第287話 神獣ウルフ(後半)

絶望が俺を襲った。


どうして何だー、なぜ、誰が‥‥‥俺の家族を手にかけたのか


許さん、許さんぞー


俺が出かけてから何があったんだ?


「うっ、うっ、うっ、くそー」


子供と妻を抱きながら、子供との会話や妻との笑いを思い出していた。


今まで、幸せに暮らしていたのに‥‥‥


どうしてだ


俺は子供と妻を抱きながら、もう冷たくなっている体を温めるように、一昼夜、そのままでいた。


しばらくは死んだ妻と子供2人を抱きしめて泣いていた。


しばらくすると落ち着いたので死んだ妻と子供2人を、ゆっくり床に下ろして、寒くないようにベッドに移した。


家から出て、近くを歩いているダニエルを見つけた。


「家で家族が殺されていた、なにがあったんだ?」と言うとダニエルは、


「村長が言っていたんだけど、昨日、見知らぬ兵士が来て、家捜ししていた、その時に、家の中で騒ぎがあったみたいだ」


「それ以上の事は俺も知らない、俺も家族を守るのに必死だったから」とダニエルは言った。


ダニエルは、そそくさと去っていった。


何かがおかしい


俺は村長のところに行ってみた。


村長の家の扉を開くと、「誰じゃぁ、騒がしい」村長が扉が開けた


「なんじゃ、お主か、用は、なんじゃ?」


「家で家族が殺されている」と俺は言った


「なんじゃと?」


「ダニエルに聞いたら、知らない格好をした兵士がきたと聞いたが…」


「あっ、そうそう、昨日、兵士が来たんじゃった」


なんか、村長の言い方に違和感を覚える


じゃぁ、ダニエルは、なんでそういう話をしたんだ?


俺は怒りに体が震えた。



何が起きているかわからなくなった。


入れは怒りが頂点に達した。


人型のまま、村長の家を、壁を足で蹴って壊してやった。


「何をする」


「うるさい」


村長は、俺に襲い掛かってきたが、神獣の腕力に敵うはずも無く殴られて倒れた。


俺は倒れた村長を手で掴み、部屋の壁に叩きつけた。


村長は血を全身から流しながらも、なんとか、生きていた。


「俺がやったんじゃない」と村長


「‥‥‥」


「俺は奴に唆されたんだ」


「誰にだ」


「お前も、よく知っているやつだ」


「だから誰なんだよ」


「隣の家のダニエルだ」


「ダニエル?、俺とあいつは親友だぞ」


「お前の家の奥さんを見るのが目的で、お前と友達になったと言っていたぞ」


「?」


「お前の奥さんが目当てでお前に近づいたって言っていた、奥さんを襲う前に‥」


「お前も、その現場にいたのか?」


村長は失言に気がついた。


俺の怒りは頂点に達した。


俺は怒りで、震えながら村長を噛み殺してやった。


村長が「ぎゃー」と大きな声を出した、


村長の体が 真っ二つになった。


ダニエルを探したが、村にはいなかった。


「ダニエル、許さんぞ、フゴッ」


「地獄の果てまで追い詰めてやるフゴッ、フゴッフゴッー」


家を壊した音が響いて、村人が出てきたが、俺をみて驚く奴らばかりで、俺は我を忘れて、村中の家を壊し、人も殺していった。



俺は家に戻ってきた。


俺は村を全滅させ家に戻り、屋根をぶち壊して取り払い、子供と妻を手で捕まえて抱き抱え、山に向かった。


どのくらい時間が経っただろう。



俺は、瞬間転移をして、火口にいた。


下にはマグマがグズグズ動いている。


その中に俺は身を投じた。





数百年以上ぶりに俺は復活した。


いや、1000年は経ったのかな。もっと、それ以上か?


はっきりとはわからない。


前世の記憶を引き継ぎながら、顔はオオカミになっている。


前世の神獣では、イノシシだったが、今はウルフだ。


俺は生まれ変わる数百年の間、肉体を失っていたが、意識だけは、ムラムラと燃え上がらせていた。


今でも最後の時は覚えている。


そのことを考えただけで体が熱くなる。


鏡で見ても自分の顔が以前と比べて、人相が悪くなっている。


なんだか自分の体が、誰かに支配されているように感じているが、気分が良い。


今の俺には、何でもできそうな気がする。


人を殺したくてたまらない。


しかし、ただ殺すだけじゃ、楽しくない。



あの時、神レイチェルさえ、命令することをしなければ…


それにしても、あの時の、ダニエルの顔が今でも思い浮かぶ!


奴は、何者だ?

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