第454話 運命

運命には色々な意見がある。


それらは皆が知っている言葉だ。


運命とは自らが切り開くものだ。と言う人もいる。


運命とはめぐり合わせだ。という意見もある。


人間の意志を超えて、幸福や不幸、喜びや悲しみをもたらす超越的な力。とも云われている。


我々は運命とは何か、漠然としか理解する事は出来ない。


そう。自分ひとりでは、分からないものなのだ。


そのような言葉は多くある。


私がこの運命を書こうと思った理由は、私は生かされ続けているからだ。


自分で理論付け、それに従い生きている。適当には生きてはいない。


私は、私の心の痛みを誰にも知られる事無く生きている。


話の断片や話自体を知っている人はいるが、私も体験したから知っただけで


私だけが大変だとというエゴは無い。


しかし、1から10までの重症度で表すなら10を超えているようだ。しかしその


人の痛みのランク付けで言えば、100近くになってしまうだけだ。


私は親族と争い、私の痛みを誰一人も分からない状態で生きていた時、


父の癌と私の痛みでは、私のほうが苦しいはずだと思った。


私はそれを検証すべく、色々な痛みに耐えてきた。


心不全は癌と同等くらい苦しいと書いてあったが、それだけでは不十分だ。


私は癌になってその痛みに耐え抜いてやると、奴らに敗北した時に決めた。


急性心不全、慢性心不全よりも、私の心の痛みは本当に恐ろしいものだった。


何故ならそれが引き金となり、急性心不全と慢性心不全になったからである。


心不全程度の痛みでは足りない。確かに痛かった。死神が近くにいるような程


痛んだが、私は床を這ってベッドまで行った。


私の全ての病の原因は、ストレスから来ている。だから治しようが無い。


下血も酷い時期があった。人からフラフラしないのかとよく聞かれたが、


私は全くフラつく事は無かった。


全ては私の鍛え抜かれたメンタルの強さと恨みから、どれだけ血を流そうとも


一度もフラつく事は本当に無かった。


恐ろしい量の血を流しても、私の曲らない信念が全てを支えていた。


その為、通常の手順では間に合わない場合や、どうすれば楽になれるか等も


違う事を覚えた。私は今、生きている。自分から死ぬ事は無い。


私は日々、いつも通り過ごしている。死については語るが、それだけだ。


そう、途中まで書いていた、私と幼馴染はどちらも父親嫌いであった。


私の場合は特別良いと言うほどでは無かったが、母親が私を利用して


望んでもいない事を色々やらされた。


自分の手は決して汚さない、本物のクズが世間にはバレずに厄介事は


私を利用して片付けていた。


そして、大嘘つきになった事から、これはよくある事だが、嘘をつき続ける人生は


自分の中にも浸透していくように、他人に対して嘘だと勝手に思ってしまうのだ。


母親は大嘘つきであった為、世の中の殆どの事に怯えていた。


そして疑心暗鬼になり、今どうなっているかは予想できる。


そして私は父親と最期まで戦った。長いようで短い三カ月の間、一日も欠かさず


涙を流し、叫び、怒りを吐き出したが、奴は他人事のような目だった。


私はこいつに何を言っても無駄だとは分かっていたが、分かっていたからと言って


行動を起こさないのは間違っている。真の答えを得るには行動を起こすしかない。


だから私は三カ月、心から叫び続けた。


幼馴染も父親に速く死んで欲しいと言っていたが、私には分かっていた。


ただそう思うだけの無数いる人間の一人だと。


本当の願いでは無く、ただ吠えるだけの弱い生き物だと。


私の父の死後、三カ月ほどしてパーキンソン病では長く生きた。


発症の進度が遅い病気であるパーキンソン病は10年で寝たきりになるとされている


しかし、20年かけてゆっくり進行していった。


薬嫌いの人で、肺炎になって薬もあまり飲まず、そのまま他界した。


私は幼馴染に聞いた。


「悲しかった?」

「うん。やっぱり居なくなるのは寂しい」


「死んで欲しいと言う人は多くいるが、実際に死んで欲しいと心から願う人は少ない。俺と同じ想いだったのは、ただの勘違いだ。俺は心の底から苦しんで死んで欲しいと思っていた。ただ知るのには何の意味も無い。本当の意味を知らないで、あたかも知ったように言うべきでは無い」と私は言った。


それから彼は年に帰る回数も増えた。


私にはもう後戻りは出来ない。前に進むのみだ。だが日々の辛さ程度では無い。


耐え切れない程の痛みに耐え抜いて死ぬ覚悟はあるが、私のあの封印した苦しみ

が最大級だろう。何故なら心不全は確かに、死を近くに感じるほど辛かった。


しかし、引き金となったあの表現出来ない程の苦しみと比べたら、大きな差があった。だから、私は痛みを知る為に生きている。


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