃げる必要があるのか、わかならない。
ウルフが角を曲がった、俺は索敵魔法を行使しながら、奴を追っている。
ある角を曲がると、フッと奴の姿が索敵魔法から消えてしまった。
「えっ」俺の索敵魔法は相手が瞬間転移しても、わかるから、瞬間転移じゃない。
急いで角を曲がると、壁しかない。
奴は、どこにいあったのか?
壁を叩いても、触っても、隠れた扉なんかないし、、それだったら俺の索敵魔法に引っかかっているはず‥‥‥
「どこに行った?」
そこに全員が集まってきた。
「クリス、私の位置から見えたんだけど、ウルフ、この中」
アリシアが指差したのは、鏡
『えっ、鏡かぁ」 また鏡の中に逃げたと言うことか?
「いや、待てよ、異空間でもないし、空間魔法の空間じゃない‥と‥‥言う‥ことは‥‥‥もしかして鏡の中?」
俺は置いてある鏡を調べてみる。
しかし手で触っても、硬い面を感じるだけで、変化はない。
「う〜ん、どう言うことだろう」
アリシアが「私の位置からは確かに鏡の前で、ほんの一瞬、止まって、中に入って行ったわよ」
「うん、前も事件があった時に、知っていると思うけど、鏡があったんだよ。
でも、その時には姿が映し出されただけなんだ」
「そうだね、あの時とは違うね」
「ちょっと待って、検索魔法をかけてみるから」と言いながら、検索魔法を使っても、この星にはウルフはいない。
「魔法で見ても、この星にはウルフはいないみたいだな」
「と言うことは鏡の世界があるのか、、もし、あるとしたら、どうやって入ればいいんだ?
「あっ、でも、以前、オズワルド王国で鏡を使った事件があった時に、研究員が忽然といなくなったよな。
もしかしてあの時も鏡の中に逃げたのか?
そう考えると、全てが一つにつながってくるな」
「うん、そうだね」とイザベラ
いま、イザベラが鏡をペタペタ触っているけど、変化はない。
いつの間にか、お腹が減ったのか、お菓子を食べながら鏡をペタペタ触っている、アレク。
鏡が甘いもののお菓子で、汚れてくる。
鏡には俺とイザベラが触ったから、手のあとがついている。
鏡の世界なのか、鏡が、どこかに通じているのか、たぶん、どちらかだろう!
「みんなに聞くけど、たぶん、アリシアの言うとおり、ウルフは鏡の中に逃げたと思うんだけど、、どうやって入るかだ」
アリシア「そうだね、手で触っても硬いだけだし‥‥‥」
俺の姿を鏡に映して、手を前に出して鏡に入ろうとしても、鏡の面にぶち当たる。
「クリス様、この鏡を鑑定して見ませんか?」
「ご主人様なら、使えると思いますよ」とジャネット
「鑑定スキルなんて、使ったことがないんだけど‥‥‥」
ソフィア「ちょっと、やって見てよ」
「うん、じゃあ」と答えて『鑑定』とイメージしてみたら、できた。
「この鏡は魔道具みたいだね。」
「魔法の鏡ね」とイザベラ
「そうだね、魔法の鏡」俺は鏡と壁を調べてみた。
鏡が前に動いて開くんじゃないかと、でも、違うみたいだ。
「クリス様、他には鑑定で出なかったんですか?」セラフィーナ
「うん、魔法の鏡と言う名称と、数値だけ」
「数値?」ソフィア
「そうなんだ、数値だけあるんだよ、だから情報が少ないんだ」
「その数値というのは?」セラフィーナ
「800と言う数値だよ」
「何かの隠語でしょうか?」とシャーロット
「語呂合わせとか?」とアリシア
「数字を合わせれば、開くとか?」とシャーロット
「でも、どこにも合わせるようなダイヤルはないよ」
「う〜ん、困りましたね」とセラフィーナ
ジャネットが「ご主人さま、魔力を充填してみるのは?」
「うん、それは俺も考えたけど、危険はこともあるからね、もし、その数字を俺たちが見えることを知っていたら、魔力を入れた途端、爆発することもあるよ」
「そうですよね、あの狡賢いウルフのことですから」
「もう、とにかく、この鏡を砂漠地帯に持っていって、実感をしてみるしか突破口はないみたいだね、ここで考えているよりもいいと思う」
「はい、賛成です」と一人が言うと全員が手をあげた。
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