第111話 閑話─騎士として
「 お可愛いらしい令嬢ですね 」
アルベルトとレティが、手を繋いで歩いて行く後ろ姿を見つめていたのは、クラウドとグレイだった。
クラウド・ラ・アグラスは、アルベルト皇太子殿下の側近で、秘書兼護衛を兼ねている、元、皇宮騎士団出身の32歳の妻子ありだ。
グレイ・ラ・ドゥルクは、皇宮騎士団第1部隊第1班の班長を勤めていた。
騎士団1の剣術の使い手で
毎朝の騎士団の訓練では、アルベルトと手合わせをしていたのである。
エドガーの従兄弟である。
レティの3度目の人生では、皇宮騎士団騎乗弓兵部隊班長であった。
騎乗弓兵だったレティの直属の上司である。
この時、グレイは28歳、レティは20歳だった。
クラウドは
騎士クラブに入部し、新人部員を直接指導をしていると言うアルベルトの様子を見に来ていた。
皇太子殿下が直接指導をするなんて、普通ならあり得ない事なので、側近としては見逃せない事案だった。
学園に視察に行く道すがら、グレイに会ったので、グレイが一緒に付いて来たのだった。
グレイは
訓練の時にアルベルトから度々聞かれる、リティエラ・ラ・ウォリウォール公爵令嬢の事が気になっていた。
その上、彼女が騎士クラブに入部したと言う事も聞いていたので、余計に気になっていたのである。
馬車で学園に行く道すがら、クラウドに公爵令嬢の事を散々聞かされた。
クラウドも彼女の事を気に入っている様だった。
「 殿下がご執心の、それは美しく聡明なご令嬢ですよ 」
……と、クラウドが目を細めながら言った。
騎士クラブの訓練場に到着すると
丁度、殿下とエドガーの模範試合が始まる所だった。
「 おっ、面白い事をやってるな 」
………と、クラウドとグレイが静観した。
アルベルトは、毎朝騎士団の早朝訓練に参加している。
騎士団の訓練は真剣を使う。
だが、騎士クラブは木剣である。
二人は視線を外さず睨み合いが続く…………
殿下は強い。
特に最近は心身共に充実し、その上、魔力まで開花させたのだ。
殿下の剣を振るうスピードが一段と増した。
もはや、騎士団1の腕前のグレイでも敵わなかった。
勝負はあっと言う間についた。
エドガーも真摯に剣術に打ち込む、可愛い従兄弟だ。
手合わせは久しぶりだった。
まさか………
木剣が殿下の大切な人に飛んで行くとは……
殿下は、リティエラ嬢に向かって走り出しながら、殿下の指から稲妻が発せられ、木剣が空高く弾き飛ばされた。
殿下の魔力を目の当たりにした。
時間がスローに過ぎて行く様だった。
クラウドもグレイも息を飲んだ。
「 凄い 」
そして
一目散にリティエラ嬢に駆け付ける殿下を見ながら、
クラウドもグレイもエドガーもリティエラ嬢の元に駆けつけた。
良かった、兎に角、令嬢が無事だった………
お詫びを述べて
改めて令嬢を見る………
グレイ・ラ・ドゥルグ、23歳
仲良く手を繋ぎ歩いて行く、アルベルトとレティの二人の後ろ姿を、何時までも見ていた………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます