〈エミ視点〉






今日歩いている道はお店などの立ち並ぶ通りで

広めの歩道もあり声を気にして話さなくてもいいから

カオル先輩と沢山話せて嬉しかった





営業時間を過ぎて閉店している本屋さんの

駐車場に設置してあるアイスの自動販売機の前に立ち

「イチゴ味あるね」と言いながらお金を入れて

イチゴのアイスのボタンを押すと下のケースから取り出して

「はい!」と差し出してくれたからお礼を伝えて受け取った





カオル先輩はチョコミントの味を選び

自販機の横に置かれたゴミ箱に包みを捨てると

手を繋いで来た道を歩きだしたから

このままアパートに送られたら

散歩も終わってしまうんだと分かり

何だか寂しくなってくる…






カオル「バイトは楽しい?」





「えっ??」





カオル「シュウが電話してきた日結構遅かったでしょ?」





「あの日は、夏休み中で帰省してる子が多くて…」






シュウ先輩の時と同じ様に2階のお店を手伝っていたから

と言いそうになり誤魔化す様にアイスを舐めた…





( せっかく会えたのに気まずくなりたくない… )





カオル「あんまり帰りが遅いとバイト変えさせるよ?笑」





「コンビニとかですか?笑」





カオル「コンビニはやる事意外と多いから笑実ちゃんには無理だよ?笑」





「新人さんの…指導とかしてますよ?」





カオル「笑実ちゃんが?笑」





アパートが見えてきて腕時計を見ると

1時間半位歩いていたんだと分かり

あっという間だったなと肩を落とした…




講義の90分は長く感じるのに

カオル先輩との90分は…短く思える…





建物の前までで帰ってしまうのかと思っていると

カオル先輩は「オートロックを開けて」と言い

階段を登って行き部屋の扉の前に来ても

繋がれたままの手にもう少し一緒にいれるのかなと思い

部屋の鍵を開けて部屋の扉を開けた…





カオル先輩に腕を引かれそのまま部屋に入ると

顎を上げられミント味のキスが降ってきた…





靴も履いたまま先輩にキスをされていると

カオル先輩のスマホが鳴り出してそっと唇が離れ

先輩はポケットからスマホを取り出して眺めている





何となく女の子かなと思い顔を少し逸らすと

「言ってみたら?」と先輩の言葉が聞こえて顔を上げた






カオル「・・・お願いがあるなら言ってみたらいいよ?」





「・・・・・・」





何も言わないでカオル先輩の顔を見上げていると

唇に人差し指をトンッと押し当てられ

「言わなきゃ分からないし聞いてあげれないよ?」

と言われ自分のスカートをギュッと掴み口を動かした





「・・・・もう少し…一緒にいたいです…」



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