第四章 異国の地での初めての夜

 オルコット捜査官は、一息ついた様子で、ルイス警部に「この建物が、ジョナサン警部が泊まるホテルですよ。このホテルは十六世紀に建築された文化遺産のホテルなんですよ、名前はホテル ポサダ デル ルセロ(Hotel Posada del Lucero)というんですよ、とても綺麗でとてもわくわくする様な建物なんです」といった。ルイス警部は、ホテルの傍の花壇のでっぱりに座りながら、オルコット捜査官に「うーん、とても凄い建物だね、それにしても十六世紀とは凄く古い、んん」といった。オルコット捜査官は、学校の先生が教え子に説明する様な口調で、ルイス警部に「いや、でもこのホテル ポサダ デル ルセロ(Hotel Posada del Lucero)は中はとても近代的な造りになっているんですよ。このホテル内で過ごしてみれば、直ぐに分かります。とても素晴らしいホテルなんですよ、ホテル ポサダ デル ルセロ(Hotel Posada del Lucero)は。伝統と近代が融合した建物に泊まるなんて、ジョナサン警部が泊まるにはぴったりですね」といって、口をキュッと結んだ。ルイス警部は、あっと驚きながら、オルコット捜査官に「そうなのか、それは素晴らしい、んん」といって、ホテルを見上げた。オルコット捜査官は、声を張り上げて、ルイス警部に「それでは、今日はゆっくりして下さい。明日は私が迎えに来ます、それではまた明日」といって、その場から立ち去った。ルイス警部は、陽気な感じで、オルコット捜査官に「ああ、ありがとう、では明日」といって、少し酒でふらふらになりながらホテルのロビーへと入って行った。ホテル ポサダ デル ルセロ(Hotel Posada del Lucero)は、十六世紀に建築されていて、その後文化遺産になっている。ホテル内の部屋は伝統的なアンダルシア風の中庭の傍に位置している。また朝食は特徴的でビュッフェ式朝食を採用している。ドゥエニャス宮殿、エンカルナシオン広場、セビリア大聖堂、ヒラルダの塔まで徒歩で行ける距離であるのだ。ホテル ポサダ デル ルセロの正面入り口は一階が白い壁で出来ていて、二階は茶色い壁で出来ていて、三階も茶色の壁で出来ている。正面入り口から左右の横の壁は一階が茶色の壁で出来ていて、二階と三階は白い壁で出来ている造りになっているのだ。正面入り口に書かれている“ホテル ポサダ デル ルセロ(Hotel Posada del Lucero)”の文字を始め、至る所にライトアップされていてとても幻想的だ。ライトアップされているのは夜だからであろう。ルイス警部が気分よく歩きながら、ホテルのロビーの受付に「やあ、僕は今日このホテルに泊まる客の一人のルイス・ジョナサンだ。僕の部屋を教えてくれないか?」といって、にっこりと笑った。ホテルの受付の男性は、愛想良い様子で、ルイス警部に「はい、今お調べしますね、ええと、ええと、ルイス…ルイス…ルイス・ジョナサンですね、ありました。三階の三百五号室です、三階はとても景色が綺麗ですよ。今の時間帯は夜景が綺麗です、お客様。ではこちらがお部屋の鍵です」といって、鍵を差し出して来た。ルイス警部は、暖かみのある声で、鍵を受け取りながら、ホテルの受付の男性に「ああ、どうもありがとう。三階の三百五号室だね」といって、柔らかい視線を投げた。ホテルの受付の男性は、礼儀正しい口調で、ルイス警部に「そうです、お客様。何か御用が有りましたら、お呼び下さい。ではごゆっくりお過ごし下さい」といって、礼儀正しく会釈をした。ルイス警部は、頷きながら、ホテルの受付の男性に「ああ、どうもありがとう、それではお休み」といって、エレベーターへと向かって行った。ホテル内は、壁や天井や床が白い石造りになっている。そして白い石柱が沢山あり、この建物自体を支えていて、四角い広場の空間を造っていて、この広場の角にはライトが置かれている。四角い広場には、黒色の椅子がいくつもあり、その椅子には黒い色のクッションが置かれていて、濃い茶色のテーブルがいくつも置かれている。四角い広場の中心には大きな黄緑色の植物が飾られている。少しばかりしてルイス警部は、エレベーターに乗り込み、三階へと到着した。ルイス警部は、エレベーターから降りると、ちょっとばかりよたよたとした足取りで、自分の部屋の三百五号室を探し始めた。ルイス警部は、床の黄色のカーペットをゆっくりと踏みしめて、部屋を探して進んで行った。ルイス警部は、ほんの少し眠気がして来たが、このまま眠っては駄目だと強い意志で思い、眠るなら自分の部屋でだと固く思った。そうこうしていると、ルイス警部は、自分の泊まる部屋を見つけて「良しこれだ、この部屋の番号だ。三百五…三百五号室」とつぶやいて、一瞬の躊躇も無く、鍵を差し込み、部屋の中へと入って行った。ルイス警部が、部屋の扉を開けると、そこには快適な部屋の光景が眼に入って来た。ルイス警部の部屋の中は、真正面に縦に長いガラス窓が二つとその間に中位のガラス窓が備え付けてあり、朝の光がとても気持ちの良い具合いに差し込んできそうである。