アント・タウン・ジャーナル

2017.11.18 どのみち土曜日

　昨日の吐き気が治らなくて、ずっと寝ていた。

　せっかくなけなしの金で買った本も読む気にならなくて、仕事も入ってなかったし、どのみち土曜日だし、何もかもほっぽって寝てた。もちろん、ガッツリ睡眠を取れるわけもなかったのだけれど、それでも布団に入って、うとうとはしていた。試食のちっちゃいウインナーをつまむみたいに……一口サイズの惰眠を口に入れては吐き出すように。一体俺はいつになったら、ちゃんとした食事にありつけるのだろう。

　気持ち的にはもう、悩みとかはなかった。

　それについては雅火さんとゴリラ先輩のおかげなのだが、それでも体の中には、昨日もらってきてしまった不快感がまだ残っていて、薬を飲んだ方がいいかもしれないな、などと思った。胃腸薬の類ではなく、精神薬とか、そういうやつ。

　で、ダメもとで、先生に電話をかけた。

「今日はちょっと、予約が入っているので」

　で、案の定断られた。

「そうですか〜……午後もダメですよね？」

「はい」

「そうですよね〜」

　どうしたんですか？　待ちをしている自分にそこで気づいて、俺は聞いた。

「あの、不眠以外で相談に乗ってもらいたいことがあるんで、月一のにはまだ早いんですが、予約してもいいですか？」

「はい。別に、好きな時に来ていいですよ」

「え？　でも、他の人の予約とかあるんですよね？」

「急患ということにします」

「でも今日はダメなんですね」

「はい、今日はダメです」

　先生にしては、要領を得ない言葉だった。多少不思議なことを言う時でも、一応の筋は通っている感じがあったのに、今日は何だか……ふわふわしていた。

「先生、もしかして寝不足？」

「いいえ」

「疲れてません？」

「もう切りますね」

　そういえば、先生はいつ寝ているのだろう。

　電話を切ってから、ふとそんなことを考えた。あのクリニック、休みの日がいつかとかぜんぜん書いてなかったけど、いつ休みなんだ？　心療内科やメンクリって、たいてい、自動ドアのところに診療時間とか書いてあるものなのだけど。

　でも、ま、いっか。

　今日は調子が悪いから、日記はここまで。

　元気になったら、またたくさん書くよ。