第106話 地下2階の部屋
魔法力向上のため俺たちは、しばらくポーション作りを続けていたけど、作業場では人数も増えて、そろそろ新しいことを始めようと考えている。
俺は自分の部屋よりも、周りに研究材料が、いろいろなものがある地下2階の部屋が好きなので、考えるときは地下2階の部屋に来ていることが多い。
今も地下2階に来ている。
新しく何の作業をするのか、または冒険に行くのか、いろいろなことを考えていると、壁一面に並んでいる本棚に目がいった。
ここ最近は、忙しくてあまり本を見ていなかったな。
と思った俺は、本棚に並んでいる本の1冊を手に取った。
それは以前、俺が読んで前世の記憶を取り戻すことができた自分が書いた分厚い本だった。
自分が書いた本でも、書いたと言う記憶はあるんだが内容までは覚えていないので、1ページ、1ページ確認しながら読んでいく。
そうすると、あるページに手が止まった。
そのページには、飛行魔法と書いてあった。
しかし今時、飛行魔法といっても、目で見えて空を飛んでる人なんか1人もいない。
飛行魔法が廃れてしまっているのは、それだけ難しいからだ。
今となっては、誰一人、使う人はいないと思う。
俺が飛行魔法を使うときには、透明化の魔法を使いながら使えるから有効かもしれないと思ったので読み進めていく。
なんだか自分が書いた本、すごく、この本は優秀だなと自分でも実感してしまった。
飛行魔法は、どうすれば自分の体を浮かばせることができるのか?
俺は、1字、1字を丁寧に読んでいきながら、理解していく。
そして理解したら後は実践のみだ。
俺は椅子に座っているときに魔力を、まとうようにして集中して浮いているイメージを強く持つ。
そしたら、なんと少しだけ体が浮かんだ。
体を浮かべることをイメージしながら、魔法を濃密にしていく。
しかし部屋の中では、これが限界。
地下2階に、こもっていると時間の経過を忘れてしまうので、屋敷の庭に出たときには、薄暗くなっていて、誰もいなかった。
さあ飛行魔法を使ううぞと思っていた矢先、アリシアが歩いてきた。
「クリスが出ていくのを見たから、見に来た」と言っていたが、何をしでかすか心配で見に来たみたいだ。
アリシアには隠しておく必要はなので、「今から空を飛んでみせるよ」と言ったけど、アリシアは「ふーん」と言っただけだった。
「えっ、なに、そのリアクションの薄さ。」
「えー、だってクリスがやることで、いちいち驚いていられなくなったんだもん」と言われた。
まぁ、いいけど
そして俺はアリシアに、まずは地面から体が浮いている状態を見せる、そして、そこから、さらに上空に体を上げていく。
そして自由に空間を移動を横移動や上昇、下降するようにした。
これで飛行魔法は成功だ。
と思っていたら、「ねぇ、面白そうだから、私も飛ばせてよ」と要求してきた。
まだ実験中だから、そんなに高く飛ばせられないよ、と答えると、いいわよと言うので、手を握って少しだけ浮いてみる。
そうだ!
飛行魔法を使うときには、アリシアと手がつなげるんだ。
手をつないでいないと、体が浮かぶことができないので、飛行魔法と言うのは手が、つなげるんだと実感した。
すばらしい!
飛行魔法が、じゃなくて!
アリシアと手をつなげることが!!
俺は時々、街の郊外まで行って飛行魔法を練習してみる。
もちろん、透明化の魔法を使いながらだけど。
そしてアリシアとも、街の郊外に行って、一緒に2人して、飛んでみる。
アリシアに手を差し出して、その手をアリシアが握ってくれる。
すごく楽しかった!
何が?と言わなくても、わかってるよね。
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