お正月に、女神様たちを見かける ②
女神様がこんなところにいることに僕は驚いている。
乃愛もそうだけど、神様的な存在なのに、こういうところにやってくるなんて中々不思議な感じがする。
女神様やフラッパーさん、ルードさんたちは着物を着ている。護衛のトラジーさんだけが着物を着ていない。護衛だから?
それにしてもこういう場でも、剣を持っているのに僕は驚いてしまう。
こういう神社とかにも剣を持ち込むって、トラジーさんは異世界でも神様に挨拶する場でこうやって剣を持ち込んでいるんだろうか?
「ひかる、異世界の文化というのは不思議ですね。いるかもわからない神様に新年のあいさつをするというのは不思議なものですね。この世界の神は人にかかわることがないというのに、それでも神が信仰を持っているなんて……」
女神様がそんなことを呟きながら興味深そうにしている。
女神様はこの世界に異世界の関連のことで影響力があるからちょくちょく最近はきているらしいけれど……、凄い日本のお正月を満喫しているっぽい。
杉山が誘ったのだろうか?
人が沢山いても、杉山たちは目立つ。向こうはこちらに気づいていないらしいので、僕たちは杉山たちに気づかれないようにしようとしている。
だって関わるとちょっとめんどくさそう。
「この世界に戻ってきて結構経ったけれど、色んな事が起きているからなぁ。今年はノースティア様の企みを暴かなければ」
「そうですね。あの子は何をしているのかしら。この世界にきていることは分かるのだけれども……」
「ノースティア様がこの世界を破壊しようとしていたら……俺たちが止めないと」
「はい。破壊されては困りますから」
……乃愛のことを破壊神か何かと思っているのかな。
というか、乃愛って女神様達にそう言われているってことは世界でも壊したことがあるのだろうか……。
ちらりと手を繋いでいる乃愛を見る。
「あるよ。何個か」
「……そっか」
「うん。退屈しのぎに。終焉世界をぶっ壊したりとかー。半壊させたりとかー」
「……そっか」
「そういう目で見なくていいよ? もうしないよ? 博人がいるもん」
僕がいるからって、僕がいるのと世界を崩壊させるのって同じぐらいの関心持つものなの?
世界が壊れるってことは、その星で生きている人達も破壊するってことだよね。うん、乃愛は本当に、ただ明るいだけじゃなくて、優しいわけでもなくて――自由気ままな神様なんだなってこういう会話を交わしていると思う。
「でもそうだな……博人に何かあれば、私壊しちゃうもの」
「え、やめて」
「ふふ、博人が無事なら壊さないよ?」
……うーん、先行き不安な発言だ。
僕は世界とか壊してほしくない。そもそも乃愛がそうやって破壊しまくるって思われているのも何だか嫌だし。乃愛は確かに破壊することもあるけれども、それに快楽を感じているわけでもないし。
「僕は嫌だからね?」
「うん、わかってるよ」
乃愛と一緒におみくじを引いた。
僕は小吉で、乃愛は大吉。
乃愛は僕の小吉を見て、「え? なんで博人が一番良いのじゃないの?」って文句を言っていた。いや、文句を言ってもどうしようもないでしょ。
おみくじを結んでから、屋台を見に行く。
僕と乃愛はたこ焼きを購入する。アツアツのたこ焼きは熱くて、思わず口から離してしまう。
「博人、ほら」
「ありがとう」
乃愛がペットボトルを差し出してくれたので、一旦口の中を冷やす。
乃愛は熱くても全く問題ないらしく、一個すぐに食べていた。それにしてもたこ焼きって美味しい。屋台で食べるたこ焼きってまた違う雰囲気というか、食べていて余計に美味しく感じる。
「博人、ふーってしてあげる」
乃愛がふぅふぅとたこ焼きを冷やしてもらってから、あーんとしてくる。僕はそれを口に含む。
「美味しい? 博人?」
「うん」
「もっと色々食べる?」
「うん」
「唐揚げとか?」
「そうだね。唐揚げも食べたい」
そんな会話を交わして僕たちは屋台を見る。
途中で前に見かけた不思議な異世界生物たちの姿もあった。なんか馴染んでる? それにしても楽しそうにしている。あとは空の上に海で見かけた竜種っぽいのがいた。今度は頭の上に巨大なお面みたいなのをつけている。どこであの特注品みたいなの手に入れたんだろうか……。
はしゃいでいるっぽい。
海の時は遠くから見ただけだったけど、下から見上げると本当に竜だなと不思議に思った。
その竜種は乃愛が海の神様って呼ばれているって言っていたのもあって、女神様にも気づかれずに空をすいすい泳いでいるみたい。その下にうっすらと水が見えるけれど、水を空に浮かせてその上を泳いでいるとかそんな感じ?
幻想的な雰囲気で、とりあえずお祈りしておいた。
そしたら乃愛に、「私に祈ってよー。そしたら私、叶えるよ?」なんて言われる。
お金を屋台のところに遠隔でおいて、唐揚げとかも食べているっぽい。念動力? 魔力とか使っててこと? 分からないけれど、器用だと思う。
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