第68話 生徒、学園長を叱る
レティとアルベルトは、学園長の応接室にいた。
保健室から被害に合った女子生徒達も連れて来られた。
話を聞くと、
彼女達は、突然あの酔っ払いの男達に絡まれたのだと………
レティが来なければ襲われていたと、レティを見るなり泣いてお礼を言っていた。
学園長と副学園長と門番もそこにいた。
「 安全でなければならない学園に、何故彼等が侵入出来たんだ? 」
アルベルトが学園長に問いただす。
今日は学園祭で、物品の出入りが多い為に、庶民棟の裏口を開けていたのだと言う。
門番を1人立たせていたが、用を足す為に離れていた時に侵入したらしい。
今日は学園祭で手薄なのは仕方無かったと言う。
「 学園祭で、何時もより人や物品搬入が多いからこそ、より警備の強化が必要だとは思わなかったのか? 」
「 それを仕方ないと言うのは………職務怠慢でしかないぞ 」
私、今、凄い物を見てるわ………
学園長を叱りつける学生って…………
当然殿下は学生服を着てる。
殿下は容赦ない。
「 これは文部大臣共々、然るべき処分が必要だね 」
「 殿下、どうか………それだけは…… 」
「 我々だけの処分で……… 」
一人掛けソファーにどっしりと座り、
足を組んで、手はひじ掛けに置いて、頬杖をついている。
怖い学生だわ………
「 あの………門番さんも処分されるのですか? 」
レティはこっそり手を上げながら殿下に聞いた。
アルベルトはクスっと笑った。
「 当たり前だろ? 君や彼女達が襲われたんだよ? 」
「 もしかしたら、もっとひどい事になってかも知れない 」
「 でも、門番さんは1人だったから、仕方なかったんじゃ無いの? 」
「 プロなら、1人じゃ警備出来ないと言うべきだったね 」
「 そんなプロ根性も、権力の前では無力だわ 」
レティは、殿下や学園長を睨み付ける。
「……………」
押し黙るアルベルト。
項垂れる学園長。
また、痛いところを突いてきた。
彼女は何時もど正論を突き付けてくる。
門番が慌てて、泣きそうになりながら、自分のせいだから処分は自分だけにして欲しいと謝っている。
「 分かった、責任問題として、処分は学園長と副学園長だけにする、内容は私の秘書から通達をする 」
「 はっ、有り難うございます、殿下の温情に感謝します 」
学園長は、取り敢えずは大臣まで巻き込む事にならずに済んだ事に安堵する。
大人達が殿下に深くお辞儀をする。
「 感謝するなら彼女にして 」
いや、殿下、もうそれ良いから………
皆から次々にお礼や謝罪を言われ、慌てる。
殿下、私はただの生徒ですから…………
「 じゃあ、解散、レティ、帰るよ 」
「はい」
出ていく殿下の後に続く………
振り返りお辞儀をすると、皆から生暖かい目で送られた。
応接室から出るとラウル達がいた。
ラウルは
アルベルト皇子とアルベルトの護衛騎士に、丁寧に頭を下げた。
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