第67話 お色気作戦になんて屈しない②
「はい、ユウさんの分、みんなもう遅いから、食べたら歯磨きして寝ようよ、俺は茶碗洗ってくるからさ」
「「「「はーい」」」」
「……どうしたの皆?なんか楽しそうだけど」
ユウの分の豆腐茶漬けを用意したハレオは、みんなの表情を見て不思議がる。
トウカとスミレは少し落ち込んでいるものの、一番相性が悪そうなボタンとユウが満面の笑顔であることに驚き、そして喜んだ。
「もしかして、みんなユウさんと仲直りしたの?」
「う、うん、まぁ」
そのハレオの喜ぶ顔を見たユウの胸に、罪悪感が押し寄せる。
「もともと喧嘩なんていてないよ、お兄ちゃんが勝手に暴走してただけだから、ねっユウさん」
「そ、そうね」
トウカのフォローが左ジャブの如くユウを襲う。
「まぁもともとは、可愛い私達のことを揶揄ったのが原因だけどねっユウさん」
「う、うん」
ボタンもすかさず被せる。
「ユウ様は大人の女性だからね、みんなの事を思って一芝居打ったんだよね」
「あーもう、ごめんなさいってば」
スミレのは本心からだったが、ユウへのトドメには十分だった。
「ハレちゃんにも、ちゃんと謝ります。ほんとにごめんなさい。全部私の勘違いだったの、スミレちゃんの言う通り、お芝居だった。だからもう引き籠ったりしないでね」
「お、お芝居?全部?」
「そうよ、でもハレちゃんのことを思ってやったんだからね、ハレちゃんがもっとちゃんとしてれば、ただのメンターとして再会するハズだったんだから」
「メンター?W高の?」
なにも知らされていなかったハレオは困惑する。
「えっと、じゃあ結婚も……」
「結婚は……」
「よかったー、ほんとに安心したよユウさん、なんだよーお芝居ならお芝居って言ってくれよ、俺、本気で結婚へ向けて成人までの計画を立てるところだったじゃないですかー」
「いや、ハレちゃん、結婚は……」
「ほんとに、良かったねー」
「いやー流石、伝説の声優さんだぁ芝居が上手い」
「私、一生ユウ様に付いて行きます」
ユウに、その先を言われない様にボタン、トウカ、スミレは被せた。
「そうかーユウさん、W高のメンターになるのかぁ、じゃあもしかして声優科とかできたりして?いや高校で声優科は……W高ならやるか、とにかく、みんなとユウさんが仲良くなってくれて、俺は凄く嬉しいよ、なんか元気出てきた。俺もおかわりしようかな」
「うぅ、今日のところは、それでいいわよ、今日のとことはね」
ハレオの表情と、周りの取り巻きの圧に屈したユウは、しぶしぶと豆腐茶漬けを流し込む。
「それよりも、ハレオくんはゲ……痛いっ」
ユウはその発言を止めたる為、ボタンの脇腹を軽く抓った。
「ゲ?ボタン、ゲって何さ」
「ああ、ほらゲームのことよ、遠足楽しかったねーって、ねぇボタンちゃん」
「あ、ああ、はい」
(バカね、ゲイの人にゲイですかって聞いたら失礼でしょ、あとで女子だけの作戦会議開くから我慢しなさい)
ユウはボタンに、そう耳打ちして誤魔化した。
「そうだ、明日もネット遠足あるんだから、みんな早く寝ようぜ、俺も食べたらすぐ寝る」
「そうね、私もそうするわ」
「わたしもー」
「おやすみー」
「いやーほんとよかったー」
ハレオは喜びを噛み締めながら自室に戻り眠りに就いた。
そして、それを確認した他の4人は再びリビングへと集結した。
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