お正月に、女神様たちを見かける ①
クリスマスを終えた後に冬休みになった。
僕たちは冬休みをのんびりと過ごしている。僕は結構勉強も専念している。乃愛も一緒に僕と勉強をしていたりもする。
宿題はさっさと終わらせて、来年に向けての受験の準備をせっせと進めている。
乃愛は勉強なんてしなくても問題はないけれど、僕に付き合って勉強しているんだよなぁ。
あとは僕が勉強している横でゲームをしていたり、本を読んでいたりもするけれど……。
そうやって過ごしているとお正月が来る。
お正月はお年玉をもらえるので僕は嬉しい。親戚の人たちともあって、色々お年玉をもらう。大学生とか社会人になったら流石にお年玉ももらえなくなるだろうし、来年ぐらいで最後かもしれない。……流石にこれ以上、時間が巻き戻ったりもしないはず……と僕は信じている。
「ふぅん。こうやって子供がお年玉をもらうものなんだね。博人が欲しいなら大人になった博人に私からお年玉あげるよ?」
「いや、おかしいからそれ。僕も大人になったらお年玉渡す側になるだろうし」
乃愛にそう答えれば、乃愛はクスクスと笑っている。
乃愛は僕たちが「あけましておめでとう」と言いあうのも不思議そうな顔をしていた。異世界だとまた違う挨拶があるのだろうか?
「乃愛ちゃん、着物を準備しているからね」
「うん。ありがとう。おばさん」
……一度目の高校二年生の時は当然乃愛もいなかったし、着物の準備なんて母さんはしていなかったんだけどなぁ。やっぱり乃愛がいるからこそ、こうして色々と変化しているんだなと思う。
というか、僕の分の着物まで準備されているし。
そういうわけで乃愛に着たいと言われたので、僕も着ることになった。着付けしてもらうと何だか不思議な気持ちである。
それにしても乃愛は髪飾りも和風のものをつけていて、良く似合っている。
「ねぇねぇ、博人、似合ってる?」
「うん、似合ってる」
「博人も似合ってる。かっこいいー」
「ありがとう」
乃愛は嬉しそうな顔をして僕のことを見ている。
初詣は母さんと父さんたちと一緒に、近くの神社に行くことになった。神社のエリアには、出店も沢山出ているからついてからは母さん達と一部別行動をするっていう話になった。
「博人、おみくじっての引けるんだよね? ひこうね」
「うん。僕、おみくじひくの結構好き」
「紙を引いて運を見るなんて面白い文化だよねー。私が書いたって言い放って異世界でばらまいたら皆欲しがるかな?」
「欲しがるんじゃない?」
「ふふふ。それやるなら博人も一緒に書こうよ」
「僕が書いても何の御利益もないでしょ」
「あるよ? だって私の力がきかない博人のだよ。そりゃあ、ご利益あるに決まってるじゃん」
「いや、ないって」
何だろう、異世界でおみくじ文化が根付いたりするのだろうか。
乃愛が僕が寿命を終えるまで隣に居たとしても、たかが数十年。その後異世界に戻るだろうし、その後、異世界でそういうのが広まるのかな?
そう考えるとちょっと楽しいかもしれない。
神社にたどり着くと、沢山の人がいる。
着物を着ている人たちも多いけれども、普段着の人の方が多い。
それにしても僕もこうして着物で初詣に来るのって初めてかもしれない。乃愛が居なかったらこうやって着物で初詣なんて行こうとしなかっただろうな。
「じゃあ、博人、乃愛ちゃん、あとで合流ね」
「うん。分かった、おばさん」
「うん、母さん」
母さんと父さんと駐車場で別れて、僕たちはぶらぶらする。
人が多いからという理由で乃愛に手を繋がれる。まぁ、はぐれたら面倒だしね。
それにしても有名な初詣スポットだからやっぱり人が多いなぁ。
まずはお祈りしに向かう。結構並んでいる。僕は来年受験なので、受験のことなどを祈った。あと面倒な出来事が起こらなければいいなとそれもお祈りする。
乃愛は今回も挨拶をしたようだ。
……乃愛の挨拶って、地球とかの神様にも届いていたりするんだろうか?
「博人の願いは、こういうところの神様じゃなくて私が叶えるからねー?」
「いや、勉強とかは自分で頑張る必要があるから。でも乃愛が勉強を教えてくれるなら、それも乃愛のおかげって言えるかも」
「ふふ、じゃあ教える! 私、教えるの苦手だけど博人のために頑張るよ。大学受験ってのするんだもんね。私も同じところ受けるからねー」
「それ、僕だけ落ちたらどうするの?」
「けって、博人と同じところ行く」
「……乃愛はなんというか、本当にブレないよね」
「そりゃあ、私にとって博人と一緒に居れることが一番大事だもん」
乃愛は勉強なんてしなくても大学受験が余裕そうなので、そんなことを軽く言う。乃愛は何かするのにてこずるなんてないだろうし。うん……、一生懸命頑張ってそれでも出来ない人からしてみれば、乃愛の存在は凄く眩しい存在に思えるんだろうと思った。
乃愛と一緒におみくじを引きに向かっていると……、着物を着た女神様や杉山たちの姿が見えた。
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