第169話 本当の仲間


ブローチをプレゼントしたけど、女の子たちに喜んでもらえたみたい。


俺たちは、全員で屋敷の温泉に転移して、先に俺が露天風呂につかっていると、女の子4人が、いつも通りタオルを巻いて入ってきた。


そして湯船につかってタオルを取った。


やっぱり、お風呂に入るときは裸の方が気持ちいい。

俺一人で入るのもいいけど、メンバーと入るお風呂も良いと思う、しかも、ここは本当に星空がキレイだから。


まさに満点の星!


その満点の星の中に裸で入ること自体が最高な時間だと思っている。


一人で入る時も、それはそれでいい時間だけど、女の子たちと入る温泉も最高。



今までは湯船の中でも女の子たちと離れて入っていたけど、今日は後ろを向いてとも言わないし、前を向いている状態で全員タオルをとったみたいだ。


なんてことをしてくれたんだ……そんな嬉しいこと。


なんて考えながら、できるだけ見ないようにもしながら、浸かっているんだけど、今日は俺の周りに女の子たちが近いような気がする。


裸なのに!!


いくら温泉の水があるからといっても、……少しは、……


こんな幸福な時間いいんだろうか?


なんてことを考えていた。


そんなことを考えていると、アリシアが近づいてきて、今日のお礼ねと言ってきた。


これがお礼なんて!


毎日でもしなきゃいけなくなるじゃないか!


そんな不埒なことを考えながら、目は向けないようにして空を見ていた。


あ~星空よ、このまま時間よ止まれ!


残念ながら時間が止まることはなく、動いている。


俺は温泉の入浴が終わったあと、4人を宿に返して、俺はダイラス連邦の屋敷に舞い戻ってきた。

もちろん地下3階の閉鎖された部屋に用事があるから。


暗闇の中、俺は魔法で明かりをつけて、机の日記を見ていく、この部屋の本は、ボロボロなので崩れやすいから、丁寧に1ページずつ読んでいく。


発火の魔法も練習途中だが、使えるようになってきている。


そして俺は精神魔法は得意な分野だと思う。


日記を丁寧にパラパラとめくりながら、そこに書いてあるものを読んでいく。


精神魔法を使うときに、人の心を壊すことなく変えることができると書いていないか探しているが、書いてはいない。


日記は1冊ではなく数が多いので、1冊、1冊丁寧に見ていく。


1つの日記に召喚魔法というのが書いてあった。


召喚魔法と言うのは何かを呼び出すわけだけど、何を呼び出すのか?



日記には、召喚魔法の詳しいことが書かれているんだが、召喚できるものは限られていると書いてある。


日記によると、今までに呼び出されたことがあるのは、ドラゴン、クマと書かれているだけだ。でも、本当なのか、わからない。


しかし、本当に呼び出すことなんてできるのか?

ほんとうにできるんだったら、どうして今、いないんだ?


呼び出された召喚獣は、どうなったんだ?


しかもドラゴンを呼び出しても、ドラゴンって大きいじゃないのか、10メートル、20メートルとかだったら目立つだろ。


そんな話、聞いたことないし。


もし召喚獣は、呼び出した人の命令を聞かなかったら、どうするんだ?


召喚獣っていうくらいだから、獣だろ??


召喚獣を召喚したら、呼び出した奴に食われましたって起きたら冗談じゃないぞ。


呼び出した召喚獣は、一生、呼びだされたままなのか?


召喚獣は呼び出した奴が死ぬと、どうなるんだ?

とても気になるけど。


俺が、もし召喚魔法を使ったら何が出てくるだろう。

なんだか怖い感じがあるので、一度、召喚した何かは返品はできないだろうから今はしない。


あと他には無いのか日記を見ていると、他の日記のページにも召喚魔法のことが書いてある。


研究を進めた結果のことを書き溜めているようだ。


でも、一度、呼び出したものは、気に入らないからといって変更はできないみたいだ。


召喚魔法は一応、置いといて、他に魔法がないのか探している。


もし俺がいない時に、メンバーやアリシアを守ってくれるのであれば召喚獣と言うのもいいかもわからない。


しかし召喚された召喚獣は、返品ができない。


もし以前のようなことがあった場合に、俺が近くにいなくても、守ってくれるのであればと考えた。


本当に守れるだけのものが、召喚できるのかと言うこともあるが。


召喚魔法は、能力がない魔法使いが扱っても、使えるものではないと書いてある。


つまり誰でも呼び出しはできないということだ。


俺に召喚魔法を使うだけの能力や技術があるかどうかだ。

召喚魔法の能力や技術に応じて召喚されるものが違うらしい。


しかし、あまりにも何か変なものや大きなものが出てきた場合は、呼び出された者の能力に応じて小さくもなれるらしい。


呼び出された者の能力に、応じてと言う箇所が引っかかったけど!