このガラス窓の手前に大きなシングルのベッドがあり、シーツや枕は白一色である。この大きなベッドの枕の上には茶色の壁が広がっている。ベッドの左横には茶色の小さなテーブルがあり、その上には黄色の固定電話が置かれている。ベッドの足元の方には中位の書き物机と椅子と中位のクローゼットが置かれている。その書き物机の上には黒い大きなテレビが備え付けてあるのだ。それから書き物机の上には白いティーカップと電気ケトルが置いてある。近くにコンセントの差込口があり、そこから電気ケトル用の電気を流すのが分かる。ルイス警部は、部屋に入るとまず初めに、自分の腕時計で時刻を確認した。すると、時刻は六月十八日の火曜日の午後十時ニ十分だ。ルイス警部は、これから英国に居る自分の家族に電話するかな、エメットや息子のパスカルや両親が心配しているんじゃないかという考えが頭をよぎった。ルイス警部は、書き物机に携帯用の拳銃と英国特別捜査機関の身分証をゆっくりと置いた。そして自分の上着のポケットから高性能の携帯電話を取り出し「イギリスは今午後九時ニ十分かぁ、みんなが寝静まる前に電話をしよう」とつぶやいて、携帯電話からエメットに電話をした。暫く携帯電話のダイヤルの音を聴いていると、相手が応答した時に鳴る“ピポ”という音が聞こえて来て、エメットの声が聴こえて来た。ルイス警部は、満面の笑みになりながら、エメットに「やあ、君かいエメット?そっちはどうしている所だい?僕の方は仕事の後に夕食を食べて、それからホテルに到着した所だよ。もう僕は自分の泊まる部屋に居るよ。それでそっちはどうかな?」と携帯電話でいった。エメットは、心臓が高鳴る様な口調で、ルイス警部に「ええ、私よ、ルイス。私たちは、ルイスがいない事を寂しく思いながら、仕事や家事に追われているわよ。それでルイスが今何をしているのかを考えたりして、あまり心配し過ぎる事が無い様にして食事をきちんと食べて、それからお茶の時間も忘れずにしているわよ。今は丁度みんなで紅茶のアールグレイティーを飲んでいた所よ」と携帯電話でいった。ルイス警部は、相手の心の様子を感じ取った様で、自然と微笑みをたたえながら、エメットに「そうか、それは嬉しいなぁ。君も分かっている通り、あまり心配しないでくれよ、君が倒れてしまったら、どうにもこうにも行かないからね。それでパスカルはどう?元気にしているかい?そっちの環境に慣れているかい?」と携帯電話でいった。エメットは、心地よい声音で、ルイス警部に「ええ、ルイス、パスカルの事ね。パスカルはここの自然環境が合っているのか、良く笑うし、体重も増えたのよ、凄いでしょう。パスカルはとても元気よく、すくすくと育っているみたいなのよ、嬉しい限りだわ本当に」と携帯電話でいった。ルイス警部は、喜びに踊り出しそうな口調で、エメットに「それはとても良い知らせだね、パスカルがとても心地よくしていて、とても良く成長もしていて、とても僕は嬉しいよ。心から愛しているよエメット、君の明日の活動に響くといけないし、僕の方の仕事にも響くといけないからそろそろ電話を切るよ。僕の両親にも宜しく伝えといてくれ、愛しているよエメット、じゃあまた、明日電話するよ」と携帯電話でいった。エメットは、暖かみのある声で、ルイス警部に「ええ、そうなのよ、凄いでしょう、私もパスカルの事は感激しているのよ。私も心から愛しているわルイス。分かったわ、じゃあ明日も、時間を見つけて連絡してね、私も自分の仕事に専念するわね、ルイス、あなたの方も頑張ってね、でも危険な事はしないように良いわね、約束よ。ええ、あなたのご両親にもきちんと伝えておくわ、じゃあまた明日ね、愛しているわルイス」と携帯電話でいった。それから間もなくして、ルイス警部とエメットの携帯電話での通話は切れた。ルイス警部は、携帯電話での話しを終えると、とても嬉しい様子で「そうか、パスカルの体重が増えたかぁ、良いね。エメットも元気そうにしているし、とても良い具合いだぁ、良しそれでは明日の用意をしてから眠る事にしよう」とつぶやいた。それからルイス警部は、自分の泊まる部屋に完備されているバスルームへと向かった。部屋のバスルームは、黒い石造りで出来ていて、バスタブや洗面台は白い石造りで出来ている。そしてバスルームはとても近代的な造りになっているのだ。ちゃんとドライヤーや水道が完備されていて、シャンプーやボディーソープも完備されている。ルイス警部は、バスルームに暫くの間入ってから、上がって来ると、部屋に備え付けてある冷蔵庫からスペインのレモン炭酸水のペットボトルのカセラを取り出して、蓋を開けてグビグビと飲み出した。それからルイス警部は、携帯用のピストル(拳銃)と英国特別捜査機関の身分証を書き物机の引き出しに入れて鍵をして、部屋に用意してあった、パジャマに着替えてからベッドの中に入り、少しばかりして眠りについた。

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