第514話 自分との闘い

毎日が悪夢のように私を狂わせる。


善と悪の戦いのように、戦っているが劣勢だ。


日々、私の体の一部を乗っ取られていくように


負け続ける日々が続く。


普段なら何か思いつくはずが、最良どころか何も浮かばない。


昨夜は、固形物であるコロッケを食べたせいか、


小腸の裂傷が酷く、一時間ほど経っても痛みが取れず、


いつの間にか眠っていた。


まるで映画では語られない裏の部分のように、私を苦しめる。


映画なら多くをはぶく部分だ。


そう、映画との違いはそこにある。


現実的には耐え切れないほどの事はカットしている。


理由は多くあるが、一番の理由は………ここまで来ることは出来ないからであろう。


ここまで来てしまっては、後戻りできず、私が知る仲間は全員、既に人生の幕を閉じている。悩みから解放されるのではなく、屈するのだ。


もう昔のゲームだが、ロード・オブ・ザ・リングの世界観で、


映画では語られていない。サウロンの配下で最も恐れられているナズグルの一人を


主人公にしたゲームで「シャドウ・オブ・ウォー」というのがあった。


2作目に当たるが、私は1からやったが、2からやっても、それほど問題はないよう


作られていた。主人公は正義感もあり、妻子をサウロンの配下たちに殺された。


それにより、彼は霊体である者に助けられ、霊体はリングを欲し、彼はリングの力


を使って復讐していく物語である。最終的にナズグルの一人となるのだが、


彼はリングの力に屈しても、長年、人間たちの王として人間を守り続けた。


彼は身も心も毒されたが、戦い続けた。


私が今、欲するものも同じようなものだ。


毒だと分かっていても、今のままでは終わりは近い。


食欲もなく、思考能力も低下し、もう自分が自分で分からなくなってきている。


悪意に身を晒し、戦う事を選んだが、今はその悪意に満ちた世界にいる。


悪意に身を落とすのは簡単だ。悪意を平然とやってのける同級生がいるからだ。


歌舞伎町を根城ねじろにしてるらしいが、奴の人生も大きく狂った。


些細な事ではない事ではあったが、彼が直接的に関わった訳では無かった。


歯車が狂うと、今までの全てが狂い始める。


昨年は、こんな風になるとは思いもしなかった。


思いもしない事は、良くも悪くも人間性を変えてしまうものだ。


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