特別

〈エミ視点〉








歯磨きを済ませてコートを羽織り

教科書の入ったトートバッグを手にして「あっ!」と

言いながら棚の上にある香水のボトルを手に取って

ワンプッシュだけ手首にふりかけて首横に軽く手首を当てた





カオル「毎週月曜日は笑実ちゃんの日にしようかな?笑」





「月曜日?」





映画館のレディースデイやシルバーデイなどの

キャンペーン曜日のポスターを眺めて笑う

カオル先輩の言葉に冗談かなと思っていたけど…





カオル「月曜日は沙優ちゃん達とも予定入れちゃダメだよ?」





と言われて冗談なんかじゃないんだと分かり

嬉しくてだらし無く緩む顔を必死に隠した…




部屋にあるカレンダーを見て今日は木曜日だから

4日後の月曜日にはまたカオル先輩に会えるんだと思うと

今日から始まる学校も、雪が降りそうなほどの寒さも…

何もかもが幸せに感じる気がして「ふふ…」と笑ってから

少し重いトートバッグを肩にかけてから家を出た




自分でも自惚れているのが分かる…

前回とは違ってカオル先輩の私に対する態度は

なんて言うか…ちょっとだけ特別な感じがしている…




番号を聞かれたのもそうだけど…

カオル先輩は数日に1回は電話をしてきてくれて

「おやすみ」と言ってくれる様になり

キスも…前みたいに舌を無理やり入れてきたりせず

優しく…まるで大切に扱うみたいに接してきてくれたり…





( ・・・・だから…勘違いしちゃう自分がいる… )





カオル先輩が私の彼氏だと錯覚してしまいそうになる位

先輩からの優しさに自惚れてしまっていた



LINEの通知音が聞こえ

消し忘れていた事を思い出してコートのポケットから

取り出してLINEをひらいてみると…





【 寒いから暖かくして行くんだよ 】





カオル先輩からからのLINEを見て

スマホをギュッと握り胸に当て「はぁ…」と

苦しいタメ息を吐きながらも嬉しすぎて

道端で緩む顔を隠す様に「ケホケホ」と嘘の咳をしてから

また学校へと歩き出した




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