第13話 理不尽なクイズ
黒男(A)「選ばれし者? ……僕がかい?」
仮面の男(GM)「そうとも!」
黒男「ふーむ。なんだか悪い気はしないな。たしかに僕は、神に選ばれし天才だが」
――せやろか?
A「ちなみに、彼の仮面は、どういうデザインですか?」
――そうですね。若い男の仮面です。
A「何かこう、他にヒントになりそうな要素は……」
――ないですね。
A「ありゃりゃー」
――では、ロールプレイに入って下さい。
黒男「ぼくの名前は、円筆黒男。かの有名な筆記用具会社、円筆家の次男だ。きみは?」
仮面の男「悪いが、それは教えられないな! そういうルールだからね!」
黒男「ルール……? いったいなんの?」
仮面の男「悪いが、それについても応えられない!」
黒男「ふーむ……。まあ、いいだろう。きみはどうも、話せる人間のようだな。さっそくで悪いがいま、何がどうなっているのか教えてくれないかい?」
仮面の男「悪いが、それについても応えられない!」
黒男「ええー。でもその入院着の感じ、あんただって同じ境遇なんだろ? 一緒に脱出しようぜ」
仮面の男「ははは! 一緒に脱出、か! 面白いことを言うねえ! だが悪いが、それこそ不可能、というものだ!」
黒男「…………。『話せる人間』だと思ったのは、ぼくの勘違いだったみたいだな」
――すると男は、へらへらと笑って、
仮面の男「では、こういうのはどうだろう。私の出すクイズに正解できれば、きみに協力してやってもいい、と!」
黒男「クイズ……?」
――そういうと彼は、黒男の返答を待たずに、このようなことを言い出します。
仮面の男「まず、第一問。――『死者を笑わせる方法はあるか?』」
黒男「え……? 死者を………?」
仮面の男「制限時間は、五秒! チッチッチッチッ!」
黒男「あ、え、あ……ちょ……! 死者? 死者、シシャゴニュウ、シニンガシ。死んだ人、亡き者、来年の話をしたら笑うのは鬼、だから……」
仮面の男「チッチッチッチッ! ……はいブブー! 時間切れ!」
黒男「そんなぁ」
――では、仮面の男は高笑いして、協力を拒否してきますね。
A「ちょ、あの……! ゲームバランス、狂ってませんか?」
――こんなもんです。
A「うおおおおお。わんもあ・ちゃんす!」
――はい。それでは仮面の男は、もう一度クイズを出すでしょう。
仮面の男「では次の問題。――『殺人鬼を改心させるには、どのような朝食を用意すべきか?』 制限時間は、五秒!」
黒男「ええと……殺人鬼? ……ええと……なんか、美味しいもの! 大好物! お母さんの手料理!」
仮面の男「ブブー! 全部はずれー!」
黒男「ちくしょー!」
――では、仮面の男はまた高笑いして……、
A「まだまだぁ! どんどんクイズをだしてくださいっ!」
――は、はあ。……それでは、次のクイズです。
仮面の男「『恋人一人と、見知らぬ一億人。どちらか殺すとしたら、どちら?』」
黒男「えーっとえーっと。恋人……いや、見知らぬ一億人!」
仮面の男「ブブー! はずれ」
黒男「次!」
仮面の男「『愛する人がゾンビになって生き返った。あなたはどうすべきか?』」
黒男「どうすべきかって言われても……。殺すしかないでしょう!」
仮面の男「ブブー! はずれ!」
黒男「……次!」
仮面の男「『母と恋人、犠牲にするならどちらがいい?』」
黒男「……答えは、”沈黙”! どうだ!?」
仮面の男「ブブー! はずれー!」
黒男「おにょれー! ぼ、ぼくほどの天才キャラが……!」
――悔しがる黒男を前に、仮面の男はへらへらと笑うばかりですね。
A「ううむ……つ、次のクイズを! はやく!」
――と、その時でした。
あなたの傍らで佇んでいた少女が、くいくいと袖を引っ張っていることに、あなたは気づくでしょう。
黒男「ちょ、ちょちょちょ。ちょっとまって! 次こそはばっちり応えて見せるから! もう少しまってて!」
仮面の少女「…………………(首をふるふると横に振って、次の扉を指さす)」
黒男「いや、次は……次は、ぜったいうまくいくから! おねがい!」
仮面の少女「…………………(男を指さして、両手で✕のマークを作る)」
黒男「聞いて! 僕、こいつに勝つから! 負けっぱなしは、性に合わない!」
――ええーっと。……では黒男は、”知力”判定をお願いします。
難易度は”普通”で。ファンブル以外で成功します。
A「【ダイスロール:6】 ……まあ、当然の結果でしょう」
――では黒男は、一つの事実に気がつくでしょう。
どうやら仮面の少女は、「この人に関わっていても損をするだけだ」と言いたいようですね。
A「え? 損……?」
――はい。
A「ふうむ……………」
――………………。
A「………ひょっとして、こいつ、……絶対に答えられないクイズを出してる、のかな?」
――さて。どうでしょう。
A「あー! GMがニヤニヤしてるー! 絶対そういう感じのヤツだー! この男、殴っていいですか?」
――殴るって、私を?
A「いやいや、リアルの話じゃなくて! 仮面の男を!」
――おやおやおや。本気ですか?
A「えっ。あっ。……いや。よく考えてみたら武器もないし、止めときましょ」
――(それはそれで、面白い展開になりそうだったけど)
A「では、少女の導く方向に向かいます」
――少女の導く方向というのは、あなたが来たところとは別の病室に繋がっている廊下でよろしいですか?」
A「はい。無口な女の子キャラは善人だって、相場が決まってますから」
――えっ。そうかな? ……言われてみればそうかも。
では、少女と手を繋いで廊下に向かうと、先ほどあなたが通ってきたところと似た光景が広がっているでしょう。
ずらりと病室が並んでいる、長い廊下です。窓の外はやはり、真っ白い光景が広がっていて、床に大量の紙が散乱していますね。
A「ほいほいっと。……ちなみに、病室の数も一緒ですか?」
――病室の数は違っています。
ここの廊下に繋がっている病室は、全部で六つですね。
それぞれ、7~12号室と、数字が割り振られているようです。
A「ではまず、7号室から順番に扉を開けていきます」
――はい。
では、あなたが7号室を開けようとしたところ、施錠されていることに気づきます。
ですが、8号室の扉に手をかけた時、その扉が自然と開きました。
扉を開けると、そこには……一人の女性の死体が転がっています。
女性は顔をぐしゃぐしゃに潰された状態で死んでおり、病室の床は、真っ赤な血だまりができていました。
このように恐ろしい状況に出くわしたあなたは、【1D6-2点】の狂気値を加算してください。
A「ひええええええええええええええええええ、グロしっ」
【To Be Continued】
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