乃愛とのクリスマス ④
「ねぇ、博人。イルミネーションって綺麗だね。キラキラしてる! クリスマスだからってこんなにキラキラしているの面白いかも!! それに光で色んな絵を描いたり、この世界が平和だっていう証拠だよねー」
「そうだね」
「ふふ、博人も楽しそうでよかった。ねぇ、博人。私ね、博人ともっと色んなイルミネーション見に行きたいな。だから、来年も一緒に見に行こうね? というか、博人が私以外とクリスマスを過ごすのは駄目だからね?」
乃愛は当たり前みたいに、来年の言葉を口にしている。
乃愛は僕の傍に居るつもりでいるらしい。僕と乃愛の関係性って、乃愛の気まぐれなんだよなぁと思う。乃愛は気まぐれで此処にいるだけなのだから。
「うん」
「ふふ、約束だからね? 博人が他の女の子と一緒に出掛けたりしたら私は嫉妬しちゃうからね? 博人も嫉妬していいんだよ?」
「乃愛以外に僕とクリスマスに出かけたいって人いないでしょ」
「いたとしてもいっちゃだめだよ? 博人が女の子と何かしたいとかあるなら私が全部やってあげるから」
「……乃愛、そんな簡単にそういうことを言ったら駄目だよ?」
「博人にだからいうんだよ? 私が全部をゆだねるのなんて博人にだけだからね?」
乃愛はそんなことを言いながら僕の手を握っている。
本当に……乃愛は僕がどうしようもない人間だったらどうするつもりなんだろうか。僕が乃愛のことを利用しようとしたりとか、乃愛を傷つけるタイプの人間だったら大変だったと思う。
でもそもそも乃愛の力を利用しようという人間だったら乃愛はこんなに近づいては来ないのかな。
「ねぇねぇ、博人、家に帰ったらサンタの恰好してあげようか」
「何言っているの? というか、そのコスプレ衣装持っているの?」
「うん。購入しといた。何か使うかなって」
「なんで??」
クリスマスのコスプレ衣装までなぜか手に入れているようである。それにしてもサンタの衣装かぁ……乃愛がサンタをやっていたとしても誰かに何かプレゼントをするとか全然想像がつかない。寧ろ乃愛は貢がれる方だしなぁ。
「博人もサンタ衣装きようよー」
「え? 僕の分もあるの?」
「うん」
「着ないよ?」
「えー。でもいいや。私だけきても全然いいし」
……乃愛はマイペースだなぁと僕は思った。
僕たちはそんな会話を交わしながら、イルミネーションを沢山見て回った。それなりに暗い時間帯になって、僕たちは家へと帰ることにする。
「この時間帯だと暗いね」
「うん」
「博人は暗いの苦手?」
「うん、明るい方が好きかな」
「明るくする?」
「しなくていいよ」
何だか物理的に明るくしようとしていたので、僕はそう答える。
そうやって会話をしながら歩いていたら、急に視界に光が映った。乃愛が何かしたわけではなさそうなので、異世界関連の何かだろうか。
「んー、落ちて来てるね」
「……あれ、落ちたらヤバい?」
「うん」
「……乃愛、ちょっとどうにかできる?」
「うん」
乃愛は僕の言葉に頷くと、僕の手を離して飛び上がりその光り輝く物体をどうにかしていた。というか、僕は把握していなかったけれども他の場所でも同じように色々落ちてたらしく、それも乃愛がさらっとどうにかしていたっぽい。
……やっぱり神様だから、そういう風なことが出来るんだなと思った。
僕たちはその後、家へと帰宅する。
そして昨日も食べたクリスマス料理を一緒に食べることにする。美味しい料理を食べながらのんびりと過ごす。
母さんから、「乃愛ちゃんとのデート楽しかった?」と聞かれる。僕は「デートじゃないけれど楽しかったよ」とそう答えておく。
そうこう話していると、いつの間にかその場から消えていた乃愛が「博人~」と言いながら現れる。
ミニスカのサンタクロース衣装を着ている。下着が見えそうなぐらいのサンタ衣装を着ているのは恥ずかしくないのだろうか? 僕の両親の前でも気にせずその恰好だからなぁ。
「博人、似合う?」
「うん、似合う」
「やった」
乃愛は僕の隣に座り、密着してくる。薄着で密着してこないでほしい。
「博人、私になんかしてほしいことあったら言ってね? 私は今、サンタだから、博人のお願いをなんでも言うからね?」
「んー、じゃあ何かあったらいうね」
「うん」
乃愛は僕に何か頼まれたいみたい。僕が自分でジュースを取りにいったりしたら、「私がやる」とか言っていたから。
そういうわけでそういうのも頼む。乃愛は僕が頼み事をすると本当に嬉しそうに笑っていた。
「博人、おやつも作るね」
「うん」
乃愛は食後のおやつも作ってくれようとしているようで、サンタ服姿でキッチンに立っているのは中々不思議な光景である。
そして乃愛はクッキーなどを用意してくれたので、僕と両親たちはそのおやつをバクバクと食べた。
乃愛は僕の両親だからか、自分の作ったものを食べるのを許可したらしい。……乃愛は基本的に僕以外にそういうのを食べさせるのを嫌がっているけれど、僕の両親のことはそれなりに特別に思っているようだ。
それからのんびりと過ごしてクリスマスは過ぎていった。
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