第17話


舞は、暫く放心状態で横たわっていた。それから、我に帰ると、手紙を読み始めた。


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舞へ

 俺は、舞のことが好きです。でも、俺は不器用だから上手く伝えられないけど、ほんとに舞のことが好きです。入学式の時のころに一目惚れしました。あの時は、桜の精霊が人間になって俺の前に現れてくれたんだなって思うほどに、舞は、優しさと美しさがあった。そんな人とこんなにも仲良くなれたのは、俺にとって最高の奇跡だと思ってます。だからこそ密かに恋心を想い続けていたので、夏祭りの日は舞に辛い思いをさせてしまって悔やんでも悔やい切れない、二度とあんなことが繰り返さないよう俺、もっと強くなってどんな奴からも舞を守れる男になるから、ずっとそばにいてほしい。そして、もし俺と付き合ってくれるなら、俺が舞と一緒に行きたい場所があるのでそこに行きましょう。

 俺が舞と行きたい場所、それは、ユートピアランドです。そこに行って、昼間には、沢山のアトラクションに乗って、沢山おいしいもの食べて、夜には、あの時見れなかった。花火をもう一度二人で見に行きたいです。そして、舞の本当の笑顔を取り戻したい。隣でみたい。それで夏祭りの日の悪夢を終わりにしよう。

                                             十思より

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手紙は薄っすらと涙のシミがついていて、どれだけ舞のことを思いながら書いたことがうかがえた。そして、何より舞も十思に惹かれていたので、この手紙を読みながら舞は、涙をこらえずには読めなかった。


「こんな手紙もらったら泣くに決まってるじゃん……ばか…」


舞は、その後何度も何度も手紙を繰り返し読み返した。そして、何度も静かに泣いた。嬉し涙というものだろうか、とっても暖かい感触が頬に伝って布団やシーツに水玉のシミができていく……


病室のドアを開ける音が聞こえて、急いで涙を拭って手紙を枕の下に隠した。舞が思っていた通り、案の定、母親の奈美だった。母の姿が妙にぼやけて見える、まだ、喉の奥がツンとする、なにか声を出すと涙が再び出てきそうだ。


母は何だか明るく嬉しそうな表情をしていた。

「先ね、先生と話してきたんだけど、明日には退院できそうだって!」


「え?ほんとに!」

舞の目から涙がこぼれた、舞は、母親と抱き合いながらお互いに喜びをかみしめた。今日は嬉しい知らせばかりで困ってしまう。


「明日、退院出来たら、佐藤君も呼んで、どっかおいしい物でも食べに行きましょう!あ、お父さんにも、速く返って来てもらうようにお願いしないとね」


舞は、涙を拭き取って顔中、皺くちゃにさせて喜んだ。


それから、少し話すと母もやらないと行けないことが沢山あるみたいで、少し話したら帰ってしまった。


一人になった病室で退院後が楽しみを想像して浮かれていたが、十思にあったらどんな顔をして、どうやって話しかければいいのかわからなくなっていた。でも、今すぐにでも会いたい気持ちでいっぱいだった!


「明日が楽しみだな!」











 

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