第70話 閑話─武勇伝と浮気者



皇宮では

アルベルト皇太子殿下の側近のクラウドの報告を聞くのが楽しみになっていた。


皇后に報告をしていたのだが、最近は皇帝陛下も同席していた。

侍女や女官やメイド達もこっそり楽しみにしていた。

聞き耳を立てながら………




「まあ、公爵令嬢が平民生徒の為に、悪党と戦ったのですか…………」


「そして公爵令嬢がやられそうになった所に、我が息子アルが颯爽と現れて、退治したのじゃな」

陛下が嬉しそうに顎を撫でた。



この2人の武勇伝は学園でも語り草になっていた。




「そう、アルベルトと公爵令嬢は上手くいってるようね」



しかしである。

「 クラウド、まだあのメイドが誰か判明しないのですか? 」


「 はい、殿下も口を割らなくて………あっいや、聞くと、ごまかしてしまいになられます 」


しかし、思い出してはどうにも楽しそうな顔をされる。

隠してるからこそ余計に怪しい。




そりゃあ言えない。

公爵令嬢が、メイドに扮して皇宮に不法侵入していたなんて言えやしないのだ。

宰相の為にも…………



あの場に居たのはシェフと給仕係が2名。

聞くと、それはそれは美しいメイドだったと言う。


一体何処で出会われたのか?

リティエラ様をあんなにもお好きな殿下なのに……

クラウドは不思議に思う………




そして………

それを聞いたメイド達は

何も他家のメイドに手を出さなくても、私で良いじゃないと憤慨する。

己に美しさの欠片も無いのに………である。




皇子様と他家のメイドとの浮気の真実が判明するのは

もう少し先になる。




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