第233話・2人分の荷物持ってる女子高生のおんぶに乗った

 ボクは、女の子のおんぶから降りて、上り坂を自分の足で歩いてみると、意外にももおんぶ上で感じていたよりも、かなり傾斜のある上り坂だということがわかった。ボクの身体は、女の子のおんぶに慣れてしまってたので、この上り坂を自分の足で

歩くのは、そこそこ堪える。というわけで

「この上り坂、歩くの疲れるから、おんぶしてよ」と、ボクの左斜め前を歩いていた小柄の女子高生のおんぶに飛び乗った。たまたま飛び乗りやすい位置を歩いてた女の子に飛び乗ったもんだから、荷物を2人分肩掛けしてる女の子に乗ってしまった。

 ボクに飛び乗られた女の子は小柄ながらも、なんとか受け止めてくれ、荷物とボクを背負ったまま立ち止まり「重いよー、カバンとおんぶ両方なんてムリ」と。肩に

掛けていたカバンを降ろそうとするも、カバンの上から覆いかぶさるように乗って

しまってるボクの両足と絡まってしまってて、肩からハズせない。

「カバンなんか、ボクの全体重に比べたらたいした重さじゃないから、このままで

行こうよ。カバンあってもおんぶできてるんだから大丈夫でしょ。坂の上の交差点まで歩いちゃえ、歩いちゃえ」とおんぶ上から脳天気に言うと、女の子はトボトボと

小さな歩幅ながら歩き始めてくれた。

 上り坂だということを意識して乗ってるせいか、さっきのキヨコのおんぶのときよりも、女の子の苦労が実感として肌のふれあい部分から伝わってくる。荷物とおんぶの両方だから、実際にかなりキツいのかもしれない。

 おんぶしてくれてる女の子から

「なんで、こんなにも、私たちのおんぶに乘ろうとするんですか?」

「自分の足で歩くより、女の子におんぶしてもらったほうが、楽だし」

「楽だからって・・。おんぶしてるこっちにとっては重くて大変なんですよ」

「うん、それはわかる。女の子がボクを楽させるために、こんな大変な力仕事してくれてるのが、すごく嬉しくて・・、嬉しすぎて愛おしくて、もうこうしておんぶしてもらってることが気持ちよくて幸せで・・ずーっとこうしてくっついていたい」

「気持ちよくて幸せなんですか、おんぶで」

「うん、だからこのままおんぶから降りたくないの」

「それはムリー。もう歩けないしー」

「歩いてたじゃん」

「上り坂だからもう足があがらないよー」

「上り坂だから、おんぶしてほしかったのにー」と言いながらもボクは女の子の背中の上から降りてあげるしかなかった。結局この3人目の女の子は5~6歩しか歩いてくれなかったが、荷物+おんぶ+上り坂、というキツい条件だったので仕方ないっか。

 他の3人の女子高生たちは、先に、坂を上り切ったとこの交差点に着いて、我々の到着を待っていた。交差点に到着すると、ボクは

「キヨコ、乗るよ」と。

「えっ、さっきのおんぶでこんなに疲れ切ってる女の子にホントに乗るんですか?」

「うん、おんぶしてもらった方が楽ちんだし」と言いながらキヨコの背中に飛び乗った。乗ってみると、やっぱり背の高い女の子のおんぶは眺めが爽快だ。キヨコの身体はさっきのおんぶ重労働でかいた汗でまだ濡れていた。

「キヨコこんな汗でこれ冷えたら風邪ひいちゃうから、身体暖めるためにもボクを

おんぶしてこのまんま歩いたほうがいいね」

「・・こんな重いのを・・私なんでこんなことしてんだろ・・汗でびしょ濡れになってるのよ、下着とかベタベタよ、男の人をおんぶって、なんでこんなこと・・」

と呟きながらも駅に向かって歩いてくれてる女の子のおんぶの乗り心地は、愛と優しさにくるまれてる暖かみがあり、男冥利に尽きた。なんだかんだとイヤよイヤよと言いつつもワガママなボクのために尽くしてくれるぅ、女の子ってなんでこんなに優しいんだろ? やっぱりボクは女の子大好きだー



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