久しぶりの登校…3

「はい。 チョコでよかったのか?」

「うん。 ありがと」

「どういたしまして」


あれから学校近くのコンビニでお礼のチョコを買い渡した。

怒りが収まったのか菖蒲さんはコンビニの外でチョコを食べながら居心地悪そうにしている。


「ご、ごめん」

「え?」

「その、急に怒鳴ったりして…。 ほら私学校でも目立つほうじゃないし、ゲームとかそういう感じのオタクだってこと隠してて…」

「そうなんだ。 俺こそわりぃ。 隠してるって知らなかったんだ」

「いや、まあ、うん。 それはしょうがないし…」

「ところでまた一緒にゲームしたいんだけどさ。 今度いつできそう?」

「え」

「ダメか?」

「ダメじゃない! …けど、いいの? 私、その、かなり口悪いし…」

「あーまあ?」

「ちょっと否定することでしょ!」

「だって最初怖かったもん! でもちゃんと最後まで教えてくれてうれしかった。  フレンドにもなれたし!」

「フレンド申請きたときは本当驚いた。 またやっちゃったって反省してたし」

「反省してたんだ?」

「対人ゲー昔からよくやってるんだけど」

「おう?」

「女だといろいろ言われるの。 ”キャリーされてランク上げたの?” ”女かよ。 負け確じゃん” とか。 あとは出会い厨とかいて”リアルで会わない?” とか。 マジでキモイのはセクハラ下ネタ野郎」

「…まじ?」

「まじもまじ」

「やば」

「でしょ? だからかな。 敵対心むき出しになっちゃってついキツイ言い方になっちゃうんだよね。 アイツらの口調が移ったのかも。 はは」

「いや、それは直したほうがいいだろ?」

「っ! 私だって直したいよ! アイツらと一緒になるのはいやだし! でもこう積み重ねてきた経験といか癖というかなんといか…とにかく簡単に直せないの!」

「ならさ俺手伝うよ」

「はい?」

「俺ゲームにハマってさ。 めっちゃやりたいんだよね。 でもまだわかんないことだらけでさ。 だから教えてほしいんだよ!」


菖蒲さんは俺の言葉に目を丸くする。


「菖蒲さんは俺にゲームを教える。 俺は菖蒲さんに口調を教える。 まさに一石二鳥じゃね?」

「い、いいの?」

「勿論! それに俺、この足だしな」

「ちょっとそれ笑えないんだけど」

「ははは。 笑っていいんだけどなあ」

「笑えないよ。 どれだけ一生懸命サッカーやってたのか知ってるし。 クラスのみんなも渡会にかかわったことある人は全員知ってる。 だから笑えない」

「そうか」

「うん」

「あー。 ありがとな」

「こちらこそ、ありがと」


そういうと俺たちはそれぞれ帰路についた。

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