う〜ん、どうしようか?


俺の代わりに守ってくれるもの!


いつでもメンバーの守りになるものであれば、それだけ力のあるものを呼び出すことができれば。


俺は一心不乱に考えた。


俺は机の横に置いてある本棚に目がいった。


多分、研究しているときには、参考になる本が近くに置いてあるだろうから。


本棚を見てみると、召喚できる魔物と言う古い本を見つけた。


気をつけながら、その本を開いてみる。


召喚できるのは、トラ、クマ、ドラゴン、オオカミなどと書いてあるが、どれもこれもイマイチのような気がする。


メンバー4人の横に熊がいると言うのを想像してみる、


女の子4人の横にクマ?


女の子4人の横にトラ?


なんだか想像がつかない。


俺が、そばにいない間に守ってくれるもの、俺は、それをイメージして召喚魔法を使ってみようかと思う。


屋敷から転移して変なものが出て規定は大変なので誰もいない広い野原に来た。


今は夜中だから、あまり人の動きもない。


基本系から始めてみる、魔力を集めて、体にまとうようにして濃密にしていく。


もっと濃密に色濃くしていく。


そして召喚魔法を実行する。


俺の今できる最高の魔力を集めて、召喚魔法を行使する。


右手を出して、手の1メートルぐらい先に召喚できるように集中してみる。


俺がいないときには守ってもらえるようなものを創造した。


そうすると手のひら1メーター先に揺らぎが生じている。


それが徐々に実体化する。


徐々に、徐々に実態を完成させながら目の前に現れる。

現れたものは巨大なトラだった。


実体化したトラは、すごく大きくて、10メートルは越えていると思う。


トラが俺を見下ろしながら、しばらくじっと俺を見ていた。


トラは何を見ているんだろう?


俺は下からトラを見上げている。


トラは、俺の体を確認しているような気がした。

何を確認したんだ?


ここで何かしなきゃいけないのかなと考えていると、現れたトラが言葉を発した。


「私を呼び出したのは、お前か…」


俺は見にくい少し後ろに下がった。


「私と契約すれば、お前の願いはかなえられる」


「私との契約は、名前をつけることだ」と巨大なトラは言ってきた。


「私を召喚したときに、お前は願ったものがある、私は、それに応えるために出現した」


「さあ、私に名前をつけろ、それが契約の証になる」


「契約の証が、お前の願いをかなえられる」


俺は戸惑いながらも一生懸命、名前を考えた。


さっきから私は、と言っているので、声は男性のように聞こえるが、俺はメスだろうと思って「アレクサンドラっていうのはどうだろう」と提案してみた。


「アレクサンドラ、アレクサンドラ、アレクサンドラ……」何回か名前を繰り返しながら、いいだろうと納得したみたいだ。


「略したらアレクと呼んでもいいかい」と言ったら、言葉まで変わって「いいわよ」と女性っぽく言われた。


名前を付けた影響かわからないけど、女性の言葉使いになった。


女性みたいに答えたので、「姿を変えられるかい」と言ったら、「小さくなったほうがいいのか、姿かたちを変えたほうがいいのか、どっちがいい?」


と言うので、両方やって見せてくれと言った。


そしたらアレクは、そのままの形で小さくなった。トラが小さくなり、30センチくらいまで縮んだ。

アレクは小さくなって「この大きさも可愛がられて人気よ」と言ってきた。


そして、「こんなのもできるわ」と言って人の形をして見せた。


それも13歳くらいの女の子に変身しているけど、変身できるから、召喚しても10メートルくらいのトラが現れないんだ。



トラのアレクが、30センチの小トラになることや、人型に変身すれば13歳くらいの女の子に変身できるなんてすばらしい。


これは、すごく便利だ。


人型になったままでいるので、近づいて、「これからよろしくね」と言って手で握手した。


人型になったトラは、すごく可愛い女の子だ!


虎なのに、髪も長いし胸も大きいしウェストは閉まっていてスタイルも良い、足も長くて綺麗だ。


見ている場合じゃなかった…


その理由は、人の形に変身したらトラのアレクは裸だったからだ。


いま、ここには女性用の洋服がないので、しかたなく俺の洋服でも貸しておくか、と考えていると、洋服を魔力で表現できると言ってきて、裸のアレクが、瞬間的に、ワンピースを着て現れた。


なんだ、作れるなら、初めから洋服で出現すればいいじゃないか、と思ったけど、言わなかった。


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