第500話 ソクラテス

“生きるために食べよ、食べるために生きるな”



古代ギリシャのソクラテスの言葉である。


生きるために食べよ、食べるために生きるな、


この言葉は実に心に響く言葉である。


ソクラテス自身にも言い、そしてそれを皆に伝えている。


生きるためとは、つまりは、活きると言う意味だ。

何かの目的の為、目標の為、自分や他人を幸せに導くために

生きるために食べよと言っている。



そして、食べるために生きるなとは、

ただ何もせず、食べるだけの人生を送るなと言っている。



私の持論でもある、文明は進化するが人間は進化しないと言う言葉は

まさにこのソクラテスが生きた時代も今も人間が変わっていない事を表す。


今、生きるために食べている人は、何かに取り組んでいるだろう、

しかし食べるために生きている人は唯々、食べて生きているだけであろう。


人間の人生には限りがある。限りがある中で生きるからこそ、

人生という意味をもたらす。そして輝ける。


人は皆、全く同じという人間はいない。双子などは思想が似ている事もあると

言われてはいるが、全てがまったく同じ訳ではない。ただ似ているだけだ。


形あるものはいつか壊れるように、人間も土へと変える。

人生をどう生きたかという軌跡が残るだけだ。


だが、本当に素晴らしい軌跡は、誰かが必ず受け継ぐ。

心の継承のようなものだ。そして更に進化する事もある。


人の人生とはそういうものだ。

最期の時に笑える人は、幸せな人生を辿ったのだと

私は勝手に思っている。


そうありたいものだとは願うが…………自分に可能なのか、

今、ふと考えた。


私の人生はまだ続く、それは残念ながら変えられない。

ある人と約束したからだ。


私は約束を守る。

それは私にとっては命よりも大切なことだ。


だから、まだ生きなければいけない。

これから待つ長い道のりを、私は歩き出している。

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