第12話 探索、第一歩
黒男(A)「なるほどな。……こいつは、ちょっぴりヘビィだぜぇ」
――おや? なんか、キャラクター性だしてきたぞ。
黒男「ま、いいや。とりあえず先に進むとしようかね」
――はい。
それでは、あなたは扉を開けて進みます。
その先は、病室の扉がずらりと並んだ廊下になっていて、道中にはバラバラの書類が散乱していることでしょう。
黒男「病院の廊下……ってことは、ここから外がみえるのでは?」
――そうですね。ではあなたは、窓の外を見るでしょう。
するとそこには、不思議な空間が広がっていました。
一面の、白。
まるで”虚無”という言葉をそのまま体現したような空間です。
このように異常な事態に出くわしたあなたは、【1D6】点を狂気値を加算して下さい。
A「ぐおっ。……シュバルツは、ぜんぜん動じなかったのに!」
――ファンタジー世界の住人と、現代社会を生きる我々では、異形に対する心の抵抗力が違うのでしょう。
A「うーむ。なるほど。【ダイスロール:3】 3点加算、と」
――はい。
それでは……、
黒男「ふわああああああああああああああああああああああああ! な、なんなんだこの空間……ッ。一面真っ白じゃないか……これひょっとして、すごい寒いところで起こる、ホワイトアウトってやつ?」
――現象としては似ていますが、別に寒くはありませんね。
A「ほうほう。……あ、それなら、いまいる建物自体は見ることができるのでは?」
――ほう。いいでしょう。では、黒男がそこまで気が回ったかどうか”知力”判定をお願いします。難易度は”難しい”。とはいえ天才の黒男には容易いことです。出目3以上で成功。
A「はいはーい! 【ダイスロール:8】 ……余裕!」
――では黒男は、この建物が三階建てであることに気づきます。
黒男「よし。じゃ、とりあえず次は、廊下に散らばっている書類だな」
――はい。それでは特に問題なく、あなたは書類を調べることができるでしょう。
内容をまとめると、以下のようになっています。
『患者0番:軽率で不安定。死亡。
患者1番:人を欺くことに長ける。
患者2番:他者を信用できない。死亡。
患者3番:嘘を吐き続ける。死亡。
患者4番:協調性なし。死亡。
患者5番:死亡。
患者6番:過度な愛情。コミュニケーション能力に問題あり。』
黒男「ううむ。……どうにも物騒な……いや、ヘヴィな内容だなあ」
――それ、黒男の口癖にするつもりかい?
A「ってかこれ、ひょっとして1番と6番は生きているのでは?」
――さて。どうでしょう。
A「ふーむ。……では病室の扉を、片っ端から開けていきます。中に入らず、とりあえず順番に、開くかどうかチェックする感じで」
――いいでしょう。
A「あ! その前に、一応。……あたしが出てきた部屋の番号は?」
――0番、と書かれています。
A「もう一度、念のため中を見ますけど、特に変化はないですよね?」
――そうですね。情報はありません。
A「わかりました。では、1~6番の部屋を開いていきます」
――ではあなたは、扉をがちゃがちゃと捻っていきますが、1~5番の病室はどれも施錠されていて、開きそうにないことがわかります。
A「………ほほう。ってことは? つーまーりー? 6番はー?」
――はい。そうですね。6番目の扉は開きます。
ちょうど、中にいた人も外に出ようとしていたようで、ばったりと顔を合わせる感じです。
現れたのは、黒男よりも一回り小柄な女の子でした。
A「どんな娘?」
――その顔は、先ほど死んでいた男と同様に仮面に覆われてわかりません。
ただまあ、小枝のように手足が細いことがわかるでしょう。ぱこんと引っぱたけば、それだけで死んでしまいそうなくらいには弱そうです。
A「しませんよ! そんなこと」
――まあ、RPによってはそういう人もいるのでね。
A「仮面のデザインは?」
――美しい天使の仮面、です。
黒男(A)「ふーむ。きみは一体、何者だい? この場所に心当たりはないかな?」
仮面の少女(GM)「…………っ。……。………(びっくりしたジェスチャー)」
黒男「?????」
仮面の少女「…………………(首を傾げるジェスチャー)」
黒男「ええと、……何してるの?」
仮面の少女「……………………(肩をすくめる)」
――と、こんなふうにこの少女、何を聞いても言葉をしゃべることはありません。
A「ああ、なるほどそういうことか。GMの気がおかしくなったのかと」
――心の目で見てください。いまここにいるのは中年のおっさんではなく、仮面を被った少女である、と。
A「難易度、たかくなぁい?」
――では、黒男はどうしますか?
A「彼女、あたしを恐れている感じですか?」
――いいえ。むしろ、あなたに興味津々、という感じですね。
A「ほうほう。……では失礼ながら、彼女のお部屋を拝見しても?」
――少女は、特に気にすることなく、部屋へ通すでしょう。とはいえ、病室はあなたが出てきたところと同じく、ベッドが配置されているだけですね。
A「死体は?」
――ありません。
A「羊皮紙みたいなのは?」
――ほう。良いところに目をつけましたね。あなたが目覚めた部屋にあったそれは、どこにも見当たりません。
黒男「ねえきみ。ここに、紙みたいなの貼り付けられてなかった?」
――少女は、ふるふると首を横に振ります。
A「では……少女に《読心術》!」
――いいでしょう。判定は”知力”で、難易度は”超難しい”。
【シークレットダイス:??】 ……成功!
A「え?」
――あ。
A「《読心術》は、出目を言わずに結果だけをいうのでは?」
――えっと。……うーんと。ごほん。
A「GM。やらかしました?」
――ああいや、いいでしょう。あなたはなんか奇跡が起こって、今回だけ少女の気持ちが手に取るようにわかったようです。少女は別に、紙のようなものを見かけていないようでした。
A「そっか。大した情報じゃないってことね」
――GMだって、時には間違えることがあります。
GMに優しくしてあげてください。
A「…………………(無視)」
――……。ええと。ごほんごほん。黒男はその後、何をしますか?
A「では部屋を出て廊下を抜け、次の場所へと向かいましょう」
――はい。
廊下の先は、病院の待合室と思われる空間のようです。
待合室は、エレベーター、非常階段、そしてあなたが来たのとは別の病室に繋がっている廊下に繋がっていて、その中央に一人、あなたと同じ入院着を身に纏った仮面の男が、ぼんやりと立ちすくんでいました。
彼は、こちらに気づくやいなや、嬉しそうに声をかけてきます。
仮面の男(GM)「やあ、こんにちは! きみが選ばれし者だね!」
と。
【To Be Continued】
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