噂
〈コウ視点〉
コウ「また鍋すんのか?」
ヒョウがスーパーの袋を片手に現れてきて
白いビニール袋からはネギや白菜と一緒に
鍋の素が見えていた…
ヒョウ「チワワは今日から学校だし
登校初日に作らせたら可哀想じゃん」
コウ「シメも後片付けもさせてるだろうが!笑」
シュウ「今回は味噌か…ラーメンあったか?」
と棚や冷蔵庫の中を見て
まんざらでもないシュウに
「たまには怒れよ」と笑っていると
シュウ「帰りそのまま寄るのか?」
カオル「4時半くらいだね」
ヒョウが部屋の時計に目を向けて
「あと2時間あるね」と言いながら
荷物の中からゴソゴソと何かを取り出して
テレビの下にあるゲーム機にいれていた
コウ「2時間で終わるんだろうな?笑」
ヒョウが機械に入れた物がナニか分かり
呆れながらそう問いかけると…
カオル「2時間経ってもつけてたら
ディスク叩き壊すからな?笑」
カオルの言葉にヒョウは
「じゃー見るなよ?」とふざけ合っていて
シュウとバカだなとソファーから眺めていた
4時半を過ぎてそろそろ笑実ちゃんが
来る頃だろうとテレビを普通のチャンネルに
戻していると「ヒカル遅いね」と言う
ヒョウの言葉にそういえばとスマホを
ひらいてみると…
( ・・・・・・ )
コウ「ちょっと吸いながら電話するわ」
そう言ってベランダへと出て
LINEを送ってきていたツカサに電話を発信させた
コウ「・・・・もしもし?」
ツカサ「・・・カオルは?」
コウ「まだ言ってないよ…
それで、笑実ちゃんの事は?」
ツカサから笑実ちゃんの事で話があると
連絡がきていて何となくは予想がつき
カオルから離れて電話をかけた…
俺は電話を切りどうしようかと
しばらくベランダでタバコを吸って考えていると
部屋の中からヒカルの声が聞こえ
来たのかと思いながら振り返ると
窓から見える部屋の中には
笑実ちゃんの姿もあって…
慌ててタバコの火をけしてから
部屋の中へと入っていった
コウ「学校はどうだった?」
笑実ちゃんにそう問いかけると
目をパチパチさせて
「お父さんみたいですね」と笑い出したから
アレ?と思いながら顔を覗きこんだ
( ・・・・まだバレてないのか? )
ツカサからの電話は
カオルの彼女が隣りの短大にいると
噂になっているという物だったから
てっきり笑実ちゃんだとバレて
気不味い思いをして帰って来たんじゃないかと
心配していたが…
シュウ「あんま見つめすぎると
お前もカオルから睨まれるぞ?笑」
シュウの言葉にハッとして
笑実ちゃんから離れると
カオルが笑いながら「俺ってそんななの?」
と楽しそうにしている
( ・・・・言ってもな… )
カオルに教えようか悩んだが
話した所でどうにもならない気がして
もう一度笑実ちゃんに目を向けて
大丈夫なのかと心配をした…
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