第285話 言葉の力

 私もまだまだ意味を理解していない言葉は多い。


言葉は単独では、意味は容易に理解できる。しかし同じような意味合いで


僅かに違う意味の漢字は多数ある。


そこまで入れていくと、簡単とは言えない。


更に、言葉は言葉と繋がり文章になる頃には、幾つもの言葉が繋がる。


そして壱字の違いで意味は全く変わって来る。


だから理解したと思い込んでいる人は、多数いると思う。


ここでも以前書いたが、織田信長がこよなく愛した敦盛の歌も


そのひとつである。あの歌をあの時代は50歳が平均年齢だから


人生50年という言葉によってそう思い込んでいる人は多い。


あの歌は正確には「人生50年、下天のうちにくらぶれば、夢幻の如くなり」


これは決して、人生が50年という意味ではない。


下天、つまりは天の一番下の世界と比べたら、50年なんて夢や幻のようにはやいと


いう意味である。


人は人に影響を受けやすい。特に知識が少しある程度の人間の言う事を


知らない人間が聞くと、そうなのかと単純に信じてしまう。


逆に知っている人からすれば、今更何を言っているのか?と思う。


騙される人もそうである。知らない世界の事だから、少しの知識があれば


言い方次第で簡単に騙すことは可能である。


例えば、身なり、顔つき、清潔感など多数あるが、それを揃えるだけで


少しの知識があるだけで人は騙される。


それを回避するには、言葉を色々知るのが一番だ。


問題は勘違いしない事だ。仮に一文字の事を調べても、多数の意味が出てくる。


そこに一文字足すだけで、言葉が出来る。


一度見て、理解したと思わないのが大事だ。私は時代背景も見て言葉を理解する。


現代に近い時代なら、それほど問題ないが、世界となると全く異なってくる。


言葉を知っている人と知らない人の差はすぐに分かる。


同じ言葉を繰り返したりするのは、文章的に見て幼稚に見える。


同じような言葉でも僅かな違いから、言葉を色々引用することで


同じ内容の文章でも、違いがでる。


特に小説を書いてる人は気を付けているはずだ。


私の場合は戦いの場面で、一番苦労する。


先行して漫画があるものが小説になった場合は、イメージ化しやすいが


文章からスタートする場合、読み手にイメージ化してもらうため


どうしても文字数が多くなってしまう。


登場人物が少ないのであれば、それほど問題はない。


私は、疾走、疾駆、激走、疾風などや状況などによっては


一瞬、刹那、瞬時、瞬間、などをなるべく連呼はさせないよう気をつけてはいる。


ハンターハンターの富樫氏の後書きでも書いてあったが、キャラが予定外に


生き残ってしまう事も多々ある。ハンターハンターのクロロとヒソカの戦いの後


クロロはマチを殺したかった。だけど僕が止めたと書いていた。


このようにキャラクターが生きているかのように、色々な思惑が出て来る。


旅団の誰かを殺すという事は決めていたが、誰を殺すかは決めてなかった。


富樫氏的にマチを殺さなかった為、二人が犠牲になった。


小説でも同じで書いているうちに、感情移入してしまう事が多々ある。


短編物ならそれほど感情移入はせずに書き終えることは出来るが、


長編は手強い。状況に一番合っている言葉を探すだけでも苦労することはある。


とまあ、そういう訳で、最初は脳を休ませる場として始めたのが、哲学人生である。


真実のみを書けばいいので気楽に書ける。3代の人間を見てきて、他もそうではある


が、父は実に情けない人間として幕を下ろした。生き様も死に様も、他人からは絶対


に見えないが、どうしようもない奴で死んだ。母親もどうしようもない奴だ。正直、


入院しないと厳しいレベルの精神破綻者だ。人は皆、最後は哲学に触れる。


その前に、哲学に触れている人は、死ぬ前も変わらないが、知識もない何も無い人は


「何のための人生だったんだろう」と思うらしい。


それは自分が逃げ続けた結果だが、それを知る事も無く人は死んでいく。

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