〈エミ視点〉








インターフォンの奥からはガヤガヤと誰かの声も

聞こえていて、もしかしてと思いながらドアを開けると

玄関には沢山の靴が並んでいて…





( ・・・・・・ )





男の子の靴もあるけど女の子のヒールも何足もあり…

カオル先輩が私を合コンに呼んだのだと分かった





サユ「・・・・えっ…」





沙優ちゃんも玄関を見て「あれッ?」と驚いていて

私の顔を心配そうに覗きこんで来たからニコッと笑った






コウ「おっ!来たな?笑

  19歳になってちょっとは高校生臭さが抜けてきたな?」





コウ先輩が玄関にいる私たちに気づき近づいて来て

「おめでとう」と言ってくれた




( ・・・・・・ )





コウ「カオルはちょっと出てるから中に入ってろよ」




サユ「えっ…いないんですか?」




コウ「冷蔵庫見て急に出て行ったから…買い出しか?」





女の子とどっかに行っちゃったのかなと思いながら

靴を脱いで端に置きコウ先輩の後をついて行った





部屋に入るといつもの先輩達だけでなく

初めて飲み会に来た時にいた先輩達もいて

少し緊張しながらコウ先輩から離れない様くっついていると

「誰?その子達?」と話した事のない先輩が近づいて来た





コウ「一年生だからあんま怖がらせるなよ?笑

  女短の子達で笑実ちゃんと沙優ちゃんだ」





ツカサ「・・・一年生…へぇ…」





ツカサと呼ばれているその先輩は私と沙優ちゃんを

上から下へとまるで品定めでもする様に眺めていて

コウ先輩達とは雰囲気も違い少し怖く感じた…





ルナ「コウ!カオルは?」





ルナ先輩がコッチに近づいてきて私たちに気付き

「あぁ…」と言ってまた上から下へと見られている





ルナ「カオルに呼ばれたの?」




「えっ…いや…」





何となくカオル先輩に呼ばれたと言える雰囲気ではなく

口籠もっているとツカサ先輩が「カオルの知り合い?」

とルナ先輩に聞いていた




ルナ「知り合いっていうか…

  飲み会でカオルが相手した子?笑」





ツカサ「あーハイハイ!笑

  カオル先輩はやめといた方がいいよ?

  優しいのはその時だけなんだから!笑」





コウ「だから、純情な一年生を揶揄うなよ?笑

  酔っ払い二人だからあんま話聞かなくていいからな?」






来て5分も経っていないけど

初めて来た時同様早く帰りたくなってきた…






シュウ「服似合ってんじゃん!笑」


 


いつもよりもテンションの高いシュウ先輩に驚いたけど

知っている先輩が来て少しホッとしていると

沙優ちゃんもシュウ先輩を見て安心した顔をしている





「選んでもらってありがとうございます」





シュウ「誕生日だからな?カオルは??」





ツカサ「いないんだよ!カオル先輩もいないし…

  ツカサ先輩が誕生日祝ってあげようか?笑」





首を横に振っても失礼だしどう反応したらいいのか分からず

固まっていると「ビールある?」とまた知らない

お兄さんが近づいてきてドンドン人数の多くなるキッチンに

息苦しくなってくる…





アキラ「なんで皆んな集まってんの?笑」





ツカサ「いやーピチピチの一年生の相手してあげてんの!笑」





ルナ「うちらはもうピチピチじゃないわけ?笑」





アキラ「一年生??女短の……もしかしてハッスルの?」





サユ「えっ??」





アキラ「前も来てたよね??

  確かその後パブでバイトしてるって聞いたけど?」





亜香里ちゃん達の事だと沙優ちゃんと顔を見合わせて

「えっと…」と呟くと

シュウ先輩が「違う子だよ」と言って

冷蔵庫からビールを一本取り出し

後から来た先輩に差し出していた





ツカサ「一年生でおっパブ??最近の子は肝すわってるね?」





そう言って明らかに私達の胸元を見てきたから

コウ先輩の後ろに隠れると「可愛いじゃん!」と

近づいて来て「小動物系みたいな?」と笑っている





玄関のドアが開く音が聞こえ

何人かの話し声が近づいてくるのが分かり

顔を向けると扉から女の人とヒョウ先輩と…

最後にカオル先輩が入ってきた





シュウ「どこ行ってたんだ?」





ヒョウ「コンビニだよ!食べ物ないしさ

  あっ!チワワ達ももう来てたんだ」





ルナ「チワワ?笑」





ヒョウ「小型犬っぽいじゃん?笑」





ヒョウ先輩の揶揄いはいつもの事だし

イヤラしい目でも見てこないから平気だけど

このツカサ先輩達は…なんかヤダ…





コウ先輩の後ろに隠れていると

「何?いじめられてたの?笑」とカオル先輩の声が聞こえ

顔を出すといつもの笑顔で笑って「おいで」と言うから

先輩の隣に近づいて行った





ツカサ「ホントにカオルのペットなんだ?笑」





カオル「そう、ご主人様以外には懐かない様に躾けてるから

  あんまり虐めたりしないでやってよ?笑」






カオル先輩がいるだけで安心して

ペット呼びも嬉しく感じる…





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