違和感

〈エミ視点〉








デザートの盛り付けを終えてトレーに乗せていると

スッと伸びてくる手が横目に見えてパッと後ろに下がった






店「出来上がった料理の近くでチョロチョロ動くな」





「すっすみません…」





そう店長に怒られ…頭を下げてから

お客様の所にデザートを届けに行った…





( ・・・・そんな事言ったって… )





一つ上の先輩は実習期間に入って

しばらくはバイトのシフトを減らす事になり

皆んなで交代しながら先輩が入っていた

1階の夜の部のシフトに出ているけど…




10月はまだ何人かいて

二人だけになる時間も少なかったけれど

11月半ば位から忘年会シーズンに入り

2階が忙しくなり

皆んな2階の応援に入る事も増えて

店長と二人だけになる時間がちょっとずつ多くなっていた





( 実習いつ終わるんだっけ… )





キッチンの横にあるシフトを書き込む用の

カレンダーに目を向け12月の第2週までは

このままなんだと思い小さく息を溢してから




洗い物の所へと行き溜まった鍋などを

片付けていると店長が後ろを通った瞬間

一瞬お尻に何かがかすった気がした…





もしかしたら店長のエプロンが歩く勢いで

当たっただけかもしれないし…

もしかしたら何か手に持っていて

それが当たったのかもしれない…




さっき店長から怒られたばかりで

パッとまた避けて動くわけにはいかず…

でも、何が当たったんだろうと振り返って

確認する勇気もなくて…





ひたすら(もしかしたら…)と自分に言い聞かせながら

洗い物を片付けていた…





( あと3週間だけの辛抱だから… )






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る