第379話 勇者の能力

俺は成り立ての勇者だから、訓練することにした。


何が使えて、使うことができないのか? それがわかっていないから。


それを外部に影響が出ない空間で練習することにした。


練習に誰が付き合ってくれるかと挙手してもらうと全員が手を上げた、その理由は、暇だから、と。


ここにいても、何もすることがないと言う理由で、全員が空間に瞬間転移することになるけど、転移する前に、お菓子をもらうことは忘れていない。


今日は、大勢の人がいるため、多くのクッキー、ケーキなどを用意しているとのことで、たくさんのクッキーとケーキなどを持ってきてくれたけど、普通は、あまり食べてくれないそうだ。


その理由は、男性が多いため、好きな人もいるけど、数少ないためだそうだ。


この部屋にもフルーツを盛った皿が置いてあるけど、それも、持っていくみたいだ。


ピクニックに行くためのお菓子や、食べ物を持っていくと言うことで、セラフィーナとシャーロットが帰ってきたんだけど、両手に、お菓子やフルーツを持っていた。


考えることは同じようだ。


「だって、お父様が持っていって良いっていってくれたんですよ」とシャーロットが話してくれるけど、持っていって良いか聞いたみたいだね。


まぁ今回は、お世話をする侍女の人以外、女性は、俺のメンバーだけと言うこともある。


ピクニックの用意ができたようなので空間に瞬間転移してきた。


この空間は俺が作った空間だ。


そこに異空間収納から人数分の椅子とテーブルを一つ出して上げると、今、もらってきたクッキーやフルーツやケーキを並べ始まる。


そして、それを、すぐに食べ始めている。


俺は、それを横目で見ながら、なんだか緊張感に欠けてしまう。


「さぁ、気をとりなして始めようか」と誰にも聞いてもらえない言葉を口に出してしまった。


誰も返事してくれない‥‥‥


俺はみんなから離れて、遠くの白い壁に向かって、まずは勇者パワーと言うものを確認していく。


まずは、ファイヤーボールだを試してみる。


勇者のスキルを利用すると言うよりも、俺が勇者なんだから使えるのが当たり前だと言うイメージを強く持つ。


まぁ、こんなところで気の弱い俺の特徴が出てしまうなんて、思わなかったけど。


俺は無詠唱で、ファイヤーボールを右手に出現させている。


でも、これじゃダメなんだ、俺が目指している勇者としても力は。


出現させたファイヤーボールを俺は、消すことにして、また、作ってみることを繰り返す。


作ったり、消したりを繰り返しながら練習する。


勇者のスキルで、何も考えなくてファイヤーボールができるようにと、威力の問題をコントロールすることに。


何回も、何回も、俺はファイヤーボールを作ったり、消したりする。


ファイヤーボールを作るときに、ただ作るんじゃなくて、俺とは違う、勇者のパワーを使ってイメージすること。


ファイヤーボールを何も考えずに作ることもできるけど、俺の求めているのは、そうじゃない。


ファイヤーボールを作ったり、消したりしていると、徐々に俺の思い描いていたファイヤーボールが出来つつある。


一番、誰の目から見ても変化が大きいのが、ファイヤーボールの色だと思う。


単純な赤というよりも、マグマのようなファイヤーボールになってきている。


でも、それだけもダメだ。


大きくすればいい訳じゃないけど、大きいのもいいと思うけど、広範囲に影響を出すことができるから。


でも、臨機応変というか、使い勝手がいいように、今の威力のまま、小さくしたい。


俺はファイヤーボールを小さくするため、イメージで圧縮と言うイメージを込めて小さくしていく。


圧縮というイメージでファイヤーボールを小さくすることと、敵を追尾できるようにすること、それには敵をマーカーすれば、どこまでも追尾できるように考えた。


一撃必殺することを想定して考える必要があるから。


俺は、ファイヤーボールを作ってリモートできるか、確認してみる。


手にファイヤーボールを作って、それを放って、真っ直ぐ飛ばしたり、右に旋回させたり、上に上昇させたり、また、俺の横を通り過ぎたりしながら確認していく。


うん、上々だと思う、


そして放ったファイヤーボールを消さないで、空中に留める、炎を小さく圧縮して、炎と言うよりも爆発させるイメージを強く持ち、一気に爆発させる。


すごい音が響いて、アイリスが椅子から転げ落ちてしまった。


他のメンバーは、急に爆発させるから耳を押さえている。


「もう、クリス、爆発させるなら、言ってよね」とイザベラがカンカンに怒っている。


アリシアが「でも、すごいね、ファイヤーボールを自分の意のままに操るなんて」


「そうですね、本当に、私でも、あそこまで出来ませんよ」とジャネット


