第7話 アリシア視点
俺はアリシアが目覚めるまで待っているつもりが、急に眠くなって意識が飛んだ。
私が目を開けると、木の根元にクリスが横たわって寝ていた。
「はっ、どうしてこんなところで?」と体を起こして、クリスを起こす。
私はクリスを起こそうとしているけど、なんだか。変な感じがする。
「クリス………クリス」と何度も名前を呼ぶが、目を開ける気配がない。
もっと、強く大きな声で「クリス、………クリス、ちょっと目を開けてよ」と体を揺するとクリスの目が開いた。
寝ぼけながら、あっ? アリシアなんて、言うもんだから、どんだけ寝ていたのよ、と思ってしまった。
でも、もしかしたらクリスがケガをしたのか、と考えて服を見ても血も出ていないし、服の破けもない。
クリスが大丈夫か聞きてくるので、どこ三痛くなかったから「大丈夫」と答えた。
そして「クリスは、大丈夫?」と聞いてみた。
なんだか、気落ちしたように、大丈夫だよって答えた。
なんだか、クリスは言いにくそうにしている。
?????
どうしたんだろう?
でも、最近のクリスって、なんだか、人が変わったような感じがする時がある。
初めに、思ったのは、ケイシーの時から………
私が気絶している時に、どうやってか、わからないけど、いつの間にか倒しているし、一度、聞こうと思ったけど、なかなか、チャンスに恵まれない。
冒険者のケイシーから魔法のことを教わっていたことは知っている。
そしてケインからも何か教えてもらったのかな?
でも、ケインは剣士だから魔法は使えないと思う。
ということは、ケイシーから、なにか教えてもらって、魔法を使っているのか?
でも、ケイシーから教えてもらっていたのは、数日だ。
そんな短期で魔法が使えるようなら、私も魔法を使えるはずだ。
しかもケイシーは、魔法が得意ではないと言っていた。
と、いうことは、どうして?
私の服だって、あちらこちら破れているけど血だらけでも、体は痛い所もないしケガどころか、傷一つないなんて。
でも、証拠に血の量が多いこと。
だから、少し、フラフラする。
自分の血だと思うけど、べとべとするから、早く着替えたいけど、今は敗れた服を手で見えないようにするしかない。
でも、目の前にいるクリスは、どうしてかわからないけど、普段とかわらないけど、どこか依然と違うような気がする。
大人びたような感じさえする。
もしかしてケイシーと何かあった?
「!っ」と自分の考えに驚く。
「そんな………」
歳も離れているけど、男性と女性だもの、何かがあっても不思議じゃないよね。
たらり………冷や汗が出る。
ううん、違うよね………
弟みたいだと言っていたから、違うよね………
そんなことを考えていたら、クリスの方ばかり見ていたから、クリスが振り向く。
私は、その顔にドキッとする。
以前は、クリスと顔を合わせても、そんなことはなかったのに………
どうして?
どうして、こんなにも胸が苦しくなるんだろう。
今まで、弟みたいだと思っていたクリス………
力もなく、走るのも遅いクリス………
いつからだろう? クリスをいじめたいって思っていたのは?
****
今回の村の被害は甚大な様子。
でも、村の門に近づいていくと、本当にひどさがわかる。
お父さん、お母さん、大丈夫かな?
私が村の中にある自分の家に近づくと、今までとは違って、家が瓦礫になっていた。
私は、急いで家の瓦礫を乗り越え、私は焦りを覚える、もしかして、こんな状況じゃ、お父さんもお母さんも………
生きていて………
瓦礫を乗り越えると、黒い魔物が床に倒れている。
見たとき、心臓が止まるかと思ったが、そいつは、動くことが無かった………でも、横でお母さんが倒れている。
その先では、お父さんも、床で倒れている、
私が瓦礫の上から、名前を読んでも、ピクリとも動きもしない。
「お父さん、お母さん………」と言いながら涙が出てきた。
私がさらに瓦礫を乗り越えようとすると、クリスのお父さんが私を止めた。
「おじさん………行かせて………」と言っても、おじさんは苦い顔をするばかり。
「行かせてよ」と懇願しても、おじさんは手を離してくれない。
そんな私をおじさんは、抱きしめた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~」と大声を上げて泣いた。
そのうちにクリスのおばさんが来てくれて、おじさんからおばさんに、私は抱き着いて泣いた。
おじさんは、私の家の中に入り、しばらく出てこなかった。
私は泣きながらも、家の前で待った。
しばらくすると、おじさんが家から出てきて、私に向かって顔を横に振り、悲しい顔をした。
私は、それを見て、お父さん、お母さんがいなくなったと感じた。
クリスのお母さんが、私を抱きしめた。
泣いている私の後ろから、クリスが優しく抱きしめた。
前からも、後ろからも温かさが伝わってくる。
「どうして?」
「どうしてお母さんが? お父さんが?」と私は言っていたみたい。
その理由をクリスのお母さんが知っているかのように………
でもクリスのお母さんは、私を抱きしめているばかり………
もう、お父さんの顔やお母さんの顔を明日からは見ることができない………
私の心に空白ができた。
それが、私の心を蝕んでいくように………
でも、つらい中でも唯一、良いことは私が夜に涙を流していると、クリスが静かにシーツをまくり上げて中に入って来て私の手を握ってくれる………
クリスも寝不足になるだろうに、それを言うことなく、私が寝付くまで手を握ってくれている。
クリスに手を握られると、安心して眠る事ができる………
時にはクリスの手をぎゅって力を込めてしまうこともあるけど、クリスは両手で私の手を握ってくれる。
眠る事ができるから、私は朝から元気だけど、クリスは、いつも眠そう。
ごめんね、クリス………そして、ありがとう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お読みくださりありがとうございます。
ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。
本当に多くの方の支援には心より感謝しております。
そして、何よりも小説を書くための励みになっています。
誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。
また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。
クリスとアリシアの物語をお楽しみください。
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