〈エミ視点〉








目を覚ますと沙優ちゃんが

トイレに小走りで入って行くのが見えて

トイレかなと思ったけれど

罰ゲームで一気飲みをしていた事を思い出し

もしかしたら吐いているのかなとソファーから降りて

トイレに近づいて行くと

ドアが少し空いていたから「沙優ちゃん?」と声をかけた





トイレの中を覗くと電話中だったようで

小声で謝ってからソファーに戻ろうとすると

カオル先輩の声が聞こえた気がして足を止めた…





カオル「今、誰といんの…」





「・・・・カオル…先輩?」





沙優ちゃんの顔を見ると顔を少し歪めて

スマホを私に差し出してきたから

受け取って「あの…」と声をかけると

「おりてきて」と低い声で言われ

意味が分からず「え?」と口にすると

「10分で行くから下に降りて」

とだけ言われると電話は切られてしまい

何があったのかと沙優ちゃんに尋ねた…





サユ「起きたらシュウ先輩から電話がかかってて…

  カオル先輩が笑実ちゃんを探してるって…

  でも、電話繋がった時からもうあの状態で…」





カオル先輩と何か会ったのかと聞かれ

コンビニの事を思い出した…




( ・・・・でも… )





コンビニでダイキ先輩と一緒にいるのを見たとしても

あんなに怒らない様な気がして

別の事で機嫌を悪くしているのかなと思いながら

カオル先輩の言う通り下へ降りて行った





明け方前の今、外は暗く冷たい空気が

寝起きだった脳を目覚めさせていくのを感じながら

手を交差して自分の二の腕を軽く摩っていると

足音が聞こえてきて顔を向けると

遠目からでも機嫌悪く歩いて来るカオル先輩が見えた…




( ・・・・シュウ先輩達は…? )




てっきり皆んなで来るのかと思っていると

現れたのは不機嫌なカオル先輩だけで少し怖く感じ

気がついたら沙優ちゃんと数歩後退りをしていた





先輩は私たちの前に来るとチラッと沙優ちゃんを見て

目を細くしてから私の方に目を向け直し

「ここで何してたの」と冷たい目で見下ろしている…






「・・・バイトの皆んなと…その…飲んでました…」





カオル「・・・・バイトの皆んな?」





「1階と…2階のスタッフ皆んなで…」






カオル先輩は小さく鼻で笑うと

「さっきのは何」と言いながら一歩近づいて来て

顎をクイッと持ち上げられたけどいつもの様に優しくなく

少しだけ痛かった…


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