「あっ、ということは、少しはできるんだ」とソフィア


「そうですね、でも、炎を空中に止めるなんて無理です。

しかも炎を圧縮して小さくすることは、難しいと思いますよ」とジャネット


アイリスがやっと、椅子に座り直している。口にはケーキのクリームがついているけど。またケーキを食べ始めた。


俺は横目で、それを見ながら、今度は違う魔法を実践する。


今度の魔法は、アイススピアだ。


氷属性の魔法だけど、普通のアイススピアでは面白くない。


どうすれば、改良することができるか?


まずは、取り組むのは、硬さだけど、氷を硬くすることは魔法で可能なのか?


そうだ、これじゃダメなんだ、そんなことじゃ、今までと同じじゃないか!


俺は勇者だぞ、歴代の勇者の中でも最強の勇者だ、と心の中で思って、自分を鼓舞した。


イメージで氷を鋼鉄のような硬さにすることを考える。


右手のヒラの上にアイススピアを出して、硬く、固くしていく。


ある程度、出来たら、空間に向けて放つと、真っ直ぐに飛んでいき、俺は思念で、右に、左に、上に曲げてみる。


俺の思い通りにコントロールされたアイススピアを俺の横で空中に留める。


もう一度、空中に止めたアイススピアを、すごい勢いで放つ、アイススピアは、真っ直ぐに飛んでいき、途中で消えた。そして3メートル先で、もう一度、出現して飛んでいく。


そしてアイススピアを消して、もう一度、手元にアイススピアを作って、同じことを繰り返す。


2度目の作ったアイススピアは、もっと硬くすることができた。


さらに3回目、10回目と、20回目と練習を続けていく。


よし、随分、硬くなってきた、そしてコントロールもうまく言っているし、消えるアイススピアを作ることができた。


やはり勇者のスキルを平常で使うと、早く熟練する。


普通なら、三日、1週間、半月かかるところを、数分単位でこなせる。


次は、ウィンドカッターを練習することにした。


ウィンドカッターを使うときは、やはり切れ味と速さかな?


早くウィンドカッターを動かすと、切れ味も良くなるし、風自体を圧縮することで、刃物のような感じにできると思う。


風が広がってしまうと切れるのが悪くなると思うから、刃物の先端の切れ味をよくするように考えることにした。


刃物の先端に、風を集めて濃縮して圧縮することでカバーできそうだ、


俺は、以前から練習用に収納に入っている石を取り出して、遠くの方に投げた。


石は放物線を描きながら飛んでいき、俺がウィンドカッターを発動すると、石にウィンドカッターが近づいていき、石をスパッと音がするような感じで二つに切り裂いた。


俺は石を拾いにいき、断面を確認することにした。


石の断面は、キレイに磨かれたようにキレている。


よし、成功だ。


あと練習したいのは、電撃魔法と金縛りの魔法だ。


電撃の魔法も威力を増すことを考えるけど、電撃だから、熱いイメージと強力な痺れる感じをイメージして、焼き殺すような感じで作ることをした。


あとは電撃の速さと正確さ。


なんだか、後ろのメンバーが静かだけど‥‥‥



そして金縛りの魔法も練習したいけど、ビームを練習することにした。


ビームは光魔法だけど、周辺を照らすのではなく、光を集束して放つことを考える。


光魔法を使うときに、広く使うと、部屋を明るくすることができるけど、それを集約することとレンズを使うイメージも入れてみた。


光の粒子を集束する、波長を考えて、難しかったけど、数回、練習したらできた。


時間を見たら、俺たちが、ここにきて、5時間以上経過していた。


今日は、これくらいかな。


と言って振り返ると、全員が俺を見ている。


「どうしたの」


「‥‥‥」


「みんな、どうしたの」


やっと起動したみたいでアリシアが、「もう、クリスの魔法が凄すぎて、なんか‥‥‥」


イザベラが「人間じゃないみたい」と言われてしまった。



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誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。


また意味不明な文章があることもあるかと思いますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。


この物語は異世界の物語です、現実世界とは違いますので、その点はご容赦ください。

あくまでもファンタジー小説です。

前世の悪い記憶を持つ小心者の主人公が成長していく物語を書いています。

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