店長

〈エミ視点〉








「ヒャッ!!」





急に背中を叩かれて驚くと

「背中が曲がってるぞ」と店長が笑いながら

後ろを通っていき「そんなに驚くことか?」と

副店長が笑っていた…





( ・・・・・・ )





ランチタイムも過ぎて店内のお客さんも少しずつ帰り

次のスタッフが来るまであと40分あるなと

時計に目をやり副店長も中休憩に入るから

少し嫌だなと感じながらテーブルを拭いていると

入り口の開く音が聞こえた






「いらっしゃいま…せ…」





アキラ「やっぱカオルのペットじゃん」





サトル「あーこの前の!笑」






顔を向けるとアキラ先輩達で…

2階の準備に行っている沙優ちゃんに早く帰って来て

と思っていると奥から休憩に入った副店長の声が聞こえ

「席へどうぞ!」とキッチンが目に入る席へと案内した





サトル「ん?食ってくの??」





多分窓から私が見えて扉を開けただけなんだろうけど

今は帰ってほしくなく「どうぞ…」と小さく声をかけた…






アキラ「ツカサの事許してやってくれるならいいよ?笑」





「えっ??」





アキラ「ご主人様にツカサ先輩はいい人ですとでも

    言っててやれよ?笑」





サトル「カオルからツカサに飲みに誘うように言ってやれって!」





アキラ先輩達は「約束だからな」と席に座り

何処かでもう食べてきたようで

デザートメニューを眺めていたから

「ゆっくり決めてください」と言って席を離れた…





( ・・・・30分はいてくれるかな… )





先輩達がいる間にキッチン内の作業をしてしまおうと

片付けていると「知り合いか?」と店長に聞かれ

「横の大学の先輩です」と答えるた






店「付き纏われてるとかなら追い出してもいいんだからな?」



 


「いえ、そんなに知ってるわけでもなくて…

  知り合いの知り合い程度で…」






店長と話していると「ペットー!」と呼ばれ

キッチンから出てテーブルへと行くと

「コレ一個頼むわ」と言われ

アキラ先輩が指をさしている商品を見て固まった…






「・・・・パフェが…おすすめですよ…」





アキラ「男二人でそんなもん食えるかよ!

  腹も空いてねーしアイス1個で十分だよ」






アイス一つを二人で食べたら

10分もしないで帰ってしまうのが分かり

なんとかもう少しいてほしくて

「じゃー…ケーキとか…」と小さな声で言うと

キッチンから「笑実!」と店長から呼ばれた…






店長の方へと近づいて行くと「何かあったか?」と

心配をしているから、首を横に振りながら「大丈夫です」と

伝え先輩達のテーブルへと戻ると

アキラ先輩が私の顔をジーっと見上げていた





アキラ「随分とフレンドリーな店なんだな?」




「えっ??」




アキラ「50代…だろ?呼び捨てって珍しいな」





前までは苗字や笑実ちゃんと呼んでいたけど

8月半ば辺りから急に「笑実」と呼ばれる様になっていた…





アキラ「まぁーいいけど…注文はペットのお勧めでいいから

    カオルの事はちゃんと頼んだからな?」





サトル「パフェだっけ?」





「・・・・一つでいいんですよね?」





アキラ「一つでいいよ!あとは任せる」






私はキッチンへと行き一番調理時間のかかる

面倒くさいパスタのオーダーを通すと

キッチンの片付け作業に戻り時計を見て

小さく安堵のタメ息をついた





( ・・・・来週は大丈夫だし… )





急に呼びすてで呼ばれ始めた位から

何となく店長と二人だけの時間が気まずく…

嫌だと感じていた…




狭いキッチンだし…たまたまなんだろうけど…

体がぶつかる事が多かったり

私の前に腕を伸ばして調理器具を取ったりして

軽く胸元に店長の腕が擦れたりする事がよくある…






( 今まではそんな事なかったのに… )






20分以上かかりテーブルへとお皿を持っていくと

「はっ?」と言いながらコッチを見てくる先輩達に

「お任せでって…言われたので…」と言って

取り皿を置いて、ごゆっくりどうぞと離れて行った…





カオル先輩になんて言えばいいんだろうと思いながら

レジを合わせていると入れ替わりに入るバイトの子が

出勤してきてホッとしながら沙優ちゃんのいる

2階へと行き二人で買い物をして帰った






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