ストーリーや設定の緻密さや背景知識の量、戦闘モノとしての面白さなどは恐らく他の方が指摘されていますし、そうしたものに疎い私には細かく語れないのですが、私が何より感服させられたのは演出の多彩さです。文字を文章だけではなく「絵」として使って情景を「描写」したり、中盤からは読書中のBGMを指定したりと、普通の小説の枠にとどまらない総合的な「芸術」を志向されているな、と思います。キャラクターの数、ストーリーの複雑さなど、情報量がとにかく多い作品ですが、私みたいに覚えられない人でも、不思議と主な流れはわかりますし、何よりも「その場」の臨場感を楽しめるようになっています。
なお、本作は戦争ものですが、弱者たちの苦痛にフォーカスするというよりは、超常バトルの前線に立つ「自分の強さに呪われている」ような人たち(人外達)の群像を描くような作品になっています。
人間の尊厳だとか戦う意味とかについて葛藤し確認している暇はありません。異形たちは容赦なく人類を踏みつぶし、青い地球を極彩色に染めて行きます。
まるで誰もが歴史の大きな流れに巻き込まれてしまって、抜け出せなくなってしまったような……。その流れの行き着く先はもう決まってしまっているのか、誰の意思が作った流れなのか。……全貌が見えるのを楽しみにしたいと思います。
クトゥルフ神話を題材にした小説は数えきれないほどにあれども、これほどまでに重厚な小説を私は呼んだことがありません。
これは2298年、地球が"滅び"に見舞われた後の話ということもあって、各国の状況は大幅に変化していますが、紛うことなき人類の戦いの記録です。
人類に襲いかかる不条理なる神――……
三つの頭を持ち、下半身から十字架の生えた異形の天使。
艦隊を観察する蟲。蟲。蟲。
黙示録の竜。
絶望し、諦観し、それでもなお、生き残るために"滅び"に立ちむかう人類!!
まさに混沌、不条理。それでいて、その基礎にある設定は入念な情報収集をもとに緻密に組みあげられたものです。言語学、地理学、神話から軍事知識等々、読み進めるほどに著者様の膨大なる知識量に圧倒されます。
あまりにも奥が深すぎて、私にはこの小説について語りつくすことは到底できません。息をのむような読書体験を、ぜひともあなたに経験していただきたいとおもいます。
最後になりましたが、……私はこちらの小説の著者さまを、令和日本のハワード・フィリップス・ラヴクラフトと御呼びしたいです。
第1章冒頭までを読了した時点での感想です。
世界観、ストーリー、文章構成、ルビの振り方などなど、何処から見ても混沌とした作者の味──独創性が垣間見えるところが良いです。原則がない、だからこそ、予測不可能であると。第一印象としてはテ〇フォー〇ーズが思い浮かんだので、相対する怪物もGとして脳内変換されてしまったのは僕だけでしょうかね。
一方で、読者を選ぶ作品であるというのもまた確かなようです。時系列を複雑に前後させていたり、難読漢字・難解表現もふんだんに使われていたりなど。難なく理解できる方々にとっては、むしろこの点は作品の個性として受け止められるので、一概に悪いという訳ではないですね。
戦闘描写には疾走感と緊迫感があって、非常に面白かったです。今後の展開も注目していきますので、よろしくお願いします。
作りこまれた世界設定、ギミックにあふれた作品でした。
作品から漂う壮大なSFの匂いと
出だしが主人公の自室からラッキースケベスタートという
コメディさがこの後の展開を期待させる感じがしました。
独特な言い回しがオリジナリティがあって素晴らしかったです。
気になる点
序盤がごちゃついててここが作品という家だったら
ちょっと躓きやすく感じました。
作品の進行は時系列どおりに守らなくてもいいと思います。
企画上でなかなか全部読みきれず、
理解が足りてない部分があります。
御理解頂けると助かります。
改善点は軽い参考程度に考えて頂けたら幸いです。
偉そうに意見しまして大変申し訳ありません。
執筆活動は大変だと思いますが微力ながら応援しております。
誰よりも海水を飲む人
私は普段ミステリばかり読んでいるので、自分に合うかなと思ったのですが杞憂に終わりました。
まず戦闘がカッコいい。
最初は主人公視点ではなく械人視点で戦いが描かれます。
それによって明らかになる主人公の強さ。
高速で動いたり再生したりと人間とは思えません(恐らく人間ではありません)。
背筋が凍るような恐ろしさがあります。
冒頭からしっかりと謎が描かれており、文章も上手ですらすらと読ませます。
退廃的な世界観はどこか美しく続きが気になるのは間違いありません。
実際の地名が登場しその土地を知っているとさらに楽しめると思います。
私も気になって調べてみました。
かなりボリュームがあるので毎日ワクワクできるのではないでしょうか。
加えて気持ち悪い描写が印象に残ります。
ゴキ○リとかナメ○ジとか。
普通は人間には使いません。
それだけに想像が膨らみます。
もちろんストーリーもよく考えられていて文体だけに頼らず、エンタメとしても成立していますよ。
この不思議な世界に訪れてみてはいかがでしょうか。
ご縁がありこの物語に出会いました。更新分まで読み終えましたので、レビューさせていただきます。
本作は2098年12月25日。人類は「豊穣」を天より受け取らされたという点から始まっております。いえ、本当の意味ではここからではないのかもしれませんが、兎に角物語としてのスタートはここから。謎の存在「混沌」やそれにまつわる輩との戦いの物語としては架空戦記モノに該当するのかもしれませんが、様々な要素で構成されたこれは、最早ジャンルという枠には収まらないでしょう。
類まれなる作者様の知識量から構成された世界は、まさに色とりどりの極彩色。多種多様な要素がない交ぜになり、新しいものへと昇華された本作。物語の中で見られる世界は、おそらく誰もが見たことあって、そして見たことのないものであると思います。そして群像劇と言えるくらいに世界各地で事が起き、やがてそれは一つの結末へと向かっていくのでしょう。今後どうなるのか、楽しみです。
様々な要素で彩られ、そして織りなされた世界で戦う、生き物達の物語。他の皆様も是非読んでみてください。
先に作者様へ、ツイッターからきて、今頃ですが全て読み切りました。
とても面白く、続きが気になります。これからも執筆活動頑張って下さい!
前書きで言っている通り、本当に様々な作品の言いとこどり、作者が好きな部分の寄せ集め、って感じの作品で、最初ちょっと苦笑気味で読んでました。
でも読み進めていくうちに、カオスな情況の中にも、作者のオリジナリティ、意識しているか無意識なのかは分かりませんが、それらが混じっていて、ただのパロデイ作品ではなく、
「作者が、様々な作品を読んで勉強し、良い所に影響を受けながら書いた、作者のオリジナル作品」
になっていて、そこに私は感心しました。
ただ、まだ文章体が甘く、無理くりな繋げ方や、読みにくい文章があったため、今後成長することを期待して、星2としました。
総じてなかなかの良作で、とても楽しく読み進められました。
ps、作者の言っていた「ジャンル分けできない」の意味が、読んでいてよくわかった気がします。
確かにこれは、SFとも異能系ともいえるし……なんてジャンルなんだろ?