第228話・ステキな女性がダサ男を肩車は宗教画に

 肩車してもらったあと、ファミレスで1時間半くらい休んでからボクはユウコに

「写真撮ってもらおうよ」と突然思いついたように提案。

「なんの写真を?」

「ボクたちの肩車の写真をだよ。通行人の人たちスマホで撮ってくれてたじゃん。

スマホ渡して、撮ってって頼めば撮ってくれるでしょう」

「えーーーっ、また肩車するの?」

「うん、せっかく肩車したんだから、自分たちでも記念写真ほしいし」

 ユウコは渋々顔でだが、オーケーしてくれた。この渋々顔がなかなかいい。ボクの、女の子に乗りたい願望の心の中には、イヤだけど断り切れずに渋々で、こんな

大変なことを、身を尽くしてしてくれちゃう女の子にキュン、という悪い心がある。そのキュンの素となる「渋々顔」を見せてくれたユウコに早く乗りたい・・。

 先刻と同じようにガードレールのところからボクは、金髪ユウコの肩車に乗った。自分の両足がガードレールから離れ全体重が女の子の上に乘ったこの瞬間は何度

味わっても、男のロマンの瞬間だ。

 白いコートに身を包んだ165センチ女性の肩車に、赤系のダサい服を着た70キロのダサ男が乗る構図は、すぐに周囲の人々の注目の的となり、3人ほどがスマホで撮影を始めてくれた。ボクは、正面から撮ってくれてる1人の女性に近づくようにと、

ユウコに指示した。カツカツカツッと歩く振動がたまらなく心地よい。ボクは、持っていたコンデジを押すだけ状態にしてスマホ女性に渡し、撮影してもらった。

 このやり取りを見ていた周囲の人たちは、我々肩車アベックのことを「遠慮なく

撮影してよい被写体」と認識したためか、いきなり10人以上とおもわれる人たちから囲まれるように撮影目線を浴びる。

 通行人の波の中なので、歩いてきた人たちが次々に撮影をしては去ってゆくの

繰り返しになり、エンドレス状態になってきた。これは、女の子の肩車に1秒でも

長く乗っていたいボクとしては、悦楽天国の延長タイムだ。

 肩車をさせられてるユウコにとっては、過酷な重労働の無期限延長でツラいかもだが、そんなツラい思いをしながらも、ボクの悦楽のために頑張ってくれてる金髪美女の上に、ボクは今、気持ちよく乗ってる。上に乘ってるボクの目線からは、ユウコの表情は見えないわけだが、横にあったショーウインドーに映ってるボクたちの姿からは、下向きかげんにおとなしい表情になってるユウコの姿が見え、かなり疲れが出てきてるのに気力で頑張る女性って凄く色っぽいなぁと。

 もうすこし正確に、ユウコの表情を観てみたいとおもい、ちょっと向きを変えて、ショーウインドーに正面向いた位置に立つよう、ユウコに指示すると、無言のまま

そのようにしてくれた。

 下向きにうつむきかげんでロングの金髪をふりみだしているユウコの姿は最高に

色っぽくエロスを発していて、その上に乘ってる満面の笑みなバカ面の自分との対照的な「天国と地獄」には、ヨーロッパの宗教画を彷彿させた。その宗教画のような

カップルをたくさんの人がスマホで撮影している、動画で撮ってる人もいる、SNSにもうアップされてるかもしれないね。

「そうだユウコ。動画録ってる人もいるから、カツカツッとその辺を歩いてあげようよ」と上から能天気な提案。もはや反論する余力もないユウコは、素直に歩き始めてくれた。この状態で歩き始めてくれたことは、ボクの股間のアレをびんびんに刺激しアレは、一気に大きく熱くなってしまい、そのことはユウコに感じ取られてしまっただろうか・・。すると5メートルほど歩を進めたところで

「あっ、もうダメっ」と言いながら、しゃごみ込んで、ボクは降ろされてしまった。

「ありがとう、ユウコー。限界まで頑張ってくれて、ありがとね」と言いながら抱き寄せるように、ボクもしゃがみ込む。アレが大きくなっちゃったことで、ユウコの

大事な最後の頑張りエネルギーを奪ってしまったのだろうか。

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